デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治25年9月29日（1892年）

是ヨリ先、鉱業条例発布セラル。盤城炭礦社乃チ同条例ニ依リ株主総代浅野総一郎ノ名義ヲ以テ借区ノ特許ヲ出願シタルニ政府当社ヲ一個ノ法人ト認メズ、因リテ是日栄一、浅野総一郎ト共ニ個人ノ名義ヲ以テ鉱業人ト為ルノ件ヲ決議シ、尋イデ借区特許証ヲ得テ之ヲ盤城炭礦社ニ経常セシム。

（盤城炭礦社）半季考課状　第一六回明治二五年一二月
　　　　○願伺之事
一上湯長谷村鉱区特許出願ノ儀ニ付、鉱山監督署長ヨリ当社ヲ一個ノ法人ト認メサル旨通牒セラレタルニヨリ、九月廿九日左ノ通リ決議ヲ乞ヒ、一同異議ナク原案ニ決定シ、渋沢栄一・浅野総一郎両氏ヲ一個人ノ資格ヲ以テ鉱業人ト定メ、特許証券ヲ下附セラレタリ
　　拝啓陳者当盤城炭礦社鉱業人之儀、今般施行相成候鉱業条例ニヨリ株主総代浅野総一郎名義ヲ以テ借区特許証出願致候処、今日ニ於テハ盤城炭礦社ヲ一個ノ法人ト認メサルニ付、炭礦社名義ヲ以テ特許証ヲ下附スル事ハ不相成、又株主総代ノ肩書ニテ株主共同ノ鉱区トスルトキハ、株主一同ノ連署ヲ要シ可申、然ルトキハ株主ノ異同有之毎ニ特許証モ随テ書換ヲ要シ可申旨、鉱山監督署長ヨリ通牒有之候ニ付テハ、当社重立タル株主中渋沢栄一・浅野総一郎両氏ヲ一個人ノ資格ヲ以テ鉱業人ト相定メ、特許証下付出願致度ト存候
　　右ハ営業上重要ノ件ニ付、臨時総会ヲ開キ、御議決相願可申義ニ候得共、至急ヲ要スル場合ニ付、便宜ノ為メ以輪札御議決相願申候、御異存モ無之候ハヽ御調印被下度、此段申上候也
　　　　明治廿五年九月廿九日　　　　　　　　　盤城炭礦社
　　　　　　株主連名宛
　　○鉱業条例ハコノ年六月一日ヨリ施行セラレタリ。