デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治11年6月（1878年）

栄一、大阪堂島米商会所ノ依頼ニヨリ、無記名公債証書ヲ以テ証拠金ニ代用スルコトヲ大蔵卿大隈重信ニ出願スルニツキ斡旋ス。

東京大阪　往復要信刺　　　　　　　　　　　（大阪株式取引所所蔵）
　　明治十一年六月十四日　　　　　　　　　　　　　　於東京
○上略
此公債○起業公債を以米商会所之証拠金ニ相用候願書ハ、兎に角早々差出候様磯野へ御申通し被下度候、どふか行届候様ニも被存候、又手付金之後を第三回ニ一時払込之事ハ近日伺済之上公告可仕と存候
○中略
　　　　五代松陰様　　　　　　　　渋沢栄一　渋沢
○下略

東京大阪　往復要信刺　　　　　　　　　　（大阪株式取引所所蔵）
　　明治十一年七月一日　　　　　　　　　　　　　　　於東京
（欄外横記）
甲第五号
一翰啓上仕候、然者起業公債証書を以米商会所証拠金ニ相用候見込ハ帰京後大蔵卿閣下へも申上候処、卒然御許可と申様ニハ不相見候得共兎ニ角願書差出候ハヽ或ハ行届可申景況ニ付、其段先日申上候義ニ御座候、爾後尚又其筋へ内稟し頻ニ其御允許を乞候処、とふか行届候模様ニ被存候、就而ハ磯野氏へも御照会被下、右願書早々御差出相成候様御取計被下度候
右様相成候上ハ株式取引所之証拠金とても同様之義ニ付、当地取引所ハ右願書近日差出候様致度旨今日肝煎中へ申入置候間、不日願書上申之筈ニ候、貴境も御開業之上ハ其御順序ニ御取計可被下候
○中略
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一渋沢
　　　　五代友厚様
　　　　広瀬宰平様
○下略

東京大阪往復要信刺　　　　　　　　　　　（大阪株式取引所所蔵）
（欄外横記）
乙第五号
芳墨拝読、陳者米商会所証拠金云々之儀者已ニ先般拙生直々磯野ニ参り委細相咄候処、同人も至極同意之趣然ニ猶今回之御書ニより再ひ□□之儀相尋候処、右者決而等閑ニ打過候訳ニ無之、則壱両日中一同会議ニ上出願可仕事ニ内決いたし居候よしニ付、不遠願出候運ひニ可相成存候、右様相成候上ハ株式取引所証拠金迚も同様云々尤御同意仕候
 - 第14巻 p.233 -ページ画像 
何れ定款申合規則調印相済、右規則願立候上順次出願之運ひニ可仕心得ニ御座候
○中略
　　七月八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広瀬宰平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　五代友厚
　　　　渋沢栄一様

明治十一年取引所（米）簿冊番号四二　（大阪府庁文庫所蔵）
　　明治十一年中
　　　　商務之部　米商会所ニ関スル大蔵省伺進達並諸往復之件
　　第二十一号　無記名公債証書ヲ以テ証拠金ニ代用ノ義願
　　　　　　　　　　　　　　　　　　頭取磯野小右衛門外数名
（張紙、朱書）
（朱印）
知事昇　之印　書面之趣大蔵省へ上申可致事
（朱印）
割印
　　（朱書）
　　書面之趣特別之詮議ヲ以聞届候事
　　十一年八月三日
　　　　　　長官　　　　　　　　　　　　（朱印）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　図
　　　　御願書
一今般内国ニ於テ挙行被為在候起業公債証書条例ノ御旨趣ヲ遵奉仕候ニ、人民社会上実ニ便益ナルモノニテ、就中無記名ノ公債証書ニ於テハ他ノ公債証書トハ一種特別ノ便利ヲ有シ自由ニ譲与スルヲ得セシメルモノニ付、右無記名公債証書ニ限リ時ノ景況ニ従ヒ相当ノ価格ヲ定メ当米商会所証拠金ノ代用ニ相成候得ハ一層便利ノ儀ト奉存候、依テ前記ノ通証拠金代用ニ取扱仕度候ニ付、此段御許可被成下候様奉願上候也
明治十一年七月十一日　
　　　　　　　　　　　　　　　大坂　　　　　　　（朱印）
　　明治十一年七月十一日　　　　堂島米商会所　大阪堂嶋米商会所
　　　　　　　　　　　　　　　　　頭取
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　磯野小右衛門　(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　肝煎商議掛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　進藤嘉七　(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　宗像直次郎(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　同　撿査掛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芝川又平　(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　柿本善左衛門　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　同　出納掛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鴻池善右衛門　(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三井元之助　(印)
　　　　大阪府知事　渡辺昇殿
　　　○「大坂堂島、米商会所」ト印刷セル罫紙ヲ用フ。