デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治20年3月31日（1887年）

是日栄一、明治十八年及ビ十九年ノ牛酪輸入高其他ニ関シ北海道長官岩村通俊ニ回答ス。

東京商工会々外諸向往復文書　第三号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（東京商工会議所所蔵）
拝呈陳ハ少敷参考ニ供度義有之候間乍御手数左之物件御取調被下度御依頼致候
　一十八十九両年中牛酪之輸入高
　一同上卸売之直段
　一輸出元及品質之善悪概略
 - 第18巻 p.608 -ページ画像 
右貴答を煩度候　草々頓首
　　三月廿八日　　　　　　　　　　　　　　　岩村通俊
　　　　渋沢栄一様
　尚々御返事ハ芝浜海水浴場ヘ差遣し希望仕候

東京商工会々外諸向往復文書　第三号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（東京商工会議所所蔵）
（写）　岩村長官ヘ回報案　（用紙中奉書半切）
謹読仕候、陳ハ明治十八・十九両年中牛酪ノ輸入高並ニ其他ノ件御問合ノ趣敬承仕候、右早速遂調査候処別記ノ通リニ御座候、尤右両年中卸売直段ノ義ハ何分差懸リ調査難行届ニ付不已得相略し候、又明治十五年ヨリ同十七年迄ノ輸入高ハ別段御問合無之候得共為念併テ取調入御覧候、先ハ此段拝報旁々得貴意候　草々頓首
　　三月卅一日　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　岩村通俊様　侍史
　　　　　　別記
一明治十五年ヨリ同十九年ニ至ル五ケ年間牛酪ノ輸入高ハ左ノ如シ

　　　　　　　　　　　　　　数量　　　　　　　　　　　　　価額
　　　　　　　　　　　　　　　　斤　　　　　　　　　　　　　円
　　明治十五年　　　　五九、七六五　　　　　　　二五、八五〇・一一
　　同　十六年　　　　五九、二一〇　　　　　　　二三、五三五・七〇
　　同　十七年　　　一二七、四七〇　　　　　　　四二、三八五・七六
　　同　十八年　　　一四六、三三五　　　　　　　四七、五八六・二四
　　同　十九年　　　一一五、六二一　　　　　　　四〇、七二〇・四四

一明治十八年及十九年ノ卸売直段ハ何分調査難行届ニ付之ヲ略ス
一現今本邦ヘ輸入スル牛酪ハ重ニ仏国及米国製ニ係リ、鑵入及樽入ノ二種類アリ、而シテ鑵入ノ方ハ重ニ麺包用《（麭）》ニ係リ其品質ハ概シテ優等ナリ、樽入ノ方ハ多クバ料理用ニ係リ其品質ハヤヽ劣等ナリ、目下其卸売相場ハ概略左ノ如シ
　　鑵入　　上等　　　一斤ニ付　金五十六七銭
　　同　　　中等　　　同　　　　同四十六七銭
　　同　　　下等　　　同　　　　同三十六七銭
　　樽入　　上等　　　同　　　　同三十一二銭
　　同　　　中等　　　同　　　　同二十四五銭
　　同　　　下等　　　同　　　　同二十一二銭