デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治42年3月18日（1909年）

栄一、救世軍中佐山室軍平渡英スルニ託シ、是日附ニテ救世軍大将ウイリアム・ブースニ宛テ八十ノ賀詞ヲ寄ス。

渋沢子爵と救世軍　山室軍平稿　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一、明治四十二年三月、山室軍平（当時中佐）が、ウイリアム・ブース大将八十の賀を兼ねて英国救世軍の見学に出立せんとするに際し子爵は大将に対する祝辞を托して持参せしめられたり、其の文左の如し
　　拝啓　其後打絶へ御音信相欠き候処、尊台には引続き益々御清健にて、本年四月十日を以て八十歳の高齢に達せられ候趣、尊体老而益壮、将来弥以て一般の幸慶の為に御尽瘁可被成事全く神の祝福尊台の上に豊かなる次第、実以て欣賀の至に奉存候、右に付御祝賀の会へ列席の為め、山室軍平氏今夕出発致され候由に付、此一書を托し申候、二年前御臨覧の栄を得たる東京市養育院の近況又尊台の御厚意による慈善病院計画の問題等に就ては、山室氏に伝言致候間、委曲御聞取被下度候
　　　小生友人田中太郎氏慈善問題研究の為め渡英致居候につき、視察の上定めし種々御厚配を忝ふし候ことゝ奉遥謝候
　　　玆に擱筆に臨み重ねて社会の為めに尊台の万福を奉祈候　敬具
　　　　明治四十二年三月十八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　於東京
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　於倫敦
　　　　　　ブース大将殿　侍史