デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.255-258(DK210033k) ページ画像

明治30年6月12日(1897年)

是ヨリ先、法典調査会ヨリ商業上ノ法定利率ヲ年五分ト定ムルノ当否ニツキ照会アリシガ、是日栄一当会議所会頭トシテ、年六分ヲ至当トスル旨回答ス。


■資料

東京商業会議所月報 第五四号・第一四頁 明治三〇年二月 【○同月 ○一月二十七…】(DK210033k-0001)
第21巻 p.255 ページ画像

東京商業会議所月報  第五四号・第一四頁 明治三〇年二月
○同月 ○一月二十七日、法典調査会ヨリ商業上ニ於ケル法定利率取調方ニ関シ依頼書ヲ接受ス(依頼書ノ全文ハ参照ノ部第二号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第五四号・第一六―一七頁 明治三〇年二月 【○参照第二号 明治三十年一月…】(DK210033k-0002)
第21巻 p.255-256 ページ画像

東京商業会議所月報  第五四号・第一六―一七頁 明治三〇年二月
○参照第二号
 明治三十年一月二十六日商業上ニ於ケル法定利率ノ件ニ関シ法典調
 - 第21巻 p.256 -ページ画像 
査会ヨリ接受セシ依頼書ノ全文ハ左ノ如シ
乙第百四十九号
別紙ノ問題、本会調査上必要ニ付キ至急御意見承リ度、此段及御依頼候也
  明治三十年一月二十六日         法典調査会
    東京商業会議所 御中
(別紙)
    問題
 一 商業上ニ於テ法定利率ハ民法第四百四条ノ規定ニ従ヒ年五分トスルモ差支ナキカ
 二 若シ差支アリトセハ、年幾分トスルヲ相当トスヘキカ
   (説明) 法定利率トハ契約上明カニ利率ヲ定メスシテ単ニ利息ヲ支払フヘキ旨ヲ約シタル場合、其他遅延利息・立替金ノ利息等契約上利息ノ定ナキモ法律上当然之ヲ支払フヘキ場合ニ於ケル利率ヲ謂フ、民法ニ於テハ此利率ヲ年五分トセルモ、外国ニ於テハ商業上ノ利率ハ民事上ノ利率ヨリ貴キモノトセル例尠カラス、旧商法ニ於テモ従来一般ノ法定利率ハ六分ナルニ拘ハラス商事上ニ於テハ特ニ之ヲ七分トセリ(明治十年九月十一日布告第六十六号利息制限法第三条・商法第三百三十四条)参考ノ為メ左ニ外国ノ例ヲ示サン

    国名       民事利率   商事利率
    仏        五分       六分
          現行法五分       六分
    独                   
          新民法四分   商法草案五分
    白        五分       六分
    蘭        五分       六分
    嗹馬       四分       六分
    澳        五分       五分
    伊        五分       五分
    瑞西       五分       五分
    葡        五分       五分
    西        六分       六分



銀行通信録 第一三六号・第八四―八五頁 明治三〇年三月 ○東京同盟銀行定式集会録事(DK210033k-0003)
第21巻 p.256-257 ページ画像

銀行通信録  第一三六号・第八四―八五頁 明治三〇年三月
    ○東京同盟銀行定式集会録事
二月十五日午後四時より同盟銀行第百六十九回定式集会を開き、来会するもの二十四名なり、是日定刻を過き正副会長出席なきを以て、山川勇木氏会長席に着き協議に先たち
○中略 次に商業上に於ける法定利率の義に付東京商業会議所より照会の件を協議に付し、結局委員を選み調査すへきことに決し、而して其委員は会長の指名を以て左の三氏へ委托せり
  池田謙三  佐々木勇之助  三村君平
○中略
    商業会議所照会書
 今般法典調査会より商業上に於ける法定利率の義に付別紙の通り本
 - 第21巻 p.257 -ページ画像 
会議所へ照会有之、目下本会議所に於て調査中の処、右に関し参考の為め銀行営業者の所見承知仕度に付、乍御手数貴集会所に於て御審議の上其御意見御廻示相成候様仕度、此段御依頼申上候也
  明治三十年二月一日
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    東京銀行集会所会長 渋沢栄一殿
(別紙写)
   ○別紙写ハ前掲法典調査会ノ依頼書中ノ別紙ト同一ナルニツキ略ス。


銀行通信録 第一三九号・第一一八―一一九頁 明治三〇年六月 ○東京同盟銀行定式会(DK210033k-0004)
第21巻 p.257 ページ画像

銀行通信録  第一三九号・第一一八―一一九頁 明治三〇年六月
    ○東京同盟銀行定式会
五月十七日午後四時より同盟銀行第百七十二回定式会を開き ○中略 兼て東京商業会議所より照会ありし商業上法定利率の件は、此程委員会の調査を経、本月十一日左の通回答したる事を報道し ○中略 九時下退会せり
      商業会議所回答案
兼て法典調査会より商業上に於ける法定利率の儀、貴会議所へ御諮詢有之候に付、銀行営業者の所見御承知被成度御照会に付、過日来評議候処此程相決し候に付、御参考の為め右決議の要領相添へ此段御回答申上候也
                 東京銀行集会所
  明治三十年五月 日       会長 渋沢栄一
    東京商業会議所会頭 渋沢栄一殿
      法定利率決議要領
凡そ商業は利益を収得するを以て目的となすか為め多少の経費を要するのみならす、一般商業上の資本は通常の資産より多くの利益を生すべきものなるか故に、商事上の法定利率は民事上の利率より一段高きを当然なりと思考す、依て当銀行集会所は、民事上の利率を年五分、商事上の利率を年六分と定めんことを希望す


東京商業会議所月報 第五九号・第二―三頁 明治三〇年七月 【○明治三十年六月十一…】(DK210033k-0005)
第21巻 p.257 ページ画像

東京商業会議所月報  第五九号・第二―三頁 明治三〇年七月
○明治三十年六月十一日、本会議所ニ於テ第六十四回臨時会議ヲ開ク当日ノ出席者ハ左ノ如シ
 林九兵衛君 ○外十七名氏名略
午後六時四十分開議、渋沢栄一君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ、午後七時三十分閉会ス
○中略
 一商事上ニ於ケル法定利率ノ儀ニ付法典調査会ヨリ照会ノ件
                      (役員会議提出)
本件ハ全会一致ヲ以テ原按ニ可決ス


東京商業会議所月報 第五九号・第三頁 明治三〇年七月 【○同月 ○六月十二日…】(DK210033k-0006)
第21巻 p.257 ページ画像

東京商業会議所月報  第五九号・第三頁 明治三〇年七月
○同月 ○六月十二日、商事上ニ於ケル法定利率ノ件ニ付法典調査会ヘ回報書ヲ発送ス(回報書ノ全文ハ参照ノ部第六号ニ掲載ス)
 - 第21巻 p.258 -ページ画像 


東京商業会議所月報 第五九号・第一〇頁 明治三〇年七月 【○参照第六号 明治三十年六月…】(DK210033k-0007)
第21巻 p.258 ページ画像

東京商業会議所月報  第五九号・第一〇頁 明治三〇年七月
○参照第六号
 明治三十年六月十一日第六十四回臨時会議ノ決議ニ基キ、商事上ニ於ケル法定利率ノ件ニ付、同月十二日法典調査会ヘ発送セシ回報書ノ全文ハ左ノ如シ
本年一月二十六日附ヲ以テ御照会相成候商事上ニ於ケル法定利率ノ件其後篤ト遂調査候処、商事上ノ法定利率ハ民事上ノ利率ヨリ高キヲ当然ナリト思考スルニ付、本会議所ハ民事上ノ利率ヲ年五分ト定メラルル以上ハ、商事上ノ利率ハ年六分ト定ムルヲ至当ト認メ候、此段本会議所ノ決議ニ依リ及御回答候也
  明治三十年六月十二日
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
     法典調査会 御中
   ○法典調査会ハ当会議所並ニ各地商業会議所ノ意見ヲ参照シ、商業上ノ法定利率ヲ年六分トスベキモノト決定(商法修正案参考書第二七六条参照)明治三十二年三月九日公布ノ商法第二七六条モ調査会ノ決定ヲ採用シテ年六分ト規定セリ。