公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第21巻 p.348-356（DK210056k） ページ画像
明治31年12月5日（1898年）
是日栄一当会議所会頭トシテ、農商務省所管ニ係ル外国貿易拡張費中ニ特ニ外国商業実修補助費ノ一項ヲ設ケ、毎年実修生五十名ヲ派遣シ継続十年総員五百名ヲ養成スルノ目的ヲ以テ、一ケ年十五万円宛ヲ支出センコトヲ農商務大臣曾禰荒助・大蔵大臣伯爵松方正義ニ建議シ、貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。
東京商業会議所月報 第七五号・第一―二頁 明治三一年一一月 【○明治三十一年十月六…】（DK210056k-0001）
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東京商業会議所月報 第七五号・第一―二頁 明治三一年一一月
○明治三十一年十月六日、本会議所ニ於テ第七十二回臨時会議ヲ開ク当日出席者ノ氏名左ノ如シ
武田忠臣君 ○外十七名氏名略
午後六時開議、渋沢会頭病気ノ為メ欠席ニ付副会頭大江卓君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ、午後九時閉会ス
○中略
一第七回商業会議所聯合会決議事項処分ノ件 （役員会議提出）
本件ハ全会一致ヲ以テ之ヲ可決シ、委員ノ指名ハ議長ニ一任シタルニ依リ、議長ハ各種委員ヲ左ノ如ク指名セリ（本件ノ全文ハ参照ノ部第三号ニ掲載ス）
○中略
外国商業実修補助費ノ増加ヲ政府ニ
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建議スル件調査委員
長尾三十郎君
上田安三郎君
武田忠臣君
池田謙三君
吉田幸作君
益田克徳君
北村英一郎君
東京商業会議所月報 第七五号・第八―九頁 明治三一年一一月 【○参照第三号 明治三十一年十…】（DK210056k-0002）
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東京商業会議所月報 第七五号・第八―九頁 明治三一年一一月
○参照第三号
明治三十一年十月六日、臨時会議ノ可決ヲ経タル第七回商業会議所聯合会決議事項処分ノ件ノ全文ハ左ノ如シ
○中略
第十六号 外国商業実修補助費ノ増加ヲ政府ヘ建議スルノ件
（横浜提出）
本件ハ委員七名ヲ撰挙シ調査ヲ附託スル事
東京商業会議所月報 第七五号・第四頁 明治三一年一一月 【○同月 ○十月八日午…】（DK210056k-0003）
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東京商業会議所月報 第七五号・第四頁 明治三一年一一月
○同月 ○十月八日午前九時、本会議所ニ於テ外国商業実修補助費ノ増加ヲ政府ニ建議スル件調査委員会議ヲ開キ、委員長ヲ選挙セシニ、其結果左ノ如クニシテ、午前十時閉会ス
委員長 益田克徳君
東京商業会議所月報 第七六号・第一頁 明治三一年一二月 【○同月 ○一一月二十…】（DK210056k-0004）
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東京商業会議所月報 第七六号・第一頁 明治三一年一二月
○同月 ○一一月二十一日午後五時、本会議所ニ於テ委員会議ヲ開キ、外国商業実修補助費ノ増加ヲ政府ニ建議スル件ヲ審議シ、午後七時三十分閉会ス
東京商業会議所月報 第七七号・一六頁 明治三二年一月 【○同月 ○明治三一年…】（DK210056k-0005）
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東京商業会議所月報 第七七号・一六頁 明治三二年一月
○同月 ○明治三一年一二月三日午後三時、本会議所ニ於テ委員会議ヲ開キ、外国商業実修補助費ノ増加ヲ政府ニ建議スル件ヲ審議シ、午後四時閉会セリ
東京商業会議所月報 第七七号・第一三―一四頁 明治三二年一月 【○明治三十一年十二月…】（DK210056k-0006）
第21巻 p.349 ページ画像
東京商業会議所月報 第七七号・第一三―一四頁 明治三二年一月
○明治三十一年十二月三日、本会議所ニ於テ第七十五回ノ臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者ハ左ノ如シ
河村隆実君 ○外三十名氏名略
午後五時開議、会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ午後八時閉会セリ
○中略
一外国商業実修補助費ノ増加ヲ政府ニ建議スル件調査報告
（委員会議提出）
本件ハ全会一致ヲ以テ報告案ノ如ク可決セリ
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東京商業会議所月報 第七七号・第一七頁 明治三二年一月 【○同月 ○明治三一年…】（DK210056k-0007）
第21巻 p.350 ページ画像
東京商業会議所月報 第七七号・第一七頁 明治三二年一月
○同月 ○明治三一年一二月五日、外国商業実習補助費ノ増加ニ関スル建議書ヲ農商務・大蔵両大臣ニ進達シ、同請願書ヲ貴族・衆議両院ニ呈出ス
（建議書・請願書ノ全文ハ参照ノ部第一号ニ掲載ス）
東京商業会議所月報 第七七号・第一七―一九頁 明治三二年一月 【○参照第一号 明治三十一年十…】（DK210056k-0008）
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東京商業会議所月報 第七七号・第一七―一九頁 明治三二年一月
○参照第一号
明治三十一年十二月三日第七十五回臨時会議ノ決議ニ依リ、外国商業実修補助費ニ関シ、農商務・大蔵大臣ニ進達セシ建議書、貴族・衆議両院ニ呈出セシ請願書ノ全文ハ左ノ如シ
外国商業実修補助ニ関スル建議（請願）
外国商業ニ実験アル人材ノ輩出ヲ謀ルハ貿易事業ヲ拡張スル一大捷径ナリ、我政府此ニ見ルアリ、明治二十九年度以後農商務省ノ所管歳出臨時部第三款外国貿易拡張費中ヨリ若干ノ費額ヲ支出シ、以テ外国商業実修ノ補助ニ充ツト雖トモ、予算金額過少ナルカ為メ、補助ヲ受クル生員ハ一年十名内外ニ過キスシテ、到底目的ニ応スル能ハス、故ニ本会議所ハ此際外国貿易拡張費中ニ特ニ「外国商業実修補助費」ノ一項ヲ設ケ、毎年実修生五十名ヲ派遣シ、継続十年総員五百名ヲ養成スルノ目的ヲ以テ、一ケ年十五万円ツヽヲ支出セラレン事ヲ希望ス、撰抜・年限・支給等ノ方法ハ別紙参考書ニ具載ス
右本会議所ノ決議ニ依リ建議（請願）仕候也
明治三十一年十二月五日
東京商業会議所会頭 渋沢栄一
農商務大臣 曾禰荒助殿
大蔵大臣 伯爵 松方正義殿
宛（各通）
貴族院議長 公爵 近衛篤麿殿
衆議院議長 片岡健吉殿
（参考書）
一実修生人員ノ事
実修生ハ毎年五十名ヲ派遣シ、継続十年ニ及ヒ総員五百名ヲ養成スルヲ目的トシ、一名ノ実修期間ヲ四年ト定メ、其配置ハ概略左記ノ如クナラン事ヲ要ス
支那 十人（但北京地方・山海関・天津・牛荘・芝罘・漢口・重慶・福州・広東・東京各一人）
濠洲 五人 比律賓群島 一人
暹羅 一人 爪哇 一人
緬甸 一人 印度 三人
埃及 一人 以多利 一人
仏蘭西 四人 白耳義 一人
英吉利 五人 墺太利 一人
和蘭 一人 独逸 三人
露西亜 三人 北米合衆国 五人
加奈陀 二人 墨西哥 一人
此レ固ヨリ梗概ヲ表示スルニ過キサルカ故ニ、実行ニ際シテハ多少
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ノ異動ヲ生スヘシト雖モ、大要是クノ如クニ可成タケ広ク配置セラルヽコトヲ要ス、但其実修スベキ商工業ニ至テハ、事情ノ許ス限リ異種異類ノ者多カラシムルヲ主眼トスヘク、従テ毎年之ヲ派遣スルニ当テハ、同一国内ト雖モ自カラ其実修地ヲ異ニスヘキモノアルヤ論ヲ待タス、此等ノ斟酌商量ハ宜シク当局者ノ留心スヘキ所タリ
一実修生撰抜ノ事
現時補助スル所ノ実修生ハ、実業学校又ハ尋常中学校ヲ卒業シテ或ル期間商工業ニ従事シ、略ホ目的地ノ語学ニ通スルヲ必要ノ資格トスレトモ、是クノ如キハ偏狭ノ嫌アルヲ免レス、本来補助費ヲ給スルハ其目的外国商工業ニ実験アル人材ノ輩出ヲ謀ルニ外ナラサレハ必シモ実業学校若クハ尋常中学校ノ卒業ヲ以テ必要資格ト為スヲ要セズ、苟クモ商工業ニ従事シ、身体健全・志操確実、略ホ目的地ノ語学ニ通シテ特種ノ技能ヲ具フル者ハ、其出身ノ如何ヲ問ハス之ヲ撰抜派遣シテ可ナリ、而シテ撰抜ニ関スル手続ノ如キハ随時其地ノ商業会議所ニ謀議セラレンコトヲ望ム
二補助費ノ事
補助費多キニ過クレハ弊ヲ生シ易シト雖トモ、少ナキニ過クルトキハ亦決シテ目的ヲ達スル能ハズ、現時支給セラルヽ補助費ハ其金額過少ニ失シ、相当ノ資力アル者ニ非レハ之ニ応スル能ハザル事実アリ、抑モ補助ノ要ハ其志アルモ資力ノ之ニ伴ハサル者ヲ誘掖スルニ在リ、而シテ事ニ当テ堅忍不抜ナル、富裕ノ徒ニ少ナクシテ資力乏シキ輩ニ多キコト普通ノ状態ナレバ、少ナクトモ目的地ニ於ケル生活費ノ三分二ハ之ヲ補助スルノ必要アリ、故ニ其支給額ハ概要左ノ如ク定メラレン事ヲ望ム
実修生五十人一ケ月支給補助費
欧・米・濠洲・埃及滞在実修生 三十三人
初年 一ケ月 八十円
二年 同 七十円
三年 同 六十円
四年 同 五十円
印度・暹羅・緬甸・爪哇・比律賓群島同上 七人
初年 一ケ月 六十円
二年 同 五十二円五十銭
三年 同 四十五円
四年 同 三十七円五十銭
支那 十人
初年 一ケ月 四十円
二年 同 三十五円
三年 同 三十円
四年 同 二十五円
蓋シ実修期間ヲ四年ト定ムルヲ至当トスル所以ハ、縦令目的地ノ語学ニ通スル者ヲ撰抜スルモ、当初ノ半年乃至一年ハ其地ノ言語習俗ニ慣レズ、専心目的ノ商工業ニ従事シ難キ事情アルヘキヲ以テ実地練修ノ期間ハ三年ト看做シ、通シテ之ヲ四年トセルナリ、従テ其未
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タ言語習俗ニ慣レサル間ハ生活費亦自カラ多キヲ要スヘキカ故ニ初年ノ支給額ハ之ヲ多クシ以下逓次減額セリ、何トナレハ二年以下ニ至レハ其従事スル商館若クハ工場ヨリ多少ノ俸給ヲ受クルヲ得ヘク補助ヲ必要トスルノ度逓次減却スヘケレハナリ、此計算ニ依リ毎年五十名ノ実修生ヲ派遣シ継続十年ニ及フ者トシ之ニ要スル総費額ヲ算出スレハ左ノ如シ
年次 人員 費額
円
初年 五〇 四一、五二〇
二年 一〇〇 七七、八五〇
三年 一五〇 一〇八、九九〇
四年 二〇〇 一三四、九四〇
五年 二〇〇 一三四、九四〇
六年 二〇〇 一三四、九四〇
七年 二〇〇 一三四、九四〇
八年 二〇〇 一三四、九四〇
九年 二〇〇 一三四、九四〇
十年 二〇〇 一三四、九四〇
十一年 一五〇 九三、四二〇
十二年 一〇〇 五七、〇九〇
十三年 五〇 二五、九五〇
計 一、三四九、四〇〇
外ニ旅費一人ニ付平均二百五十円、毎年一万二千五百円トシ一年間積算 一二五、〇〇〇
通計 一、四七四、四〇〇
旅費ハ派遣ノ際汽船・汽車共ニ中等実費ヲ給スルコトヽシテ概算セリ、但帰朝旅費ハ之ヲ支給セサル計算ナリ
以上ハ則チ外国商業実修補助費ニ関スル本会議所ノ意見ナリ、其外国貿易拡張費中ニ於テ特ニ本費ノ一項ヲ設ケラレンコトヲ希望スル所以ノモノハ、他ノ費目ト流用スルカ如キコトナク年々必ス予定ノ人員ヲ派遣セラレンコトヲ望ムカ為メナリ、幸ニ本意見ニシテ採容セラルヽアラバ前途貿易事業ノ拡張期シテ待ツベク、其国家ニ与フル利益必スヤ著大ナルヘキヲ信ス
○本巻明治二十九年三月十二日、同三十一年五月二十日ノ両条参照。
〔参考〕第十三回帝国議会衆議院議事速記録 第一一号・第一〇〇―一〇一頁 明治三一年一二月刊（DK210056k-0009）
第21巻 p.352-355 ページ画像
第十三回帝国議会衆議院議事速記録 第一一号・第一〇〇―一〇一頁 明治三一年一二月刊
○明治三十一年十二月二十日（火曜日）午後一時八分開議
○議長（片岡健吉君） ○中略 議事日程ノ第三、実業練習生補助費ニ関スル建議案ニ移リマス
第三 実業練習生補助費ニ関スル建議案
（井上角五郎君外三名提出）
実業練習生補助費ニ関スル建議案
外国商業ニ実験アル人材ノ輩出ヲ謀ルハ貿易事業ヲ拡張スル一大捷径ナリ、我政府此ニ見ルアリ、明治二十九年度以後農商務省所管歳出臨時部第三款外国貿易拡張費中ヨリ若干ノ費額ヲ支出シ、以テ外
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国商業練習ノ補助ニ充ツト雖モ、予算金額過少ナルカ為メ、補助ヲ受クル生員ハ一年十名内外ニ過キスシテ、到底目的ニ応スル能ハス故ニ本院ハ此ノ際外国貿易拡張費中実業練習生補助費ヲ増加シ、以テ左ノ方法ヲ実行セラレムコトヲ望ム
一練習生人員ノ事
練習生ハ毎年五十名ヲ派遣シ、継続十年ニ及ヒ総員五百名ヲ養成スルヲ目的トシ、一名ノ練習期間ヲ四年ト定メ、其ノ配置ハ概略左記ノ如クナラムコトヲ要ス
支那 十人（但北京地方・山海関・天津・牛荘・芝罘・漢口・重慶・広東・東京・福州各一人）
濠洲 五人 比律賓群島 一人
暹羅 一人 爪哇 一人
緬甸 一人 印度 三人
埃及 一人 以多利 一人
仏蘭西 四人 白耳義 一人
英吉利 五人 墺太利 一人
和蘭 一人 独逸 三人
露西亜 三人 北米合衆国 五人
加奈陀 二人 墨西哥 一人
是レ固ヨリ梗概ヲ表示スルニ過キサルカ故ニ、実行ニ際シテハ多少ノ異動ヲ生スヘシト雖モ、大要斯ノ如クニ成ルヘクタケ広ク配置セラルルコトヲ要ス、但其ノ練習スヘキ商工業ニ至テハ、事情ノ許ス限リ異種異類ノ者多カラシムルヲ主眼トスヘク、従テ毎年之ヲ派遣スルニ当テハ、同一国内ト雖モ自カラ其ノ練習地ヲ異ニスヘキモノアルヤ論ヲ待タス
一練習生撰抜ノ事
現時補助スル所ノ練習生ハ、実業学校又ハ尋常中学校ヲ卒業シテ或期間商工業ニ従事シ、略ホ目的地ノ語学ニ通スルヲ必要ノ資格トスレトモ、斯ノ如キハ偏狭ノ嫌アルヲ免レス、本来補助費ヲ給スルハ其ノ目的外国商工業ニ実験アル人材ノ輩出ヲ謀ルニ外ナラサレハ、必スシモ実業学校若クハ尋常中学校ノ卒業ヲ以テ必要資格ト為スヲ要セス、苟モ商工業ニ従事シ、身体健全・志操確実略ホ目的地ノ語学ニ通シテ特種ノ技能ヲ具フル者ハ、其ノ出身ノ如何ヲ問ハス之ヲ選抜派遣シテ可ナリ、而シテ撰抜ニ関スル手続ノ如キハ随時其ノ地ノ商業会議所ニ謀議セラレムコトヲ望ム
一補助費ノ事
補助費多キニ過クレハ弊ヲ生シ易シト雖モ、少ナキニ過クルトキハ亦決シテ目的ヲ達スル能ハス、現時支給セラルル補助費ハ其ノ金額過少ニ失シ、相当ノ資力アル者ニ非サレハ之ニ応スル能ハサル事実アリ、抑モ補助ノ要ハ其ノ志アルモ資力ノ之ニ伴ハサル者ヲ誘掖スルニ在リ、而シテ事ニ当テ堅忍不抜ナルハ富裕ノ徒ニ少ナクシテ資力乏シキ輩ニ多キコト普通ノ状態ナレハ、少ナクトモ目的地ニ於ケル生活費ノ三分二ハ之ヲ補助スルノ必要アリ、故ニ其ノ支給額ハ概要左ノ如ク定メラレムコトヲ望ム
練習生五十人一箇月支給補助費
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欧・米・濠洲・埃及滞在練習生 三十三人
初年 一箇月 八拾円
二年 同 七拾円
三年 同 六拾円
四年 同 五拾円
印度・暹羅・緬甸・爪哇・比律賓群島同上 七人
初年 一箇月 六拾円
二年 同 五拾弐円五拾銭
三年 同 四拾五円
四年 同 参拾七円五拾銭
支那同上 十人
初年 一箇月 四拾円
二年 同 参拾五円
三年 同 参拾円
四年 同 弐拾五円
蓋シ練習期間ヲ四年ト定ムルヲ至当トスル所以ハ、縦令目的地ノ語学ニ通スル者ヲ選抜スルモ、当初ノ半年乃至一年ハ其ノ地ノ言語習俗ニ慣レス、専心目的ノ商工業ニ従事シ難キ事情アルヘキヲ以テ、実地練習ノ期間ハ三年ト看做シ、通シテ之ヲ四年トナセルナリ、従テ其ノ未タ言語習俗ニ慣レサル間ハ、生活費亦自カラ多キヲ要スヘキカ故ニ、初年ノ支給額ハ之ヲ多クシ以下逓次減額セリ、何トナレハ二年以下ニ至レハ其ノ従事スル商館若クハ工場ヨリ多少ノ俸給ヲ受クルヲ得ヘク、補助ヲ必要トスルノ度逓次減却スヘケレハナリ
練習生ニ支給スヘキ旅費ハ派遣ノ際、汽船・汽車共ニ中等実費ヲ与フルコトトシ、帰朝ノ際ハ之ヲ給セサルコト現行ノ如クニシテ可ナリ
以上ハ則チ実業練習生補助費ニ関スル本院ノ意見ナリ、之ヲ実行スルニ要スル斟酌商量ノ如キハ固ヨリ当局者ニ一任ス、本意見ニシテ行ハルルニ至テハ前途貿易事業ノ拡張期シテ待ツヘク、其ノ国家ニ与フル利益必スヤ著大ナルヘキナリ
右建議ス
〔井上角五郎君演壇ニ登ル〕
○井上角五郎君（百八十番） 諸君、本員ハ実業練習生補助費ニ関スル建議案、此案ヲ提出致シマシタ所ノ理由ヲ申上ゲマス、此案ハ提出ノ理由ヲ申上ゲル程ノ必要ナルモノハ、既ニ案ノ中ニ総テ書認メテ置キマシテゴザイマスカラ、此処デ再ビ申上ゲル必要ハナイ、唯政府ガ今日マデ遣リ来ツテ居ル所ノ彼ノ海外貿易拡張費中ノ実業練習生補助費ト云フモノハ、其金高タルヤ少イ、其人選タルヤ思ハシクナク、且ツ其方法タルヤ未ダ以テ当ヲ得タリト云フコトガ出来ナイト云フノガ、此建議案ヲ提出シタ理由デゴザイマス、サウ致シマシテ尚ホ附加ヘテ望ムノハ、此問題タルヤ既ニ提出シタ所ノ人ノ名前ヲ見テモ、若クハ賛成者ノ名前ヲ見テモ、蓋シ議場全体御賛成下サルコトデアラウト考ヘテ居リマス、凡ソ此議会ニ成立ツタ建議案ニシテ、政府ハソレヲ取
- 第21巻 p.355 -ページ画像
リツパナシニシテ未ダ実行セザルモノガアル、総テ彼等ハ実行シテ貰ヒタイト云フ望ト同時ニ、此建議案ヲ再ビ左様ナコトニセラレテハ甚ダ困ルカラ、政府ハドウカ其思召ヲ以テ速ニ可決シタト同時ニ、実施セラレルヤウニ御運ビアランコトヲ望ムト云フ、是ダケデゴザイマス
○西川宇吉郎君（二百三十番） 此案ハ誠ニ結構ナ案デゴザイマスデ、両手ヲ挙ゲテ賛成ヲ致シマス、尚ホ議長ノ指名デ九名ノ特別委員ニ付セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成々々」ノ声起ル〕
○恒松隆慶君（九十七番） 是ハ最モ吾々共賛成ヲ致シマス、サウ特別委員ニ付託スル程ノコトモナイ、即決ヲ望ミマス
○議長（片岡健吉君） 今特別委員ニ付シタイト云フ、二百三十番カラ動議ガアリマシテ賛成ガアリマスカラ……
○山内吉郎兵衛君（二百四十番） 私ノ賛成ト申シタノハ、本案ニ賛成シタノデ、特別委員説ニ賛成シタノデハアリマセヌ
○議長（片岡健吉君） サウスルト特別委員説ニ賛成ハアリマセヌカ
〔「アリマス、アリマス」ト呼フ者アリ「賛成々々」ト呼フ者アリ〕
○議長（片岡健吉君） ソレデハ特別委員説ニ賛成ガアリマスカラ、決ヲ採リマス、特別委員ヲ設クル説ニ賛成ノ諸君ハ、起立ヲ請ヒマス
起立者 多数
〔多数・少数ノ声交々起ル〕
○議長（片岡健吉君） 多数デアリマス、特別委員ニ付スルコトニナリマシタガ、此委員ハ議長ガ指名致シマシテ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ、異議ナシ」ノ声起ル〕
○議長（片岡健吉君） 御異議ガナケレバ議長ニ於テ特別委員九名ヲ指名致スコトニ致シマス――是デ議事日程ノ議事ハ終リマシタ
〔参考〕第十三回帝国議会衆議院議事速記録 第二三号・第二九九頁 明治三二年二月刊（DK210056k-0010）
第21巻 p.355-356 ページ画像
第十三回帝国議会衆議院議事速記録 第二三号・第二九九頁 明治三二年二月刊
明治三十二年二月三日（金曜日）午後一時七分開議
第十一 実業練習生補助費ニ関スル建議案
（井上角五郎君外三名提出） （委員長報告）
〔安部井磐根君演壇ニ登ル〕
○安部井磐根君（二百二十八番） 本会ノ委託ヲ受ケマシタ実業練習生補助費ニ関スル建議案ノ審査委員会ノ結果ヲ御報道申シマス、此案ハ即チ国富ヲ将来ニ望メバ、ソレダケノ手数・費用ヲ掛ケネバナラヌト云フ精神ヨリ来ツテ居リマシテ、委員等ハ敢テ之ヲ非トシマセヌ、独リ非トセザルノミナラズ、此趣意ヲ全ウセントスルニハ、之ニ加フルニ商況視察員ト云フモノヲモ派サネバナラヌ、斯ウ云フ議論ニ立入リマシテ、即チ御手許ニ回ツテ居リマスル通、末ノ以上ト云フモノヽ上ニ、商況視察費ト云フコトヲ加ヘマシテ、ソレニ随ツテ又此前案ノ第一ノ箇条ヲ――文字ヲ補充致シタノデゴザイマス、其塡補シタル文字ハ、既ニ諸君モ御承知ノ通ト存ジマスルデ、別段申シマセヌ、此他格別ノ異議モゴザイマセヌデ、一致デ決議致シマシタ、此段御報道申シマス
○議長（片岡健吉君） 本案ハ委員会ノ修正通デ御異議ハゴザイマスマ
- 第21巻 p.356 -ページ画像
イカ
〔「異議ナシ、異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
○議長（片岡健吉君） 御異議ガナケレバ、委員会ノ修正通決シマス
〔参考〕第十三回帝国議会貴族院議事速記録 第八号・第七〇頁 明治三一年一二月刊（DK210056k-0011）
第21巻 p.356 ページ画像
第十三回帝国議会貴族院議事速記録 第八号・第七〇頁 明治三一年一二月刊
明治三十一年十二月二十三日（金曜日）午前十時十七分開議
議事日程
○中略
第三十一 外国商業実修補助費ノ請願 会議
○中略
議長（公爵近衛篤麿君） ソレハ慣例ガアルコトデゴザイマスガ、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト述フル者多シ〕
然ラバ第六ヨリ第三十二マデ一括シテ問題ニ供シマス
○岡内重俊君 然リマスレバ第六ヨリ第三十二マデ一時ニ一括シテ報告致シマス、第六、北越……
○議長（公爵近衛篤麿君） 岡内君ニ御注意ヲ致シマス、報告ハ演壇デナサレタ方ガ宜シカラウト存ジマス
○岡内重俊君 如何様トモ議長ノ命令ニ……唯件数ダケデアリマスカラ是モ当席デ……
〔「ドウゾ簡単ニ願ヒマス」「演壇々々」ト述フル者アリ〕
〔岡内重俊君演壇ニ登ル〕
○岡内重俊君 第六、北越鉄道起点地タル新潟停車場ノ件請願、第七民法中修正ノ請願、第八、人力車発明人ニ年金給与ノ請願……
〔「朗読ハイリマセヌ」「議事日程ノ朗読ニハ及ビマセヌ」ト述ブル者アリ〕
……モウ諸君ニ於テ異議ガナケレバ略シマス、モウ外ニ……
○議長（公爵近衛篤麿君） ソレデハ第六ヨリ第三十二マデ御異議ガナケレバ可決ト認メマス
〔「異議ナシ、異議ナシ」ト述フル者アリ〕