デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治39年7月23日（1906年）

是ヨリ先、第一銀行ノ韓国ニ於ケル業務ハ同国統監ノ監督ニ移リ、是日第一銀行、統監ノ認可ヲ得テ韓国度支部ト銀行券発行ニ関シテ契約ヲ結ブ。

韓国ニ於ケル第一銀行　第一銀行編　第二三六―二三八頁明治四一年八月刊
　○第五章　銀行券ノ発行
　　　　第五節　韓国ノ法貨トシテ銀行券ノ公認
○上略
次デ明治三十九年五月ニ至リ統監府官制々定ノ結果、本行ノ韓国ニ於ケル業務ハ統監ノ監督ニ移リシヲ以テ、爾後銀行券ハ統監府監督ノ下ニ発行スルコトヽナレリ
同年七月二十三日統監ノ認可ヲ得テ、銀行券ニ関シ韓国政府ト左ノ契約ヲ締結セリ
　指令第一七号
　　　　　株式会社第一銀行韓国総支店支配人　市原盛宏
　本日付願、其行発行ノ銀行券ニ関シ、其行ヲ代表シテ韓国政府ノ代表者タル度支部理財局長李濬相トノ間ニ契約ヲ締結スルノ件、並ニ契約書ニ記載セル各条項ヲ認可ス
　　明治三十九年七月二十三日
　　　　　　　　　　　　　　統監　公爵　伊藤博文
　　　　株式会社第一銀行券ニ関スル契約書
　第一条　明治三十八年一月三十一日調印契約書第三条ニヨリ大韓国政府ノ公認シタル株式会社第一銀行券ハ、韓国各支店出張所ニ於テ営業時間中何時ニテモ通貨ヲ以テ引換フヘシ、但シ京城以外ノ支店・出張所ニ於テハ、京城支店ヨリ準備金ノ到達スベキ期間其引換ヲ延期スルコトヲ得
　第二条　株式会社第一銀行券ノ様式及ビ種類ニ就テハ、株式会社第一銀行ハ予メ度支部大臣ノ認許ヲ受クベシ
　第三条　株式会社第一銀行ハ株式会社第一銀行券発行額発行準備高毎週平均表ヲ度支部大臣ニ提出シ、且ツ之ヲ韓国官報ニ公告スベシ、但シ公告ハ無料トス
　第四条　度支部大臣ハ必要ト認ムル時ハ、株式会社第一銀行ニ対シ
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株式会社第一銀行券ニ関スル検査ヲ行フコトヲ得
　第五条　大韓国政府ハ既ニ公許シタル株式会社第一銀行券ノ偽造変更及ビ行使ニ対スル適当ノ取締方法ヲ設クベシ
　第六条　株式会社第一銀行券発行ノ特権ニ基ク利益ニ対シ、大韓国政府ハ将来株式会社第一銀行ニ対シ、相当ノ義務ヲ負担セシムルコトヲ得
　右条項ヲ確約シ、其証トシテ契約書日韓文各弐通ヲ作リ、各自弐通宛ヲ領有スルモノナリ
　　明治三十九年七月二十三日
　　　　　　　　　　　　株式会社第一銀行韓国総支店
　　　　　　　　　　　　　　　　　　支配人　市原盛宏
　　　　　　　　　　　　　　度支部理財局長　李濬相
　度支部大臣蓋印　図
本契約書正本ハ京城支店ニ於テ保管致候也
　明治三十九年七月二十四日　　韓国総支店支配人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　市原盛宏