デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
4款 商業会議所聯合会
■綱文

第22巻 p.913-914(DK220077k) ページ画像

明治38年10月6日(1905年)

是日栄一、当会主催ノ日英同盟祝賀会ニ出席ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治三八年(DK220077k-0001)
第22巻 p.913 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三八年     (渋沢子爵家所蔵)
十月六日 雨 秋冷
○上略 午後二時小石川後楽園ニ抵リ、日英同盟祝賀会ニ参列ス、商業会議所聯合会ニ於テ催スモノナリ ○下略


中外商業新報 第七一四四号 明治三八年一〇月七日 日英同盟祝賀会(DK220077k-0002)
第22巻 p.913-914 ページ画像

中外商業新報  第七一四四号 明治三八年一〇月七日
    日英同盟祝賀会
商業会議所聯合会の開催に係る日英同盟成立の祝賀は、予定の如く昨六日午後二時より小石川砲兵工廠内なる後楽園に於て開かれたり、当日は生憎朝来雨天なりしも、定刻迄には主賓英国公使を始め桂首相以下の来会あり、午後二時半園遊会を開き、先づ余興として青木一座の曲芸あり、尚ほ麦酒・紅茶・カツヒー・菓子等の饗応もありたるが、午後三時半号鐘三点にて来賓及主人一同定めの食堂に集合し、聯合会長中野武営氏は場の中央に起ちて左の如き挨拶を述べたり
 公使閣下、来賓閣下、私は爰に商業会議所聯合会を代表して閣下の前に一言を呈するの光栄を荷ひました
 扨て今回大英国と我帝国と同盟新協約の成立を発表せられたるは、
 - 第22巻 p.914 -ページ画像 
誠に両国は勿論、世界平和貿易の為めに賀すべき事にして、我々は両国交際の親密なるを悦び、両国政府の用意周到なるを謝するのであります
 新協約は東洋の平和を保持し、通商貿易の利便を増進する所の保障にして、我々商工業者は之れに由つて安全に実業の発展を講するの幸福を享くる事を歓喜して措く能はざる次第である、故に我々は大英国に対し益々友情を深厚にし、大に通商貿易を隆盛ならしめむことを祈り、且つ勉めむと期する所であります
 我々は閣下の為に御来臨を辱ふし、満腔の同情と祝意とを表することを得たるを光栄に存じます、爰に恭しく
 大英国皇帝陛下の万歳を祝し奉ります
右了るや引続き英国々歌は陸軍々楽隊によりて奏せらる、次で英国公使マクドナルド氏は左の答辞を述べられたり
 外交官として余り屡々多くの言葉を遣ふ事は慎まなくてはなりませぬが、今日は諸君の為めに一言申上ます、私のみならす公使館員皆なお招き下されました点は誠に難有存じます、同盟の公表のありました此祝賀会は頗る芽出たく存じまする次第であります、同盟の目的は皆様御承知の通りに各国の貿易に向つて平等の機会を与へ、東亜の平和を維持するといふのにありまする
 第一の同盟も矢張平和を目的と致して結ばれたのでありますが、不幸にして其平和を破られる様な事柄が起つたのであります、併し此度の第二の同盟に依りて島国である両帝国が結びし所の同盟は益々強く、益々密に、益々有効なるものと成りますのでありまして、第一の同盟よりは尚ほ一層十分なる効果を挙げたいと思ひます、此事は平和を望まるゝ諸君は皆な御同感でいらせられようと思ふのみならず、就中商業会議所の方々に於ては此平和の維持といふ事に就て此同盟に向つては十分の望を属せらるゝ事と信しまする、実に平和人道の為め甚だ賀すべき次第であります、終りに臨んで 日本皇帝陛下の健康を祝し奉る次第であります
右の答辞終るや、英国公使は日本語を以て声朗かに万歳を三唱せられたれば、会衆一同之に和し、君が代の国歌は再び軍楽隊に依りて奏せられ、式全く了りたるが、添田寿一氏は会長の挨拶、公使の答辞を夫夫通訳せられぬ
次で直に食堂を開き、一同食卓に着くや、会長と公使とは交々祝杯を挙げて両国の万歳を賀し、和気洋々の間に全く散会を告げたるは午後四時半頃なりしが、来賓の主なるは英国公使マクドナルド氏外五名の主賓を始め、桂首相・寺内陸相・清浦農相・波多野法相・大浦逓相・佐久間総督・矢吹第一師団長・肝付中将・長岡参謀次長・西村提理・伊集院少将・阪谷大蔵次官・珍田外務次官・和田農商次官・石渡司法次官・田逓信次官・花房宮内次官・渋沢栄一男・横田撿事総長・長谷川控訴院長・倉富撿事長・林田衆議院書記官長・松尾臣善氏・近藤廉平氏・古市公威氏・関警視総監・山之内鉄道局長・森田商工局長・山県参謀総長代理生沼大尉等、尚ほ東京商業会議所特別会員及議員、並に聯合会出席員等会衆二百余名なりき