デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治26年10月8日（1893年）


 - 第10巻 p.150 -ページ画像 

是日商法施行ニ因リテ三重紡績株式会社ト改称シ、翌九日取締役会議ヲ以テ栄一ヲ相談役ニ推薦ス。是ヨリ先今年二月当社ハ更ニ資本金拾四万円ヲ増加シ、愛知分工場ヲ設置ス。

三重紡績株式会社第一五回事業報告書　自明治二六年七月至同年十二月
　　　　株主総会決議ノ事
一同○明治二六年十月八日株主臨時総会ヲ開キ、定款改正ノ事ヲ決議シ、同廿三日管轄庁ヲ経テ之ヲ主務省ニ開稟セリ
　　　　庶務之事
一明治廿六年十月九日本社相談役、定款第三章第廿四条ニ拠リ取締役会議ヲ以テ左ノ通リ推薦、承諾相成タリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京市深川区福住町
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一

青淵先生六十年史（再版）第一巻・第一〇七七―一〇八三頁〔明治三三年六月〕
　第十九章　綿糸紡績及織布業
　　　　第三節　三重紡績会社
○上略
一第四次増募株愛知分工場設置増錘ノ事
　同社ノ製糸ハ爾来声価ヲ博シ需用益々進ミ、現今ノ製糸高ニテハ供給甚タ不足スルヲ以テ、同社ノ外適当ノ地ニ於テ分工場ヲ増設シ資本金拾四万円ヲ増シ、錘数大略弐万本以上弐万千本以下ヲ装置スルノ精神ヲ以テ、明治廿六年二月五日臨時総会ヲ開キ之ヲ議決シ、愛知分工場ヲ設置スルニ至レリ
　　○絹川太一編「伊藤伝七翁」（第一七五―一七七頁）ニヨレバ、愛知工場設置ノ計画ハ、明治二十四年十月二十八日所謂濃尾大震災ニヨリ、尾張紡績・名古屋紡績共ニ殆ンド全滅ニ帰シ、為ニ尾三地方ニ於ケル綿糸ノ供給杜絶スベキヲ察知シタルニ基クモノニシテ、其後敷地決定ニ一年以上ノ歳月ヲ費シタル上明治二十六年二月落成セルモノトナス。