デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治29年9月15日（1896年）

是日栄一当会議所会頭トシテ、商法ニ株式合資会社ノ規定ヲ設クルノ必要ナル旨ヲ法典調査会ニ回答ス。

東京商業会議所月報　　第四七号・第四頁　明治二九年七月
○同月　○六月十八日午後五時　本会議所事務所ニ於テ役員会議ヲ開キ、法典調査会ヨリ照会ニ係ル株式合資会社ニ関スル件ヲ審議シ、午後九時閉会ス

東京商業会議所月報　　第五〇号・第一三頁　明治二九年一〇月
○九月十二日、本会議所事務所ニ於テ第五十四回臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者ハ左ノ如シ
　朝吹英二君　○外二十六名氏名略
午後六時五分開議、会頭渋沢栄一君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ、午後九時五十分閉会ス
　一、株式合資会社ノ件
本件ハ全会一致ヲ以テ役員会議ノ意見ノ如ク法典調査会ヘ回報スルニ決ス

東京商業会議所月報　　第五〇号・第一五頁　明治二九年一〇月
○同月　○九月十四日、株式合資会社ノ件ニ関シ法典調査会ヘ回報書ヲ発送ス

第六回東京商業会議所事務報告　　第二四頁　明治三〇年四月刊
一株式合資会社ノ義ニ関シ法典調査会ヘ答申ノ件
　本件ハ明治二十九年六月四日附ヲ以テ、法典調査会ヨリノ照会ニ係リ、其要旨ハ我国ノ商法ハ合名会社・合資会社・株式会社ノ三種商事会社ヲ認ムルノミナリ、就テハ今回商法ノ調査ニ際シ、欧洲諸国ニ行ハルヽ株式合資会社ナルモノヽ規定ヲ設クヘキヤ否ヤ、商業上必要・不必要ノ理由至急回報ヲ得タシト云フニ在リ、仍テ役員会議ノ意見ヲ附シテ之ヲ明治二十九年九月十二日、第五十四回ノ臨時会議ニ提出シ其可決ヲ得、同月十五日附ヲ以テ左ノ如ク同会ヘ答申セリ
　　六月四日附ヲ以テ御照会相成候株式合資会社ノ件、篤ト逐審議候処我商法ハ合名・合資・株式三種ノ商事会社ヲ認ムルノミニシテ右ノ外ハ設立ヲ許サヽル規定ニ候得共、商事会社ノ如キハ単ニ以上ノ三種ニ止メス、成ルヘク異種ノ者ヲモ認メ企業者ニ選択ノ余
 - 第21巻 p.174 -ページ画像 
地ヲ与ヘ候方便利ナルノミナラス、事業ノ種類ニヨリテハ特種ノ経験ヲ要スルモノモ尠カラス、此等ノ業態ニ在リテハ事ニ当ル者ヲシテ屡々更迭スルカ如キコト無カラシメ、且ツ其負フ所ノ責任ヲシテ重カラシムルノ要アリ、此種ノ事業ヲ経営スルニ当リ株式合資会社ノ組織ニ依ルトキハ前記ノ目的ヲ達シ得ヘキカ上ニ、普通株式会社ノ如ク広ク資金ヲ募集シ得ルノ便アルヲ以テ、会社法中右ニ関スル規定ヲ御加ヘ相成候ハ必要ノ義ト被存候、此段本会議所ノ決議ニ依リ及御回答候也
　　　明治二十九年九月十五日
　　　　　　　　　　　　東京商業会議所会頭　渋沢栄一
　　　　　法典調査会　御中
　　　○回答書日附ハ第六回東京商業会議所事務報告ニヨレバ九月十五日ニシテ、東京商業会議所月報第五十号ニハ同十四日発送ノ如ク記セリ。ココニハ十五日ヲ採ル。
　　　○法典調査会ハ明治三十年十二月十七日ヲ以テ商法ニ関スル議事ヲ終了シ商法修正案ヲ起草セシガ、起草案第二編第五章ニ於テ株式合資会社ニ関スル諸規定ヲ設ケタリ（法典修正案参考書）。其後同修正案ハ帝国議会ヘ提出サレ、貴衆両院ヲ殆ンド無修正ニテ通過シ、明治三十二年三月九日法律第四十八号トシテ公布セラレタリ。（日本商法典の編纂と其改正）