デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治35年11月29日（1902年）

先ニ公布サレシ商業会議所法ニ基キ、是年四月以降当会議所モ組織変更ニ着手シ、是日議員選挙規定ノ認可ヲ農商務大臣男爵平田東助ニ申請シ、十二月十九日認可セラル。栄一会頭トシテ之ニ与ル。

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第七―八頁　明治三五年一二月刊
○第百十三回臨時会議　四月九日開
　出席者
　　馬越恭平君　○外二十七名氏名略
午前十時十五分開議
会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、先ツ井上角五郎君ヨリ臨時商業会議所聯合会ノ議事ニ関スル報告アリ、猶審議ノ末該聯合会決議事項ノ処分ニ関シ左ノ如ク決議ヲ為セリ
○中略
　一　本会議所議員選挙規則及本法実施ニ付準備事項調査ノ件
 - 第21巻 p.804 -ページ画像 
本件ハ議長指名ノ下ニ委員九名ヲ選挙シテ其調査ヲ附託シ、其成案ヲ総会ニ報告セシムル事ニ決シタルニ付、議長ハ其後左ノ諸君ヲ委員ニ指名シタリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大倉喜八郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上角五郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝吹英二君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　梅浦精一君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大橋新太郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小松正一君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊藤幹一君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中野武営君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田口卯吉君

渋沢栄一　日記　　明治三五年　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
四月九日　雨
○上略　九時半東京商業会議所ニ抵リ、臨時会議ヲ開ク、議事畢テ役員会ヲ開ク　○下略
　　　○栄一、是年五月十五日欧米旅行ニ出発シ、以後十月三十日神戸帰着マデコノ問題ニ直接関与セズ。

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第三五頁　明治三五年一二月刊
○第一回商業会議所法施行上ニ関スル件調査委員会議
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　七月二十三日開
　出席者
　　大倉喜八郎君　　　井上角五郎君
　　大橋新太郎君　　　小松正一君
午後三時開議、左ノ事項ヲ協議セリ
　一　大倉喜八郎君ヲ委員長ニ選挙スル事
　一　本会議所議員選挙規則ハ階級選挙制ヲ取リ、大体左ノ如ク定ムル事
　　　（一）一個人ノ営業者、法人及法人ノ重役・支配人トモニ混同シテ、納税額ト人数トヲ標準トシ選挙権者ヲ左ノ如ク三級ニ区別スル事
　　　　　　　一級　納税額ノ最モ多キ者ヲ合セ納税額総額ノ三分一以上ニ当リ、且ツ選挙権者総数ノ凡ソ二十分一以上トス
　　　　　　　二級　一級ヲ除キテ納税額ノ多キ者ヲ合セ納税額総額ノ二分一以上ニ当リ、且ツ選挙権者残員ノ十分一以上トス
　　　　　　　三級　残余ノ選挙権者
　　　（二）毎級各別ニ議員三分一宛ヲ選挙スル事
　　　（三）議員定数ヲ五十人トシ、之ヲ三分スルトキニ生スル残分ハ下級ヨリ漸次得分トス
　　　（四）投票ハ単記無記名式トス
 - 第21巻 p.805 -ページ画像 
　一　右ノ如キ階級選挙制ヲ取ルトキハ、農商務省令第十五号ニ反スルノ点アルヲ以テ、差支ノ廉々ハ速ニ之カ改正ヲ当局者ニ建議スル事
　一　委員会議ノ参考トシテ速ニ選挙権者仮名簿ヲ調製スル事
　一　名簿調製ノ上ニテ更ニ委員会議ヲ開キ選挙規定ヲ議定スル事
午後五時閉会

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第一二―一四頁　明治三五年一二月刊
○第百十六回臨時会議　七月二十三日開
　出席者
　　大木口哲君　○外十六名氏名略
午後六時開議
会頭渋沢栄一君欠席ノ為メ、副会頭大倉喜八郎君議長席ニ就キ、先ツ左ノ件々ヲ報告ス
○中略
次ニ井上角五郎君ハ役員会議ヲ代表シテ、京都・大坂・神戸三会議所ヨリ照会ニ係ル農商務省令第十六号商業会議所議員選挙資格ノ規定ニ関シ、役員会議ノ結果ヲ報告シテ全会ノ承認ヲ得タリ

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第三六頁　明治三五年一二月刊
　○第二回商業会議所法施行上ニ関スル件調査委員会議
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八月十八日開
　出席者
　　大倉喜八郎君　　　　井上角五郎君
　　朝吹英二君　　　　　大橋新太郎君
　　伊藤幹一君
午前九時開議、前回ノ委員会議ニ於ケル協議ノ結果ニ依リ、原田庶務主任ノ起草セル議員選挙規定ニ就キ逐条審議ノ末之ヲ議定シ、直チニ副会頭ニ報告スルニ決シタリ

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第一五―一八頁　明治三五年一二月刊
○第百十八回臨時会議　八月二十三日開
　出席者
　　大木口哲君　○外二十名氏名略
午後六時開議
会頭渋沢栄一君欠席ノ為メ、副会頭大倉喜八郎君議長席ニ就キ、先ツ左ノ件々ヲ報告ス
○中略
次ニ議長ハ左ノ件ヲ議事ニ附ス
　　　　調査報告
予テ全会ノ附託ニ係ル商業会議所法施行上ニ関スル件遂審議候処、委員会ノ意見ハ本会議所議員ノ定数ヲ五十名トシ、其選挙規定ヲ別紙ノ通決定候方可然ト議決致候間、此段及御報告候也
　　明治三十五年八月十八日
 - 第21巻 p.806 -ページ画像 
　　　　　　　　商業会議所法施行上ニ関スル件
　　　　　　　　　　　　　　　　調査委員長　大倉喜八郎
　　　　東京商業会議所副会頭　大倉喜八郎殿
（別紙）
　　　　東京商業会議所議員選挙規定
　第一条　選挙権者ヲ分テ三部ト為ス
　　選挙権者中納税額ノ最モ多キ者ヨリ其人員選挙権者総員ノ二十分ノ一ニ当ルヘキモノヲ以テ甲部トシ、甲部以外ノ選挙権者中納税額ノ多キ者ヨリ其人員甲部以外ノ選挙権者総員ノ十分一ニ当ルヘキ者ヲ以テ乙部トシ、爾余ノ選挙権者ヲ丙部トス
　　但シ甲部ニ於テ其納税額、選挙権者納税額総額ノ三分一ニ達セサルトキ、乙部ニ於テ其納税額甲部以外ノ選挙権者納税額総額ノ二分一ニ達セサルトキハ、其額ニ達スル迄納税額ノ多キ者ヨリ順次之ヲ補充ス
　　各部ノ間納税額両級ニ跨ル者アルトキ、又ハ人員ヲ分ツニ当リ端数ヲ生シタルトキハ、之ヲ一人ニ計算シテ上部ニ入ルヘシ、又両部ノ間ニ同額ノ納税者二名以上アルトキハ年長者ヲ上部ニ入ル、年齢ニ依リ難キトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ決定スヘシ
　第二条　一人ニシテ商業会議所法第九条第一項各号ノ税ヲ納ムル者ハ其納税額ヲ通算スヘシ
　　取引所税ハ其二十五分一ヲ以テ納税額ト看做ス
　第三条　選挙権者ハ毎部各別ニ議員ヲ選挙ス、其員数ハ甲部ニ於テ十六人トシ、乙部及丙部ニテ於ハ各十七人トス
　　被選挙者ハ各部ヲ通シテ選挙セラルヽコトヲ得
　第四条　選挙権者名簿ハ選挙権者ノ属スヘキ部ニ区別シテ調製スヘシ
　　選挙権者名簿ヲ調製シタルトキハ其旨ヲ公告シ、本会議所ニ於テ十四日間之ヲ縦覧ニ供スヘシ
　第五条　選挙ハ投票ニ依リ之ヲ行ヒ、一人一票ニ限ル
　　投票ヲ為スコトヲ得ル者ハ議員選挙ノ当日自ラ選挙場ニ到リ、選挙権者名簿ノ対照ヲ経テ投票簿ニ捺印シ投票スヘシ
　　前項ノ場合ニ於テ商業会議所議員選挙規則第二十二条第一項第一号ノ代人ハ法人ノ印章ヲ押捺シタル証明書、同第二号ノ代人ハ委任状、同第三号ノ代人ハ戸籍吏ノ証明書ヲ提供スルコトヲ要ス
　第六条　投票用紙ハ選挙ノ当日選挙場ニ於テ之ヲ交附スヘシ
　　投票用紙ニハ自ラ被選挙者一名ノ氏名又ハ名称ヲ記載シ、選挙場ニ備ヘアル投票函ニ之ヲ投入スヘシ
　　投票用紙ニハ選挙権者ノ氏名又ハ名称ヲ記載スルコトヲ得ス
　　被選挙者中同氏名者若クハ同名称会社・取引所アルトキハ、投票用紙ニ其営業所又ハ営業ヲ附記シテ其区別ヲ明ニスヘシ
　第七条　左ノ投票ハ之ヲ無効トス
　　一　成規ノ投票用紙ヲ用ヒサルモノ
　　二　二人以上ノ被選挙者ヲ記載シタルモノ
　　三　選挙権者ノ氏名又ハ名称ヲ記載シタルモノ
 - 第21巻 p.807 -ページ画像 
　　四　被選挙権者ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
　　五　被選挙権ナキ者ノ氏名又ハ名称ヲ記載シタルモノ
　第八条　各部被選挙者ノ得票ハ、其部内ニ於テ選挙スヘキ議員ノ数ヲ以テ選挙権者ノ数ヲ除シテ得タル数ノ四分一以上ノモノニ限リ当選資格アル者ト為ス
　第九条　各部被選挙者ノ当選資格アル者ノ中ニ就キ得票最モ多キ者ヨリ其定員ニ満ツル迄ヲ当選者ト定メ、其当選者ノ当選ヲ辞シタルトキ又ハ欠員ヲ生シタルトキハ、各部当選資格アル者ノ中ニ就キ得票ノ順位ニ依リ之ヲ補充ス
　第十条　一人ニシテ二以上ノ部ノ選挙ニ当選シタルトキハ、最後ニ当選ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ何レノ当選ニ応スヘキカヲ申出ツヘシ、其申出ナキトキハ地方長官ノ定ムル所ニ依ル
本件ニ関シ井上角五郎君ヨリ委員会議ノ経過ヲ報告シタルニ、雨宮敬次郎君・小林義則君・八尾新助君・片野重久君・菊島生宜君・雨宮綾太郎君等ヨリ続々反対説出テ、種々審議ノ末、結局議長指名ヲ以テ更ニ十二名ノ委員ヲ選挙シテ本件ノ再調査ヲ附託シ、且ツ委員ノ内六名ハ前委員中ヨリ之ヲ指名スルニ決シタルニ付、議長ハ其後左ノ諸君ヲ委員ニ指名シタリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大倉喜八郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上角五郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝吹英二君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大橋新太郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊藤幹一君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小松正一君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　雨宮敬次郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加藤正義君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小林義則君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　雨宮綾太郎君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　片野重久君
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八尾新助君

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第三六頁　明治三五年一二月刊
○第一回商業会議所法施行上ニ関スル再調査委員会議
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　九月二十二日開
　出席者
　　雨宮敬次郎君　　　朝吹英二君
　　伊藤幹一君　　　　小林義則君
　　雨宮綾太郎君　　　八尾新助君
午前九時三十分開議、左ノ事項ヲ決議セリ
　一　雨宮敬次郎君ヲ委員長ニ選挙スル事
　一　本会議所議員選挙規定ハ階級選挙制ニ依ラス普通選挙制ニ依ルモノトシ、之ニ関スル文案ノ起草ヲ委員長ニ嘱託シ、近日中今一回委員会議ヲ開テ之ヲ協議スル事
午前十時二十分閉会
 - 第21巻 p.808 -ページ画像 
○第二回商業会議所法施行上ニ関スル件再調査委員会議
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　十月七日開
　出席者
　　雨宮敬次郎君　　　大倉喜八郎君
　　井上角五郎君　　　大橋新太郎君
　　小松正一君　　　　伊藤幹一君
　　小林義則君　　　　雨宮綾太郎君
　　片野重久君　　　　八尾新助君
午前十時開議、左ノ事項ヲ決議セリ
　一　原案（階級ニ依ル選挙法）修正案（階級ヲ設ケサル選挙法）共ニ尚ホ調査スル必要アリ、渋沢会頭欧米視察近々帰朝セラルヽニ付、其新タニ調査セラレタル材料モ可有之、其時迄本委員会議ハ其調査ヲ延期スル事
正午十二時閉会

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第三三頁　明治三五年一二月刊
○第二百三回役員会議　十月七日開
　出席者
　　大倉喜八郎君　　　井上角五郎君
　　馬越恭平君　　　　雨宮敬次郎君
　　加藤正義君
午前九時開議、商業会議所法施行上ニ関スル件ニ付種々協議ヲ為セリ
午前十時閉会

渋沢栄一　日記　　明治三五年　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
十月三十日　晴
○上略　午後一時半小蒸気船ニテ上陸シ　○中略　改正条例ニ関シテ農商務省及東京商業会議所ト意見ニ差違アリシ顛末ヲ、大坂・神戸会議所ノ人ヨリ縷述セラル　○下略
　　　○中略。
十一月二日　雨
○上略　午後五時過　○中略　大倉喜八郎氏来リ、留守中種々ノ要務ヲ詳話セラル　○下略
　　　○中略。
十一月八日　曇　気候寒冷ナリ
○上略　三時半東京商業会議所ニ抵リ役員会ヲ開ク、大倉・井上・雨宮・藤山・朝吹ノ諸氏来会ス、改正条例ニ関シ会員撰挙資格ノ事ヲ協議シ　○中略　宴　○帰朝歓迎会散シテ後、本会議所ニ於ケル会員撰挙方法ニ関シ紛議融和ノ事ヲ談シ更ニ来ル十四日ヲ以テ一会ヲ開ク事ト定メテ散会ス　○下略
　　　○中略。
十一月十四日　晴
○上略　四時ニ東京商業会議所ニ抵リ、会員撰挙資格ニ関スル委員会ニ出席ス、井上・雨宮両人、大橋・朝吹・伊藤・小松・片野等ノ諸氏来会種々協議ノ末、来二十一日ヲ以テ尚一会開ク事ニ決ス　○下略
 - 第21巻 p.809 -ページ画像 
　　　○中略。
十一月十八日　曇
○上略　十二時東京商業会議所ニ抵リ、京都・大坂・神戸・名古屋四会議所ノ人々ト会員資格ノ事ニ関シテ談話ス　○下略
　　　○中略。
十一月二十一日　雨
○上略
夜商業会議所ニ於テ会員資格ニ関スル委員会ヲ開ク、委員等多ク出席ス
　　　○中略。
十一月二十八日　曇
○上略　午後三時商業会議所ニ抵リ、工場法ニ関スル委員会ヲ開キ、畢テ臨時総会ヲ開キ、会員資格ノ事ヲ議決ス　○下略

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第三六頁　明治三五年一二月刊
○第三回商業会議所法施行上ニ関スル件再調査委員会議
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　十一月十四日開
　出席者
　　雨宮敬次郎君　　　井上角五郎君
　　朝吹英二君　　　　大橋新太郎君
　　伊藤幹一君　　　　小松正一君
　　小林義則君　　　　雨宮綾太郎君
　　片野重久君　　　　八尾新助君
　外ニ参席者
　　渋沢栄一君
午後五時開議、左ノ事項ヲ決議セリ
　一　原案（階級ニ依ル選挙法）修正案（階級ヲ設ケサル選挙法）両案ニ就テ種々協議ノ末、結局渋沢会頭ニ嘱託シテ新ニ別案ノ起草ヲ請ヒ、更ニ近日中委員会議ヲ開テ右草案ニ付審議スル事
午後八時閉会

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第二六―二九頁　明治三五年一二月刊
○第百二十一回臨時会議　十一月二十八日開
　出席者
　　森清右衛門君　○外十七名氏名略
午後六時開議
会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、先ツ左ノ件ヲ報告ス
○中略
次ニ議長ハ左ノ件々ヲ議事ニ附ス
○第一号
　　　　調査報告
予テ全会ノ附託ニ係ル商業会議所法施行上ニ関スル件ニ付、遂審議候処、委員会ノ意見ハ本会議所議員選挙規定ヲ別紙ノ通リ相定メ候方可然ト決定致候間、此段及御報告候也
 - 第21巻 p.810 -ページ画像 
　　明治三十五年十一月二十一日
　　　　　　　　　　　商業会議所法施行上ニ関スル件
　　　　　　　　　　　　　　　再調査委員長　雨宮敬次郎
　　　　東京商業会議所会頭　渋沢栄一殿
（別紙）
　　　　東京商業会議所議員選挙規定
　第一条　本会議所議員ノ定数ハ五十名トス
　第二条　選挙権者ヲ分テ左ノ三部トス
　　甲部　選挙権者中納税額ノ最モ多キ者ヲ合セテ其人員選挙権者総員ノ百分十二ニ当ルヘキ者
　　乙部　選挙権者中甲部ノ人員ヲ除キ納税額ノ最モ多キ者ヲ合セテ其人員選挙権者総員ノ百分二十八ニ当ルヘキ者
　　丙部　選挙権者中、甲・乙両部ノ人員ヲ除キタル残員
　　甲部ニ属スル納税額ニシテ選挙権者納税総額ノ三分一ニ満タサルトキハ、其額ニ達スル迄納税額ノ最モ多キ者ヲ以テ順次之ヲ補充ス、乙部ニ属スル納税額ニシテ甲部ノ人員ヲ除キタル残員納税総額ノ二分一ニ満タサルトキ亦同シ
　　各部ノ納税額ヲ分ツニ当リ一人ノ納税額両部ニ亘ル者アル時ハ之ヲ上部ニ入レ、各部ノ人員ヲ分ツニ当リ端数ヲ生シタルトキハ之ヲ一人トシテ計算シ上部ニ入ルヘシ
　　各部ノ納税額ヲ分ツニ当リ其間同額ノ納税者二名以上アルトキハ年長者ヲ上部ニ入ルヘシ、年齢ニ依リ難キトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ決定スヘシ
　第三条　一人ニシテ商業会議所法第九条第一項各号ノ税ヲ納ムル者ハ其納税額ヲ通算スヘシ
　　取引所税ハ其二十五分一ヲ以テ納税額ト看做ス
　第四条　選挙権者ハ毎部各別ニ議員ヲ選挙ス、其員数ハ甲部ニ於テ十六人トシ、乙部・丙部ニ於テハ各十七人トス、被選挙権者ハ各部ヲ通シテ選挙セラルヽコトヲ得
　第五条　選挙権者名簿ハ各部ニ区別シテ調製スヘシ
　　選挙権者名簿ヲ調製シタルトキハ其旨ヲ公告シ、本会議所ニ於テ十四日間之ヲ縦覧ニ供スヘシ
　第六条　選挙ハ投票ニ依リ之ヲ行ヒ一人一票ニ限ル
　　投票ヲ為スコトヲ得ル者ハ議員選挙ノ当日自ラ選挙場ニ到リ、選挙権者名簿ノ照査ヲ経テ投票簿ニ捺印シ投票スヘシ
　　前項ノ場合ニ於テ商業会議所議員選挙規則第二十二条第一項第一号ノ代人ハ法人ノ印章ヲ押捺シタル証明書、同第二号ノ代人ハ委任状、同第三号ノ代人ハ戸籍吏ノ証明書ヲ提出スルコトヲ要ス
　第七条　投票用紙ハ選挙ノ当日選挙場ニ於テ之ヲ交附スヘシ
　　投票用紙ニハ自ラ被選挙権者一名ノ氏名又ハ名称ヲ記載シ、選挙場ニ備ヘアル投票函ニ之ヲ投入スヘシ
　　投票用紙ニハ選挙権者ノ氏名又ハ名称ヲ記載スルコトヲ得ス
　　被選挙権者中同氏名者若クハ同名称会社・取引所アルトキハ、投要用紙ニ其住所又ハ営業ヲ附記シテ其区別ヲ明ニスヘシ
 - 第21巻 p.811 -ページ画像 
　第八条　左ノ投票ハ之ヲ無効トス
　　一　成規ノ投票用紙ヲ用ヒサルモノ
　　二　二人以上ノ被選挙権者ヲ記載シタルモノ
　　三　選挙権者ノ氏名又ハ名称ヲ記載シタルモノ
　　四　被選挙権者ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
　　五　被選挙権ナキ者ノ氏名又ハ名称ヲ記載シタルモノ
　第九条　各部被選挙権者ノ得票ハ、其部内ニ於テ選挙スヘキ議員ノ数ヲ以テ選挙権者ノ数ヲ除シテ得タル数ノ四分一以上ノモノニ限リ、当選資格アル者ト為ス
　第十条　各部被選挙権者ノ当選資格アル者ノ中ニ就キ得票最モ多キ者ヨリ其定員ニ満ツル迄ヲ当選者ト定メ、其当選者ノ当選ヲ辞シタルトキ又ハ欠員ヲ生シタルトキハ、各部当選資格アル者ノ中ニ就キ得票ノ順位ニ依リ之ヲ補充ス
　第十一条　一人ニシテ二部以上ノ選挙ニ当選シタルトキハ、最後ニ当選ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ其部属ヲ定メテ之ヲ申出ツヘシ、其申出ナキトキハ地方長官ノ定ムル所ニ依ル
本件ニ関シ雨宮委員長ヨリ委員会議ノ経過ヲ説明シ全会一致ヲ以テ原案ヲ可決シ、尚ホ本件ノ認可申請ニ当リ辞句ノ修正等ヲ要スルトキハ適宜之ヲ役員会議ニ一任スルニ決ス
○中略
午後六時五十分閉会

東京商業会議所報告　　第一〇三号・第四七頁　明治三五年一二月刊
○同月同日　○一一月二九日　本会議所議員選挙規定認可申請書、東京府知事ヲ経テ農商務大臣ヘ呈出ス（選挙規定ノ全文ハ前掲セルヲ以テ之ヲ略ス）

東京商業会議所報告　　第一〇四号・第二頁　明治三六年七月刊
○同月同日　○明治三五年一二月一九日　本会議所議員選挙規定ニ関シ農商務省大臣《（マヽ）》ヨリ認可指令書ヲ接受ス