デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治39年5月8日（1906年）

是日栄一、第一銀行主催ノ韓国皇族義親王殿下及ビ統監侯爵伊藤博文等ノ招待晩餐会ヲ飛鳥山邸ニ催ス。

渋沢栄一　日記　明治三九年　（渋沢子爵家所蔵）
五月八日　曇　軽寒　起床七時就蓐十一時三十分
○上略　四時頃ヨリ伊藤統監及随員ノ来訪アリ、五時過義親王其他随行員来ル、共ニ庭園ヲ誘引シ、五時半ヨリ宴ヲ開キ種々ノ余興アリ、夜十一時散会ス
義親王・伊藤統監其他随行員等ニテ会スル者賓主三十一人ナリキ

竜門雑誌　第二一六号・第三〇―三一頁　明治三九年五月
○第一銀行韓国皇族義親王殿下及伊藤統監招請会　は五月八日午後四時より飛鳥山男爵邸に於て催されたり、当日の来賓は
　韓国皇族義親王殿下を始め一行の陸軍副将李根澔・秘書官韓応履・歩兵正尉金基元・連器廠技師朴重陽・歩兵正尉張寅根・歩兵副領趙性根・歩兵正尉林在徳の諸氏（以上韓国側）
　統監侯爵伊藤博文・陸軍少将村田惇・特命全権公使林権助・警務総長岡喜七郎・陸軍歩兵中佐倉田新七・海軍大佐宮岡直記・統監府書記官久保田政周・秘書官古谷久綱・書記官国分象太郎・陸軍歩兵少佐矢木亮太郎・書記官児玉秀雄・宮内書記官栗原亮太・統監府技師小山善・通訳官川上立一郎諸氏（以上日本側）
にして主人側は青淵先生を始め佐々木勇之助・日下義雄・渋沢社長・市原盛宏・野口弥三の諸氏にして余興には新橋芸者連の三曲手踊等ありて頗る盛況を極めたりと云ふ

官報　第六八四五号　明治三九年四月二七日
　　　　○宮廷録事
○韓国皇族御入京　韓国義親王殿下ハ本月二十三日下関上陸、陸路昨二十六日午前九時新橋着車、直ニ旅館貴族院議長官舎ニ入ラセラレタリ

官報　第六八四七号　明治三九年四月三〇日
　　　　○宮廷録事
 - 第16巻 p.311 -ページ画像 
○韓国皇族御参内　韓国義親王殿下一昨二十八日午前十一時五十分参内ニ付キ、途中前駆後衛ノタメ警部四騎ヲ附セラレ、殿下乗用ノ馬車ニハ接伴員宮内書記官栗原広太陪乗、御車寄階下ニハ式部官、階上ニハ戸田式部長出迎ヘ、西一ノ間ニ誘導、同所ニ於テ伊藤統監之ニ接シ続テ統監同伴鳳凰ノ間ニ進行　天皇陛下御対面、夫ヨリ桐ノ間ニ進行皇后陛下御対面、畢テ正午十二時　天皇陛下千種ノ間ニ成ラセラレ、義親王殿下ト御会食、貞愛親王殿下・守正王殿下ヲ召サセラレ、義親王殿下ノ随員陸軍副将李根澔・陸軍歩兵副領趙性根・宮内府大臣官房秘書官韓応履・陸軍歩兵正尉張寅根及伊藤統監・徳大寺侍従長・田中宮内大臣・牧野外務大臣臨時代理・岡沢侍従武官長・渡辺内蔵頭・股野帝室博物館総長・戸田式部長・井上侍従武官・山内式部官・村田陸軍少将・岡統監府警務総長・海軍大佐宮岡直記・統監府書記官久保田政周・同倉知鉄吉・統監秘書官古谷久綱・統監府書記官国分象太郎・陸軍歩兵少佐矢木亮太郎・統監府書記官児玉秀雄・宮内書記官栗原広太・統監府技師小山善・統監府訳官川上立一郎ヘ御陪食仰付ケラレ、畢テ義親王殿下ハ午後二時五分退出セラレタリ