デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治25年8月2日（1892年）

是日、栄一等ノ創設セル製藍会社解散ス。

青淵先生六十年史　（竜門社編）第二巻・第二〇四―二〇五頁明治三三年二月刊
　○第四十章　製藍及「インジゴ」輸入業
 - 第15巻 p.323 -ページ画像 
　　　　製藍会社
○上略
製藍会社ハ事業着手後数多ノ困難ニ遭遇シタリ、青淵先生ハ例ノ熱心ト耐忍トヲ以テ種々維持ニ尽力シタルモ到底前途ノ見込立サルヲ以テ明治二十五年八月二日ノ総会ニ於テ解散ヲ決議セリ、会社ノ創立以来費ス所二万五千余円、土地ノ開墾四十八町歩余ナリ、解散ノ理由書左ノ如シ
　本社ノ事業地ナル小笠原島ハ一昨年七八月旱魃ノ災ニ罹リ昨秋数回ノ暴風雨ニ遭遇シ藍作ニ非常ノ損害ヲ蒙リタルカ故ニ、爾来一方ニ於テハ其恢復ヲ計リ、一方ニ於テハ更ニ将来ノ見込ヲ調査セシニ、元来該島ノ耕作地ハ斜面ニシテ肥料施用ニ便ナラサルヲ以テ其藍作ハ自然ノ生育ニ放任スルノ外ナク、加之毎年二三月ノ交西風アリテ其発生ヲ阻碍シ、七八九月ノ旱魃ニ際シ其茎葉共ニ枯死スルノ有様ナレハ到底充分ノ収穫ヲ望ムヘカラサルナリ、実ニ如此ニシテ培養ノ道ナク前途到底望ナシ、是本社解散ノ案ヲ提出シテ其議決ヲ請フ所以ナリ
○下略