デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治29年12月16日（1896年）

是ヨリ先第五回臨時商業会議所聯合会ニ於テ、貿易発達ノ為メ金融機関ヲ拡張シ領事官制ヲ拡張改良スルノ儀議決セラレ、当会議所之ヲ調査中ナリシガ、是日右ハ目下開設中ノ農商工高等会議ノ議題ナルヲ以テ特ニ調査スルノ必要ナキ旨ヲ議決ス。栄一会頭トシテ之ニ与ル。

第六回東京商業会議所事務報告　　第三七頁　明治三〇年四月刊
一海外貿易上金融機関拡張ノ義調査ノ件及ヒ領事官制ノ拡張改良ノ義調査ノ件
　右二件ハ第五回臨時商業会議所聯合会ノ可決ヲ経タルモノニ係リ、其要旨ハ、海外貿易上金融機関ヲ拡張シ及ヒ領事官制ヲ改良拡張スルハ共ニ必要ニ付、之ヲ政府ニ建議シ且ツ議会ニ請願スヘシト云フニ在リ、依テ之ヲ明治二十九年六月三日第五十三回ノ臨時会議ニ附シタルニ、委員七名ヲ設ケテ之ニ其調査ヲ附託スルコトニ決シ、議長ハ左ノ諸君ヲ委員ニ指名セリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　益田孝君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　矢野二郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝吹英二君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加藤徳三君《（加東徳三君）》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今村清之助君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岩谷松平君
 - 第21巻 p.221 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉田幸作君
　其後委員ハ調査ノ末左ノ如ク報告シタルニ付、之ヲ同年十二月十六日第五十七回ノ臨時会議ニ附シ、其可決ヲ得タリ
　　嘗テ全会ヨリ附託セラレタル海外貿易上金融機関拡張ノ件及領事官制ノ拡張改良ノ件ハ其後篤ト遂審議候処、右二件ハ本年三月十二日本会議所カ海外直輸出入業ニ関スル農商務省商工局長ノ照会ニ対シテ答申スルニ当リ、共ニ海外直輸出入業ノ発達ヲ援助スヘキ手段方法ノ一トシテ論述シタル所ニシテ、其大体ニ於テハ固ヨリ本委員ノ同意ヲ表スル所ナリ、然ルニ此二件ハ共ニ今般開設セラレタル農工商高等会議ノ題案トナリ、同会議ニ於テハ可決ノ上其方法ニ就テモ既ニ議定スル所アリタリト云ヘハ、今更ニ之ヲ調査スルノ必要ナシト議決致候、此段及御報告候也
　　　　海外貿易上金融機関拡張ノ件・領事官制ノ拡張改良ノ件
　　　　　　　　　　　　　　　　調査委員長　加藤徳三
　　　明治二十九年十二月九日
　　　　　東京商業会議所会頭　渋沢栄一殿
　　　○本巻明治二十九年三月十二日、同年四月二十五日ノ条、本資料第二十二巻所収「商業会議所聯合会」明治三十四年九月十五日、同三十五年十二月九日ノ条、並ニ第二十三巻所収「農商工高等会議」明治二十九年十月二十一日ノ各条参照。