デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
28節 貿易
11款 蚕業諮問会
■綱文

第15巻 p.129-130(DK150007k) ページ画像

明治16年5月(1883年)

是月、農商務省農務・商務・工務三局相謀リ、各府県蚕糸業者ヲ招集シテ蚕業諮問会ヲ開ク。栄一会員ニ選任サル。


■資料

日本蚕糸業史(同編纂委員会編) 第一巻生糸貿易史・第一六九―一七〇頁 昭和一〇年二月刊(DK150007k-0001)
第15巻 p.129 ページ画像

日本蚕糸業史(同編纂委員会編)
               第一巻生糸貿易史・第一六九―一七〇頁
               昭和一〇年二月刊
 ○開港以来の生糸貿易
    第三章 第三期 就緒時代
             自明治十一年至同二十六年(十六年間)
○上略
 明治十六年一月農商務省農務局陸産課中蚕茶課を廃し蚕糸・製茶の二掛を置き、五月十八日より二十六日まで農商務省農務・商務・工務三局相謀り各府県蚕糸業者数十名を招集し蚕業諮問会を開いた。
 蓋し近来諸物価の変動に際し蚕糸の業萎靡振はず因て其の利害得失を諮詢し回復策の方法を計る為である、其の問題は第一横浜開港以来各地蚕糸の製造販売の沿革、第二各地現今の景況、第三蚕糸の粗製濫造を矯正し勉めて同一の品位を多量に製出し以て海外の販路を拡張するの意見である、諮詢会員氏名は
 石渡貞夫   今井貞吉   池田謙蔵
 速水堅曹   林信立    細川潤次郎
 星野与逸   星野長太郎  兵頭正懿
 小花作助   加藤忠義   高鋭一
 片山遠平   吉田市十郎  吉村正義
 谷鉄臣    多田元吉   立木兼善
 角田忠行   内藤恥叟   井上頼国
 井上右三   大槻吉直   太田卓之
 大島信    桑島景連   黒川真頼
 栗田寛    栗本鋤雲   柳猶悦
 山崎潔    藤田克三   伏島近蔵
 小宮山綏介  近藤瓶蔵   青柳高鞆
 佐々木長淳  桜井勉    衣笠豪谷
 宮里正静   四条隆平   渋沢栄一
 平野師応   関千
 会議の結果蚕糸協会地方組合等の数項を以て今日の急務と為し、之が意見書を提出した、十月大阪・兵庫・岡山・広島・山口・徳島・愛媛・高知・和歌山・滋賀・島根・鳥取・福井・石川の一府十三県聯合綿繭生糸織物共進会を大阪府下博物館内に開くこと五十日間、其他各県若しくは数県聯合の繭生糸共進会品評会屈指に隙あらざる程各地に開催された。
○下略

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蚕糸之横浜 第一五頁 大正一五年四月刊(DK150007k-0002)
第15巻 p.130 ページ画像

蚕糸之横浜  第一五頁 大正一五年四月刊
 此年 ○明治十四年 四月農商務省を設けられ、同省に於て翌々十六年五月各地の蚕糸業者数十名を招集し諮詢会を開くや、会員等は蚕糸協会、地方組合の設置等外数項を以て今日の急務と為し之が意見書を呈出す、就中蚕糸協会は改良の一大根基なりとし、直ちに委員を選び之を創立したり。



〔参考〕東京経済雑誌 第一六三号・第六二九頁 明治一六年五月一九日 ○蚕糸諮問会(DK150007k-0003)
第15巻 p.130 ページ画像

東京経済雑誌  第一六三号・第六二九頁 明治一六年五月一九日
○蚕糸諮問会 今般農商務省にては昨十八日より一周間同省の議事堂に蚕糸諮問会を開かれたる由にて、其節下附の問題は第一横浜開港以来各地蚕糸の製造販売の沿革、第二現今の景況、第三蚕糸の粗製濫造を矯正し勉めて同一の品位を多量に製出して海外の販路を拡張するの意見云々の三ケ条なりと



〔参考〕東京経済雑誌 第一六六号・第七三二頁 明治一六年六月九日 ○日本蚕種協会の設立(DK150007k-0004)
第15巻 p.130 ページ画像

東京経済雑誌  第一六六号・第七三二頁 明治一六年六月九日
    ○日本蚕種協会の設立
過日農商務省議事堂に於て製糸諮問会を開かれたる際、会員某氏は蚕種協会と云ふ一会を起さんことを発議せしに、会員は勿論農商務省の吏員に至るまで一同賛成せられ、乃ち速水堅曹・半井栄・池田謙蔵・橋本重兵衛・星野長太郎・朝吹英二・佐野理八・前田正名・原善三郎・茂木惣兵衛・中出哲・渡辺修・鷹野正雄の諸氏が創立委員となりて目下種々の事項を評議中なりと、今其主意書 ○略ス を得たれば左に掲ぐ
○下略