デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治26年6月8日（1893年）

是ヨリ先農商務省商工局長若宮正音、当会議所ニ対シ、在イタリア国パレルム帝国領事館内ヘ本邦商品ノ見本ヲ陳列セントスル希望者アラバ其住所氏名並ニ出品名等ヲ回報アリタキ旨照会アリシガ、是日栄一当会議所会頭トシテ、当業者中ニ希望者ナキ旨ヲ回答ス。

東京商業会議所月報　　第九号・第五頁　明治二六年五月
○同月同日　○四月一七日農商務省商工局長ヨリ、在伊国パレルム帝国領事館内ニ本邦商品ノ見本ヲ陳列スル義ニ付、該領事ノ具申書ヲ実業者ニ開示アリ度旨ヲ照会セラル（照会書及具申書ノ全文ハ参照ノ部第七号ニ掲載ス）

東京商業会議所月報　　第九号・第九頁　明治二六年五月
○参照第七号
　四月十七日在伊国パレルム帝国領事館ヘ本邦商品ノ見本ヲ陳列スル義ニ付、農商務省商工局長ヨリ接受シタル照会書ハ左ノ如シ
 - 第20巻 p.339 -ページ画像 
在伊国パレルム我名誉領事「ミシヱル・フオリナ」ニ於テ日伊間ニ於ケル貿易ノ拡張ヲ計ラン為メ同領事館内ニ本邦各種商品見本ヲ陳列セントシ、其蒐集方別紙写ノ通外務省ヘ具申シタル趣ヲ以テ、同省ヨリ照会致来候ニ付、広ク当業者ヘ御開示ノ上希望ノ者モ有之候ハヽ其住所・氏名並ニ該品名等御回報ニ与リ度、尤現品ハ右希望者ヨリ諸費支払ノ上直接同領事館ヘ回送候事ト御承知相成度、此段及御通牒候也
　　明治二十六年四月十七日
　　　　　　　　　　　　　農商務省商工局長　若宮正音
　　　　東京商業会議所会頭　渋沢栄一殿
（別紙）
拝啓陳ハ日本帝国商人並ニ製造業者ノ利益ヲ謀リ、且ツ日・伊両国間ノ商業ヲ拡張センコトヲ希望致候ニ付、日本商工業者ノ為メニ当領事館ノ一部分ヲ貸与シ代価及ヒ確実ナル宿所書ヲ付シテ商品ノ見本ヲ送ラシムル事ニ致度存候
右商品ノ見本ハ小包郵便或ハ他ノ方法ニ依テ逓送スルヲ得ヘク、而シテ当地税関ノ費用ハ送品人ノ負担ニ有之候
当館ニ於テ右見本類ヲ請取候節、之ヲ商品陳列所ノ如ク当館内ニ陳列致候ハヾ、品質ト代価ヲ対照シテ日本産物ノ品評ヲ為サシムルノ便利ヲ与ヘ可申ト存候
商品ニハ運賃ヲ合算シタル当「パレルム」府ニ於ケル売価、及ヒ「メートル」ノ寸法ヲ付シ置クヲ必要ト存候、左スレハ其購買人ハ貼付ノ代価ト当地税関ノ諸費ノミヲ払フノ便利有之候
右ノ方法ニ依レハ帝国政府ノ出費ヲ要セスシテ直接ニ貨物ノ送付ヲ請求スルヲ得、日本ノ商業ヲ拡張致スヘクト存候
書類ヲ確実ナラシムル為メ商業会議所ニテハ送品人ノ姓名並ニ商品ノ品質・量数及売価等ヲ記入スル為メノ用紙ヲ印刷シ置キ、其記入ヲ終リタルトキ商業会議所長又ハ農商務大臣ニ於テ之ヲ証査スルヲ必要ト被存候
商品見本運搬ノ方法ニ至テハ若シ帝国政府ニ於テ伊国小包郵便現行ノ制限ニ「キログランム」ノ量目ヲ五「キログランム」ニ改正スルカ、又ハ五「キログランム」マテ一「キロ」毎ニ殊別ノ運賃ヲ定ムルコトニ協議ヲ遂ケラルヽコト相叶候ハヽ、便益多カルヘシト被存候
右ノ便法ニ依レハ少額ナル取引非常ニ増加致スヘク、又商業盛大ニ相成候節ハ直接ノ航路ヲ開キ得ルニ至ルヘシト存候
右ニ陳述致候意見御調査ノ上何分ノ御回答被下候様希望致候　敬具
　　千八百九十三年一月三十日
　　　　　　　　　　　「パレルム」領事　ミシヱル・フオリナ
　　　　外務次官　林董閣下

東京商業会議所月報　　第九号・第四頁　明治二六年五月
○同月　○四月二十二日午前九時三十分、本会議所仮事務所ニ於テ役員会議ヲ開キ　○中略　在伊国パレルム帝国名誉領事館内ニ本邦商品ノ見本ヲ陳列スル義ニ付、同地帝国名誉領事ヨリ報告ノ件等ヲ審議シ、正午十二時閉会ス
 - 第20巻 p.340 -ページ画像 

東京商業会議所月報　　第一〇号・第七頁　明治二六年六月
○同月　○五月一日、兼テ農商務省商工局長ヨリ照会ニ係ル在伊国パレルム帝国領事館内ヘ本邦各種商品見本陳列ノ件ニ付キ、出品希望者ノ有無等ニ関シ東京貿易雑貨商組合ヘ照会書ヲ発ス

東京商業会議所月報　　第一一号・第四頁　明治二六年七月
○同月　○六月八日、兼テ農商務省商工局長ヨリ照会ニ係ル在伊国パレルム帝国領事館内ヘ本邦商品ノ見本陳列ノ件ニ付、回答書ヲ発ス（回答書ノ全文ハ参照ノ部第三号ニ掲載ス）

東京商業会議所月報　　第一一号・第七頁　明治二六年七月
○参照第三号
　去四月十七日付ヲ以テ在伊国パレルム帝国領事館内ヘ本邦商品ノ見本陳列ノ件ニ付、右領事ノ報告書ヲ当業者ヘ開示シ出品希望者ノ有無等御回報致候様御通牒有之候処、右ハ目下海外ヘ輸出スル金属器陶磁器・紙製品・蒔絵・牙角竹木具ノ彫刻及細工物ノ如キ雑貨ヲ取扱候者ニ取リテ最モ必要可有之ト存候ニ付、其後先以此等営業者ノ団結セル東京貿易雑貨商組合ヘ御通牒ノ趣旨委細開示ノ上、物品希望者《（出カ）》ノ有無問合置候処、今般同組合員中ニハ希望ノ者無之旨同組合ヨリ申出有之、就テハ差向ノ所当市ニ於テハ他ニ希望者モ有之間敷ト存シ候間、左様御承知相成度此段及御回答候也
　　明治二十六年六月八日
　　　　　　　　　　　　東京商業会議所会頭　渋沢栄一
　　　　農商務省商工局長　若宮正音殿

第三回東京商業会議所事務報告　　第三二頁　明治二七年四月刊
一在伊国パレルム帝国領事館内ヘ本邦商品ノ見本陳列ノ儀ニ付、農商務省商工局長ヨリ照会ノ件
　本件ハ明治二十六年四月十七日附ヲ以テ若宮商工局長ヨリノ照会ニ係リ、其要旨ハ在伊国パレルム帝国名誉領事ニ於テ、日・伊間ノ貿易拡張ヲ計ラン為メ同領事館内ヘ本邦商品見本陳列ノ儀ヲ外務省ヘ具申シタルニ付、出品希望者ノ有無等ニ付本会議所ノ報告ヲ得タシト云フニ在リ、依テ其後当業者ニ照会ノ上同年六月八日附ヲ以テ左ノ如ク同局長ヘ回報シタリ
　　　○回答文ハ月報所載ノモノト同一ニツキ略ス。