デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治28年9月25日（1895年）

是日ヨリ二十九日ニ至ル迄、第四回定期会名古屋商業会議所ニ於テ開催セラル。栄一、今村清之助ト共ニ東京商業会議所ヲ代表シテ之ニ参会ス。十月五日帰京、同八日議事ノ顛末ヲ東京商業会議所ニ報告ス。

東京商業会議所月報　　第三七号・第九―一〇頁　明治二八年九月
○八月十二日、本会議所事務所ニ於テ第四十七回臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者ハ左ノ如シ
　加東徳三君　○外十九名氏名略
午後六時四十分開議、会頭渋沢栄一君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ、午後八時十五分閉会ス
○中略
　一、第四回商業会議所聯合会委員二名選挙ノ件
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（役員会議提出）
本件ハ全会一致ヲ以テ可決シ、委員二名ノ中一名ハ会頭其任ニ当リ、他ノ一名ハ議長ノ指名ヲ以テ選挙スルニ決シ、乃チ議長ハ其就任ヲ諾シ、且ツ今村清之助君ヲ指名ス

東京商業会議所月報　　第三八号・第一〇頁　明治二八年一〇月
○同月〇九月二十三日、会員渋沢栄一・今村清之助ノ両君及書記長萩原源太郎氏ハ、名古屋市ニ開ク第四回商業会議所聯合会ヘ会同ノ為メ出発ス

竜門雑誌　　第八九号・第三四―三五頁　明治二八年一〇月
○青淵先生　は先に奥州へ旅行せられたるに、去月十九日帰京せられ更に其廿三日新橋発夜汽車にて名古屋へ赴かれ、今月五日午後七時無事帰京せられたり

渋沢栄一書翰　穂積陳重宛（明治二八年）九月二八日　　　　　　（穂積男爵家所蔵）
過日之御状拝見仕候、途中無事、名古屋着後も日々会議ニ出席、明日ハ午前ニ相済候間、午後より出立、浜松一泊、遠州気田工場一覧之為罷越候筈ニ候、帰京時日ハ来月三・四日頃と存候
○中略
　　九月念八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　栄一
　　　　陳重殿
 - 第22巻 p.7 -ページ画像 
　　此度ハ日々会議と招宴とニて寸暇を得す、和歌一首を得候事も出来不申、不風流ニ消光罷在候也

明治二十八年九月開設
第四回商業会議所聯合会報告　　第一―一二頁　刊
　　　　○聯合会開設地及開会ノ手続
本会ハ昨年金沢ニ開キタル第三回商業会議所聯合会ニ於テ当名古屋ニ開設スルコトニ議定サレタリ
名古屋商業会議所副会頭鈴木善六君ハ商業会議所聯合会規則第七条ニ拠リ幹事ニ推薦サレタリ
○中略
本年八月一日、幹事ハ第四回定期会開設期ヲ九月廿五日ト定メ、左ノ要件ヲ列記シテ賛同ノ各会議所ヘ通告セリ、其文面左ノ如シ
　拝啓貴所愈御隆昌奉敬賀候、陳者本年第四回商業会議所聯合会ハ当名古屋ニ於テ開設可致筈ニ付、開会期日始メ左記之通決定致候
　一定期聯合会ハ九月二十五日ヨリ開会ス
　一九月二十四日午後六時ヨリ秋琴楼ニ於テ来会員ノ懇親会ヲ開ク、会費ハ壱人金壱円五拾銭ノ予定トス
　一来会員ノ氏名ハ八月三十日迄、名古屋商業会議所ヘ通知セラルヘシ
　一来会員到着ノ上ハ宿所氏名ヲ名古屋商業会議所書記局ヘ報知セラルヘシ
　一会員及事務員中ニテ別ニ説明員ヲ定メ出席セシムルコトヲ得ルハ規則第十四条ニ規定スルトコロナレトモ、尚ホ他ノ会員ニシテ意見アルトキハ有志会員トシテ出席シ意見ヲ述ルコトヲ得ヘシ
　一議案ハ八月十日迄ニ名古屋商業会議所ヘ送致セラルヘシ
　右及御通知候也
　　追テ、是迄各地私立商工会ニ照会シテ賛同ヲ求メ候例モ有之候得共、今日ニ於テハ其数六十有余ノ多キニ至リ、其存廃モ測ルベカラザルニヨリ、一々照会ヲ致サヽルコトニ致候間、左様御承知被下度候
右通告ニ対シ仙台・長崎・松江ノ三会議所ヨリハ差支ノ為メ出席シ難キ旨回報シ来レリ
本年八月廿七日名古屋商業会議所書記長ヲ上京セシメ、農商務大臣ヘ第四回商業会議所聯合会ニ臨場セラレタキ旨ヲ申請シ、尚ホ九月三日付ヲ以テ、更ニ名古屋商業会議所会頭奥田正香君ヨリ左ノ申請書ヲ差出シタリ
　本月廿五日ヨリ、我名古屋商業会議所会主トナリ、別紙第一号聯合会規則ニ拠リ、名古屋市ニ於テ第四回商業会議所聯合会開設致候筈ニテ、既ニ別紙第二号通告書ヲ発シ、各会議所ヨリハ概ネ出席之趣回答モ有之候、右聯合会ハ商業会議所ノ任務ニ関スル事項ヲ討究シ商工業ノ発達ヲ企図スル義ニ有之候得ハ、閣下ノ御臨席ヲ仰クハ最モ光栄ニ存候間、御政務御多端ノ場合ニモ可有之候得共、開会ノ際御臨席ヲ仰度、此段奉願候也
右申請ニ対シ、九月十六日付ヲ以テ農商務次官金子堅太郎君ヨリ、大
 - 第22巻 p.8 -ページ画像 
臣目下多忙ノ為メ遺憾ナカラ臨席シ難キヲ以テ、本官ニ代理臨席ヲ命セラレタル旨回報アリタリ
○中略
　　　　○来会員氏名
各会議所ヨリ参会セラレタル委員ノ氏名ハ左ノ如シ
東京　（会頭）　　渋沢栄一君　　　（常議委員）今村清之助君
八王子（常議員）　平林定兵衛君　　（常議員）　萩原彦七君
京都　（会頭）　　浜岡光哲君　　　（副会頭）　中村栄助君
伏見　（副会頭）　江崎権兵衛君　　（理事）　　築山三郎兵衛君
大阪　（会頭）　　土居通夫君　　　（副会頭）　亀岡徳太郎君
堺　　（副会頭）　大西五一郎君　　（副会頭）　柴谷武次郎君
神戸　（副会頭）　岡田元太郎君　　（理事）　　杉山利介君
宇都宮（会員）　　須永信夫君
栃木　（副会頭）　石塚新吾君
四日市（会頭）　　井島茂作君　　　（副会頭）　伊藤伝七君
桑名　（常議委員）貝塚卯兵衛君
津　　（会頭）　　川喜田四郎兵衛君（常議員）　佐伯惟毅君
名古屋（会頭）　　奥田正香君　　　（副会頭）　鈴木善六君
知多　（会頭）　　榊田由一君　　　（副会頭）　稲生治右衛門君
岡崎　（会頭）　　小野権右衛門君　（副会頭）　深田三太夫君
豊橋　（会頭）　　三浦碧水君
静岡　（会頭）　　北村五郎兵衛君
浜松　（常議委員）中村藤吉君
大津　（会頭）　　村田六之助君
岐阜　（常議委員）今井武兵衛君　　（常議委員）永井靖九郎君
大垣　（会頭）　　安田和助君
福井　（会頭）　　片山平三郎君　　（常議員）　村野文次郎君
金沢　（会員）　　水登勇太郎君
富山　（会員）　　横江清次郎君
岡山　（常議委員）光藤亀吉君
広島　（副会頭）　松本九郎右衛門君
尾ノ道（副会頭）　石井聿三君
赤間関（常議員）　徳永安兵衛君
高知　（会員）　　松村俊男君
博多　（常議員）　門司軌君
熊本　（会員）　　下田耕造君
鹿児島（会員）　　酒匂一郎君
各会議所ヨリ有志会員トシテ参会セラレタルハ左ノ諸氏ナリ
京都　（常議員）　西村治兵衛君
神戸　（特別会員）小川䤡吉君
四日市（特別会員）大碕宗恭君
知多　（会員）　　小栗平蔵君　　　（会員）　　井口半兵衛君
各会議所ヨリ参会セラレタル書記長・書記ノ氏名ハ左ノ如シ
東京　（書記長）　萩原源太郎君　京都　（書記長）田村武治君
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大阪　（書記長）　浜田健次郎君　神戸　（書記）　園田亮八君
富山　（書記長）　北村竹四郎君　岡山　（書記長）山羽協一君
尾ノ道（書記）　　栗田胖蔵君　　博多　（書記）　大熊浅次郎君
金沢　（書記）　　高田幹君　　　四日市（書記長）山本昌弌君
堺　　（書記）　　小谷力造君

　　　　○懇親会
九月廿五日《（マヽ）》午後六時、名古屋市栄町秋琴楼ニ於テ、来会員ノ懇親宴会ヲ開ケリ、席上名古屋委員奥田正香君ノ挨拶アリ、同十時三十分散会セリ、当日出席セラレタルハ左ノ諸氏ナリ
　東京委員　　　　渋沢栄一君　　　　東京委員　　　今村清之助君　　　八王子委員　　平林定兵衛君
　八王子委員　　　萩原彦七君　　　　京都委員　　　浜岡光哲君　　　　京都委員　　　中村栄助君
　伏見委員　　　　江崎権兵衛君　　　大阪委員　　　土居通夫君　　　　大阪委員　　　亀岡徳太郎君
　神戸委員　　　　杉山利介君　　　　神戸有志会員　小川䤡吉君　　　　宇都宮委員　　須永信夫君
　栃木委員　　　　石塚新吾君　　　　四日市委員　　井島茂作君　　　　四日市委員　　伊藤伝七君
　四日市有志会員　大碕宗恭君　　　　桑名委員　　　貝塚卯兵衛君　　　津委員　　　　川喜田四郎兵衛君
　知多委員　　　　榊原由一君　　　　知多委員　　　稲生治右衛門君　　知多有志会員　井口半兵衛君
　知多有志会員　　小栗平蔵君　　　　岡崎委員　　　小野権右衛門君　　岡崎委員　　　深田三太夫君
　豊橋委員　　　　三浦碧水君　　　　静岡委員　　　北村五郎兵衛君　　浜松委員　　　中村藤吉君
　大津委員　　　　村田六之助君　　　岐阜委員　　　永井靖九郎君　　　大垣委員　　　安田和助君
　福井委員　　　　片山平三郎君　　　福井委員　　　村野文次郎君　　　金沢委員　　　水登勇太郎君
　富山委員　　　　横江清次郎君　　　広島委員　　　松本九郎右衛門君　尾ノ道委員　　石井聿三君
　赤間関委員　　　徳永安兵衛君　　　博多委員　　　門司軌君　　　　　熊本委員　　　下田耕造君
　名古屋委員　　　奥田正香君　　　　名古屋委員　　鈴木善六君　　　　名古屋役員　　鈴木摠兵衛君
　名古屋役員　　　白石半助君　　　　名古屋役員　　笹田伝左衛門君　　名古屋役員　　森本善七君
　名古屋役員　　　服部小十郎君　　　名古屋役員　　蜂須賀武輔君　　　名古屋役員　　八木平兵衛君
　名古屋役員　　　井上茂兵衛君　　　東京書記長　　萩原源太郎君　　　京都書記長　　田村武治君
　大阪書記長　　　浜田健次郎君　　　神戸書記　　　園田亮八君　　　　四日市書記長　山本昌弌君
　金沢書記　　　　高田幹君　　　　　富山書記長　　北村竹四郎君　　　岡山書記長　　山羽協一君
　博多書記　　　　大熊浅次郎君　　　名古屋書記長　上遠野富之助君
 - 第22巻 p.10 -ページ画像 
○中略
　　　　○正副会長ノ選定
聯合会ノ正副会長ハ別ニ投票ヲ煩サス、例ニ依リ満場一致ヲ以テ会主タル名古屋委員奥田正香君ヲ会長ニ、同鈴木善六君ヲ副会長ニ推選セリ
　　　　○会議ノ開閉
第四回聯合会ハ明治廿八年九月廿五日ヲ以テ開会シ、同二十九日ニ至リ閉会セリ
　　　　○主務官ノ臨場
農商務次官金子堅太郎君ハ聯合会臨場ノ為メ、同省属美濃部俊吉・石川八十井ノ両君ヲ随ヘ、九月廿七日午後六時名古屋ニ来着シ、同廿九日聯合会場ニ臨席セラル

東京商業会議所月報　　第三九号・第一頁　明治二八年一一月
○十月十四日、本会議所事務所ニ於テ第四十八回臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者左ノ如シ
渋沢栄一君　○外二十五名氏名略
午後五時五十分開議、会頭渋沢栄一君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ、午後八時閉会ス
○中略
　一、第四回商業会議所聯合会ノ儀ニ付報告ノ件　（委員提出）
本件ハ全会一致ヲ以テ其報告ヲ承認ス（報告書ノ全文ハ参照ノ部第二号ニ掲載ス）
此際四十番八尾新助君ノ発議ニヨリ、満場一致ヲ以テ、今回名古屋ニ於テ開設セル第四回商業会議所聯合会ヘ委員トシテ参会セラレタル渋沢栄一・今村清之助両君ノ労ヲ謝スルコトニ決シ、乃チ議長ハ全会ヲ代表シ両君ニ向テ謝詞ヲ陳ス

東京商業会議所月報　　第三九号・第四―五頁　明治二八年一一月
○参照第二号
　十月十四日、臨時会議ニ提出シタル第四回商業会議所聯合会委員ノ報告書ハ左ノ如シ
過般本員等両人全会ノ附託ニ依リ、名古屋ニ於テ開設セル第四回商業会議所聯合会ヘ参会候処、其議事ノ結果ハ概略別紙ノ通リニ有之候、尤該聯合会議事ノ筆記ハ目下名古屋商業会議所ニ於テ調製中ニテ、不日印刷ノ上廻附ノ筈ニ付、委細ノ儀ハ右到達ノ上ニテ御了知相成度、此段及御報告候也
　　明治二十八年十月八日　　　　　　　　委員
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今村清之助
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　東京商業会議所会頭渋沢栄一殿
　　○別紙ハ次条以下ニ収録セル資料ト重複スルヲ以テ略ス。