デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治39年10月28日（1906年）

村井吉兵衛・大橋新太郎清国視察ノ結果、漢口ニ於テ製粉事業ヲ起サントシ、栄一等ノ賛成ヲ得テ、是日、東亜製粉株式会社ヲ創立ス。栄一相談役トナル。

竜門雑誌　第二二〇号・第四一頁　明治三九年九月
○東亜製粉会社設立計画　村井吉兵衛・大橋新太郎両氏は曩に清国視察の結果漢口に於て製粉事業を起さんとの意見一致せしを以て之を有力家に談したるに、青淵先生・渡辺福三郎・若尾民造・柿沼谷蔵・菊池長四郎・中村清蔵・渡辺甚吉・大倉喜八郎・馬越恭平・佐竹作太郎・前川太郎兵衛・日比谷平左衛門・鈴木兵衛門・若尾幾造・平沼延四郎・中野武営・岩下清周の諸氏其他二十余名の賛成者を得たるを以て東亜製粉株式会社を創立することに決定せる由なるが、右株式は発起人始め其他よりの申込既に二倍に達したるを以て、本月五日限り之を締切り広く募集せざることゝ為したる由、尚ほ同会社の目的は日清両国に於て麦粉の製造販売を為し、且つ清国に於ては附帯事業として倉庫業をも兼営する筈なりと云ふ

東京経済雑誌　第五四巻第一三五七号・第三七頁　明治三九年一〇月六日
　　　　○東亜製粉会社の設立
村井吉兵衛・大橋新太郎の諸氏発起人と成り創立したる同会社は、資本金三百万円、総株数六万株にして、東京と漢口に各一個所の製粉工場を起し、日清両国に於て麦粉の製造販売を為し、清国に於ては倉庫業をも兼営する由なり

東京経済雑誌　第五四巻第一三五九号・第三七頁　明治三九年一〇月二〇日
　　　　○東亜製粉会社創立総会
東亜製粉株式会社は本月廿八日東京商業会議所に於て創立総会を開く由、議案如左
　一　発起人より本社創立に関する事項報告
　一　定款変更の件
　　定款第一条中倉庫業の下に搾油業の三字を加ふること
　　同　第三条中東京市を東京府下に変更すること
　　同　第十七条中専務取締役を常務取締役に変更すること
　三　取締役・監査役の報酬額を定むること
　四　取締役を七名、監査役三名を定むること
　五　取締役・監査後に於て商法第百三十四条第一項各号の事項を調査したる上其報告を為すこと
　六　此他商法に依り創立総会権限に属する事項を議すること
 - 第16巻 p.738 -ページ画像 

銀行通信録　第四二巻第二五三号・第六五五頁　明治三九年一一月
△東亜製粉会社創立総会　東亜製粉会社にては十月二十八日東京商業会議所に於て創立総会を開き、定款其他を議決し、夫より役員の選挙を行ひ、取締役に大橋新太郎（社長）池田虎次郎（専務）諸井四郎（専務）柿沼谷蔵・菊地長四郎・村井真雄・渡辺福三郎の七氏、監査役に村井吉兵衛・若尾幾造・鈴木梅四郎の三氏当選せり

竜門雑誌　第二二二号・第四一頁　明治三九年一一月
○青淵先生と新会社関係　青淵先生が発起人又は創立委員として創立を賛助せられたる○中略左記の諸会社は既に成立を終へたると同時に、青淵先生は相談役又は顧問たることを承諾せられたりといふ
○中略
　一東亜製粉株式会社　　　　　相談役
○下略

青淵先生公私履歴台帳　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　民間略歴（明治二十五年以後）
○上略
一東亜製粉株式会社相談役　三十九年十月　四十二年六月六日辞任
○中略
　　　以上明治四十二年六月七日迄ノ分調

（八十島親徳）日録　明治三九年　（八十島親義氏所蔵）
九月十三日
倉庫部支配人諸井四郎新設ノ東亜製粉会社ニ専務トシテ入ラント柿沼等ヨリ勧メラレ、倉庫辞任ノ申出アリ、男爵甚不満足ニ感セラルヽモ本人ノ意大ニ動ケルヲ見、断然請ヲ許ルサレントス