デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治35年12月12日（1902年）

是日臨時会閉会サル。栄一会長トシテ挨拶ヲ述ブ。

明治三十五年十二月開設
臨時商業会議所聯合会議事速記録　　第二一五―二二〇頁　刊
明治三十五年十二月十二日午後零時三十五分開議
　　出席委員　　　　　二十二名　○氏名略
○上略
○三十八番（名古屋、鈴木摠兵衛君）　散会ニ先チマシテ此度ノ臨時聯合会ノ諸君ヲ代表致シマシテ不肖自分ヨリ会長ニ向ツテ一言謝辞ヲ述ベマス、此度ハ歳末デアリ又格別諸君ハ共ニ御繁用ノ際、会長ハ別シテ御帰朝匆々ノ際デ最モ多キ上ニモ御用ノ多キ場合ニモ拘ハラズ、数日間此聯合会ノ為メニイロイロ斡旋ノ労ヲ執リ、且ツ議場ノ整理ヲ為サレテ、其他諸般ノコトニ就テ玆ニ私共ノ希望ヲ達シ無事閉会ヲ告ルニ至リマシタコトハ、誠ニ会長ガ熱誠ナル御厚意ノ然ラシムルトコロデ、一同深ク感佩致シマス、一言謝辞ヲ述マス、又副会長以下事務員ニ於カレテモ格別数日間ノ労ヲ厚ク感謝スル次第デゴザイマス、是亦会長ヨリ宜シク御申シ通ジアラムコトヲ希望シマス
○中略
○会長（東京、渋沢栄一君）　○中略　ソレデハ此聯合会ハ已ムヲ得マセヌデモウ玆デ散会ヲ告ルヤウニ仕リマスル、唯今三十八番カラ幹事商業会議所トシテ開会ノ手続及ビ開会シテモ不肖ナガラ此席ヲ汚シマシタニ付テ御鄭寧ナル御謝辞ヲ下サイマシテ却テ赤面仕リマス、詰リ申シ上マスルト此聯合会ハ私ガ欧米漫遊ノコトヲ御報告致シマスルタメデ私コソ詰ラヌコトヲ申シ上ル為ニ遠方カラ皆サンニ御足労ヲ願ヒマシタコトハ恐縮千万デ、甚ダ慚愧ニ堪ヘマセヌト思フテ居リマスヨリ外アリマセヌ、殊ニ居付キノ商業会議所ヨリ御出向ニナツタ各地ノ商業会議所ノ御方コソ嘸御迷惑デアラウト思ヒマス、然シ御打合セヲ致シマシタ廉々ガ要領ヲ得マシタノハ御同慶ノ次第デゴザイマス、工場法案ニ就テハ東京商業会議所ハ委員ハ組立テマシテ、不肖モ委員ノ一人ニ加ハリマシテ誤ツテ委員長ニナリマシテ頻リニ取調ベテ居リマス、詰リ此委員会ノ御報道トハ大同小異ヂヤナイ、大同大異デ困リハスルケレドモ、ドウモ此場合尚早論デ何時マデモ経過スルコトハドウデアラウカト云フ意志ヲ持テ居リマス、ケレドモ未ダ商業会議所トシテ如何ナル意見ト云フコトヲ玆ニ表白ハサレマセヌガ、東京商業会議所ハ精々審議ヲ尽シテ居リマス、定マリマスレバ更ニ御諮リ致シタイト思ヒマス、其他諸方カラ出マシタ案ニ就テハ努メテ御賛成スベキコトハ御賛成ヲシ、反対スベキコトハ反対ヲ表シ御互ノ意見ハ成タケ明カニシテ詰ル所成タケ此協力同心ノ届クヤウニ致シタイト考ヘマス、今ノ御謝辞ニ対シテ御答礼旁々皆サンニ一言申シ述マシタ次第ゴザイマス
 - 第22巻 p.901 -ページ画像 
　　午後一時閉会