デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治28年4月26日（1895年）

是日栄一、当委員会ニ出席シ、当委員会経費増額ノ件・東京馬車鉄道株式会社出願ニ係ル電気鉄道布設ニ付キ追願ノ件・甲武鉄道会社出願ニ係ル神田三崎町万世橋間並ニ市内循環鉄道布設ノ件ニ関
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スル議事ニ与ル。

東京市区改正委員会議事録　　第八巻・第二二―三二丁
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（東京府文庫所蔵）
東京市区改正委員会議事録第百十七号
　　明治二十八年四月二十六日午前十一時開議
　　　　闕席　高橋仲次　　　田坂虎之助　　古川宣誉
　　　　　　　山県伊三郎　　永谷常脩　　　古市公威
　　　　　　　益田孝　　　　原口要　　　　松本荘一郎
　　　　出席十七員　四番・五番・十五番・二十一番・二十五番欠員（三十二番ハ召集セス）
○委員長曰　二箇ノ報告アリ、之ヨリ朗読セシム
　　　書記朗読
　　報第六十六号
　　明治二十八年ニ於テ実施スヘキ東京市区改正費及収入予算別紙ノ通リ市会ノ決議ヲ経、内務・大蔵両大臣ノ認可ヲ得候条、此段及報告候也
　　　　　　　　　　　　　　　東京市参事会
　　　明治二十八年四月七日　　　東京府知事　三浦安
　　　　市区改正委員長　三浦安殿
　　報第六十一号
　　浅草区田中町屠獣場並北豊島郡南千住町字三河島村屠獣場ハ、市区改正設計ニ係ル指定地外ニ候処、今般両屠獣場共移転延期ノ儀営業人ヨリ出願ニ付、取調候処、事実不得止モノト認メ、明治二十八年五月ヨリ尚弐箇年間延期聞届候条、此段及報告候也
　　　明治二十八年四月十三日　　　警視総監　園田安賢
　　　　市区改正委員長　三浦安殿
　又曰　是ヨリ開議スヘシ、議第二百七号水道鉄管布設道路幅員縮少仮設ノ件ヲ議スヘシ
　　　書記朗読
　　議第弐百七号
　　市区改正道路ノ内、本所区番場町其他道路改正ノ儀、今般市会ニ於テ別紙ノ通リ決議報告有之、取調候処、別紙決議ノ要領ハ本市経済ノ緩急ヲ計リ、仮設ノ目的ヲ以テ夫々修正ヲ加ヘ実施セントスルノ旨趣ニ有之、右ハ貴会ニ於テ御意見無之候哉致承知度、此段及照会候也
　　　　　　　　　　　　　　　東京市参事会
　　　明治二十八年四月四日　　　東京府知事　三浦安
　　　　市区改正委員長　三浦安殿
　　　追テ別紙決議報告書ノ内○印ノ部分ハ夫々実施ノ手続取計候間此段申添候也
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別紙報告書略ス）
　　　　回答案
　　水道改良鉄管布設道路ノ中、本所番場町其他道路改良ノ儀ハ、市会ニ於テ経済ノ緩急ニ応シ仮設ノ目的ヲ以テ道路幅員縮少云々御
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照会ノ趣了承、若右ハ仮リニ市会ノ議決ノ如ク施行セラルヽモノトセハ、其道幅ヲ縮少シタル部分ニ対シテ、堅牢ナル建物ヲ為サシムルコトヲ得サルヘク、又他日再ヒ其家屋ヲ取払ハシメサルヘカラサルモノト認メ候、依テ本会ハ曩ニ議定シタル通リ実施セラルヽヲ当然ナリト決議候条、此段及回答候也
　　　明治二十八年四月二十六日
　　　　　　　　　　　　東京市区改正委員長　三浦安
　　　　東京市参事会
　　　　　東京府知事　三浦安殿
　　○本所番場町ヨリ石原町ニ至ル道路開設之図（附図第五四）。
　　○本所亀沢町一丁目道路取拡之図（附図第五五）。
　　○深川仲大工町道路取拡之図（附図第五六）。
　　○深川亀住町ヨリ八幡橋際ニ至ル道路開設之図（附図第五七）。
　　○深川八幡橋際ヨリ永代新架橋ニ至ル道路開設之図（附図第五八）。
　　○神田富山町道路開設之図（附図第五九）。
　　○京橋区南新堀町一丁目ヨリ霊岸島塩町ニ至ル道路取拡之図（附図第六〇）。
　　○京橋区本八丁堀一丁目道路取拡之図（附図第六一）。
　　○赤坂新町四丁目道路取拡之図（附図第六二）。
　　○神田富松町道路開設之図（附図第六三）。
　　○芝栄町ヨリ麻布六本木ヲ経テ赤坂檜町ニ至ル道路取拡之図（附図第六四）。
　又曰　別紙図面ノ如ク其場所ニ依リテ市会ノ決議ニ相違アルカ、之ハ其可否ニ就キ一々採決スルトキハ頗ル煩ナリ、依テ御同意ナレハ概括シテ決ヲ採ルヘシ
○二十四番佐久間曰　此際ニ於テ委員長ヘ請求ス、本会ハ曩キニ内務大臣ヘ対シ建議シタルコトアリ、其趣旨ハ市区改正ノ設計トテ百年不磨ノモノニモアラサレハ、其時勢ノ隆替・土地ノ変遷ニ依リテ、自カラ考慮ヲ要スヘキモノナキニアラス、故ニ該条例中ヘ追加アランコトヲ請シモノニテ、或ル場合ニ由リテハ随分修正ヲ要スル点ナシトセサルニ、同大臣ハ之ニ対シテ未タ何等ノ取扱ヲ為シタルヲ聞カス、本員等ノ憾ミトスル所ナリ、尤本案市会決議ノ如キハ本員等ノ決シテ同意スル能ハサル所ナレトモ、此際委員長ヨリ内務大臣ニ向テ彼ノ建議ノ採否アル様取計ラハレンコトヲ欲スルノ希望ヲ述フ
○委員長曰　領承セリ
○二十三番田曰　飯倉片町辺ノ所ハ設計幅員ヲ記入シアラス、之ハ十間ナルヲ市会ハ八間道路ニ仮設セントスルニヤ
○委員長曰　然リ
　又曰　別ニ発説ナクハ二・三次会ヲ省略シテ採決セン、原案ニ同意者ノ起立ヲ求ム
　　総起立
　又曰　全会一致ナルヲ以テ原案ニ決シ、次ハ議第弐百八号本会経費増額ノ件ヲ議スヘシ
　　　書記朗読
　　議第弐百八号
　　　　本会経費増額ノ件
　　一金百七拾八円四拾四銭　　　　　旅費
　　電気鉄道ニ関スル調査上、参考ニ供スル為メ本会委員及嘱託員ノ
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内京都府下ヘ派遣ヲ要スルニ依リ、本会経費中旅費ノ項ヲ新設シ本年度予備費ノ内ヨリ本項金額ヲ追加セントス
　又曰　之ヲ電気鉄道ニ関スル調査委員会決議ノ結果ニ由リシモノニテ、其理由ハ之ヲ朗読セシム
　　　書記朗読
　　拝啓、電気鉄道ニ関スル調査会ノ儀、去一日以来嘱託員浅野逓信技師、山川大学助教授ニ就キ、斯業ニ於ケル詳細ナル学説ト欧米諸邦ノ実況トヲ聞キ、精励事ニ従フト雖モ、未タ利害得喪ノ帰スル所ヲ詳ニスルヲ得ス、依テハ既ニ布設シタル京都電気鉄道ニ就キ之カ構造、障害ノ有無等ヲ実検シ、親シク技師ノ説明ヲ要メ候得ハ、特リ調査上ノ便宜ヲ得ルノミナラス、市区改正事業ニ関シ頗ル有益ナルヘクト確信シ、京都府下ヘ臨検ヲ要スルコトニ決議致候、然ルニ本会経費中委員及嘱託員等ノ派遣ニ充ツヘキ費途無之ニ付、此際本会ニ於テ更ニ右費目ヲ設ケラレ候歟、又ハ各自選出ノ官庁・市参事会等ヘ照会セラレ、至急該費用支弁ノ手続相立候様御取計有之度、決議ノ次第ヲ叙シ此段具申候也
　　　明治二十八年四月二十四日
　　　　　　　　　　　　　電気馬車鉄道ニ関スル調査委員
　　　　　　　　　　　　　　　　七番　　　　松田秀雄
　　　　　　　　　　　　　　　　十四番　　　森田茂吉
　　　　　　　　　　　　　　　　十七番　　　曾根静夫
　　　　　　　　　　　　　　　　二十三番　　田健次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　二十四番　　佐久間貞一
　　　　　　　　　　　　　　　　二十八番　　石黒五十二
　　　　　　　　　　　　　　　　二十九番　　益田孝
　　　　委員長　三浦安殿
　又曰　朗読ノ通リ該委員ヨリ申出テラレタルヲ以テ、派遣シテ取調フル必要アルモノト認メ、玆ニ本案ヲ提出シタルナリ
○十番鈴木曰　問フ、京都府下ニハ已ニ電気鉄道ヲ布設シアリヤ
○委員長曰　布設シアリ
○七番松田曰　此事柄ハ至急ヲ要スルモノニテ、今本会ニ於テ之ヲ決議シ、市参事会ヘ照会セハ同会ハ更ニ市会ヘ提出スルノ順序トナルヘシ、幸ニ直ニ市会ヲ開カルレハ可ナレトモ、若シモ市会開会ノ遅クルヽコトモアラハ、之カ為メ特ニ開会ヲ促カスコト能ハサルカ、幹事諸君ハ市会ノ議決ヲ求メシ上ニアラサレハ能ハストセラレシハ如何ナル理由ナリヤ知ラサレトモ、本員ハ斯クノ如キ手数ヲ為スニ及ハサルモノト考フルナリ、是等ノ例ハ随分アルコトニテ、即チ市参事会ハ費目ナキモノハ予算外ノ支出ト為シ支弁シアリテ、是ノ如キ手数ヲ要セスアルモノヲ、此事柄ニ限リ特ニ市会ヘ提出セントセラルヽハ如何ナル御考ニヤ了解セス、又本会カ全ク単一ニ経費ノミヲ議スルト云フモ、其当ヲ得タルモノニハアラサルナリ、市区改正条例ニハ本会ハ只事業上ニ於テノ議権ヲ有シ、経費ハ市会ヘ一任スルモノナルハ、述フルマテモナク明カニ示サレタル規定ナルヲ以テ幹事会ニ於テモ斯クノ如キ単一ノ経費ヲ議スルト云フモ、亦如何ナ
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ルモノニヤアラン、是等ハ論スルマテモナキ事柄ナリ、要スルニ事頗ル急ニ属スルヲ以テ、本案ハ之ヲ廃棄シ、至急他ニ出金ノ途ヲ求メラレンコトヲ欲スルニアリ
○委員長曰　七番ニ問フ、然ラハ如何ナル手続ニ為スヤ
○七番松田曰　如何ノ申分ナレトモ、委員長ヨリ直ニ市参事会ヘ照会セラルレハ、差支ナク支出スルヲ得ヘシ、例ヘハ市会議員カ各市外ノ公園又ハ羽村等ヘ出張スルコトアルニ当リ、素ヨリ旅費ノ項目ナキヲ以テ、即チ予算外ノ支出ト為シ、予備費ヨリ支弁セリ、是レ即チ同様ノ事柄ナリ、然ルニ此同様ノ事柄ナルニモ拘ハラス、単ニ此事柄ノミニ限リ殊更市会ヘ費途ヲ求メラルヽハ、畢竟スルニ行カレヌ所ヘ行クト云フモノナルヲ以テナランカ、开ハ甚タ可笑シキコトナリ、併シナカラ本員ハ強テ主張スルニアラサレトモ、至急ヲ要スル事柄ナレハ本案ヲ廃棄シ、他ニ相当ノ手続ヲ以テセラレンコトヲ希望スル訳ナリ
　　（此際二十六番・二十七番　○栄一着席）
○委員長曰　本案ハ此儘決議シ、市参事会ヘ照会セハ、市参事会ニ於テ孰レ共取計ハレンカ、派遣ノコトハ本会ニ於テ決シ置サルヲ得サル義ニシテ異例ニアラス、従来此手続ヲ履ミ居レルナリ
○二十四番佐久間曰　只出張スルト云フ丈ケヲ、本会ニ於テ認メ置ケハ可ナラン
○委員長曰　郡部ノ測量ヲ為スニ当リテ之カ議決ヲ為シタルコトアリ市会ニ提出スルト否トハ市参事会ニ於テ定ムレハ可ナラン
○七番松田曰　其当時ハ市会ニ提出セラレシヤ如何
○委員長曰　其処迄ハ未タ取調ヘス
○七番松田曰　前ニモ述ヘシ通リ、条例ノ規定ニ由リ本会ハ費用ヲ議スルノ権ナキヲ如何セン、若シモ本会ニ於テ之ヲ議セハ、市会ニ於テ事業ニ立入リ彼是スルト同様ノコトヽモナラン
○二番須藤曰　然レトモ、嘱託員等ヘノ報酬金ヲ議シタルコトモアルナリ
○二十四番佐久間曰　然レトモ、単一ニ項目ヲ設クルト云フコトハナカラン
○委員長曰　項目ヲ設クルト云フモ、此事柄ニ限リタルモノニテ、始終設ケ置クモノニアラサル意ナリ
○十番鈴木曰　七番ノ説ハ、経費ハ本会ニ於テ議スヘキ事柄ニアラスト謂フナラン
○委員長曰　然レトモ、本会ニ於テ議決セサルヲ得ス
○七番松田曰　本会ニ於テハ単一ナル経費ヲ議スルノ権ナシ、従来提出セラレシ年度ノ経費ハ即チ只事業ノ参考トシテ議定セルモノナレハ、今本案ノ如ク単一ニ経費ヲ議セハ市会ハ事業ヲ議スルコトトモナリテ、将来大ニ不可ナルモノナキヲ得サルノミナラス、果シテ斯クノ如クナルトキハ、即チ本会ヨリ其規定ヲ乱スモノトナルノ虞アルヲ如何セン、然レトモ夫等ハ一向頓着セストアレハ致方ナキモ、縦シ議決セシトテ市会カ経費ヲ支出セサリシトキハ、果シテ如何為サントセラルヽヤ
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　　（此際六番着席）
○二十四番佐久間曰　七番ノ説至当ナリ、依テ京都府下ヘ派遣ヲ要スト修正シ、以テ決議セハ可ナラン、夫レニテ事足レリ
○七番松田曰　其通リ、夫レテコソ判然スルナリ
○委員長曰　七番ノ説ノ如クスルモ、市参事会ヘ照会セサルヲ得サルナラン
○十番鈴木曰　市参事会ニ於テ支出スルモノト云フコトヲ信シ、七番二十四番ノ説ニ賛成セン
○三番仁杉曰　毎年度ニ於テモ取調テ市参事会ヘ照会スルモノナレハ只派遣ヲ要スト云フノミニテハ果シテ幾人ヲ派遣シ幾干ノ費用ヲ要スルヤ分明ナラサレハ、市参事会ニ於テ如何セハ可ナルモノヤヲ困ルナラン、従来書記給料増額ノ時抔モ本会ニ於テ決議シ、其額ヲ市参事会ヘ通牒セシ先例モアルナリ
○二十四番佐久間曰　旅費ハ相当ノ規程アルモノナレハ、幾干ヲ要スト明示スルノ必要ナシ、其筋ニテ勘定セラルレハ可ナラン
○十番鈴木曰　出張幾人、費用幾干ト書ク方ハ明瞭セン、如何ヤ
○二十四番佐久間曰　只其意味ヲ云フニ於テハ差支ナシ
○七番松田曰　夫レハ幹事諸君ニ於テ極メラルレハ可ナリ
○十四番森田曰　本員ハ三番ノ説ヲ賛成ス、調査ノ必要ヨリ出張ヲ為サントスルモノナレハ、只派遣ヲ要スト云フノミニテハ何人カ行キ幾干ノ費用ヲ要スルヤ如何ヲ知ル能ハサルノミナラス、委員カ残ラス行クヤ否ヤハ大関係ヲ有スルコトナレハ、予メ人数・金額ノ多寡ヲ明示スルノ必要アランモノト信スルナリ
○二十三番田曰　種々ニ議論アルカ、要スルニ其目的ニ差違アルヲ以テ岐ルヽ所ナランカ、彼様ニ修正セハ蓋シ一致セン、即チ
　　　　委員出張ノ件
　　電気鉄道ニ関スル調査上参考ニ供スル為メ、本会委員及嘱託員ノ内京都府下ヘ派遣ノ必要アリ、依テ其旅費トシテ左ノ金額ノ支出方ヲ市参事会ヘ照会セントス
　　一金百七拾八円四拾四銭
　右ニテハ如何
○二十四番佐久間曰　賛成
○委員長曰　二十三番ノ修正説ニ賛成者ハ起立
　　総起立
　又曰　全会一致ナルヲ以テ右修正ニ決シ、次ハ諮問第十四号ノ内、電気鉄道布設ニ関スル追願ノ件ヲ議スヘシ
　　　書記朗読
　　諮問第十四号ノ内
　　客年十二月十七日訓第九三三号ヲ以テ、内務大臣ヨリ東京市内電気鉄道布設ノ件貴会議ニ付セラレ候処、右出願者ノ一ナル東京馬車鉄道株式会社ヨリ別紙ノ通追願書差出候ニ付、及御回付候条、前訓令ニ対シ復申ノ節併セテ御意見聞申相成候様致度、此段申進候也
　　　明治二十八年四月二十二日　　内務次官　松岡康毅
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　　　　東京市区改正委員長　三浦安殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別紙略ス）
　又曰　是ハ異議ナクハ、先キノ調査委員ニ付託セン
○二十三番田曰　別紙ノ線路丈ニテモ朗読セシメラレタシ
○委員長曰　然ラハ其要領ヲ朗読セシム
　　　書記朗読
　　第一　現在敷設セル馬車鉄道ヲ電車鉄道ニ変更スルノ件ハ、先願書ニ申述候如ク、可成速ニ御允許被下候様御詮議ヲ仰キ候事
　　第二　将来東京市区改正ノ遂行ニ伴ヒ、市内各区ニ延長敷設ノ必要アル電車鉄道ハ既設ノ線路ヲ有スル当会社ニ御允許被下候様御詮議ヲ仰キ候事
　　品川ヘ至ル線路（甲乙二線トナス）
　　一甲ハ新橋際ヨリ芝口壱丁目通ヲ神明前直線ニ、金杉橋ヲ経テ田町・高輪通リ・品川停車場前ヲ品川本宿ニ達ス
　　一乙ハ新橋際ヨリ二葉町通リ・久保町ヲ南ヘ直線ニ、愛宕下四丁目ヨリ右折シ、芝公園地北門ヲ入リ、直線ニ下寺通リ赤羽ニ出テ、赤羽橋通リ三田町ヨリ札ノ辻ニ至リ甲線ニ入ル
　　四ツ谷ヘ至ル線路
　　一甲ハ新橋際ヨリ二葉町通リ、幸橋ヲ入リ、東京府庁前ヲ左ヘ、幸町通リ・元外務省前通リ、外桜田門ヲ左堀端通リ、陸軍参謀本部前直線ニ半蔵門外ニ至リ乙線ニ入ル
　　一乙ハ本町弐丁目ヨリ右折シ、常盤橋ヲ入リ、印刷局前通リ神田橋際ヨリ左折シ、陸軍省軍馬局前通リ堀端ヲ西ヘ竹橋ヲ入リ、代官町通リ半蔵門ヲ出テ、麹町通直線ニ四ツ谷門ヲ出テ、伝馬町通リ新宿ヲ経テ成子町ニ達ス
　　　　但此両線複線ノ見込
　　板橋ニ至ルノ線路
　　一万代橋ヨリ西ヘ、師範学校前通リ本郷弐丁目ヨリ右折シ、本郷通リ森川町追分ヨリ左ヘ、駒込通・巣鴨町ヲ直線ニ板橋ニ達ス
　　　　但此線路複線ノ見込
　　千住ニ至ルノ線路
　　一上野広小路ヨリ坂本町通リ直線ニ、金杉上町・箕輪町通リ、千住ニ達ス
　　　　但此線路複線ノ見込
　又曰　異議ナクハ先キノ調査委員ニ付托スヘシ、次ハ諮問第十六号内務大臣訓令甲武鉄道会社出願神田三崎町・万世橋間並ニ市内循環鉄道布設ノ件ニ移ル
　　　書記朗読
　　諮問第十六号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京市区改正委員会
　　別紙甲武鉄道株式会社出願ニ係ル三崎町・万世橋間及市内循環鉄道布設ノ件、其会議ニ付シ候条、意見申出ラルヘシ
　　右訓令ス
　　　明治二十八年四月十九日
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　　　　　　　　　　　　　　　内務大臣　子爵　野村靖
　　別紙
　　東京市内中央鉄道ノ設計ハ、去ル明治二十一年勅令第六十二号ニ依リ公告セラレタル東京市区改正設計ノ一部トシテ、已ニ決定相成居候処、甲武鉄道株式会社ヨリ右設計中ニ属セサル別紙図面ノ線路ニ依リ、三崎町・万世橋間及市内循環鉄道敷設ノ儀ヲ出願セリ、依テ思考スルニ該鉄道ノ設計ハ素ヨリ既定ノ計画ニ照準シ査定ヲ要スルハ勿論ニ候得共、其大体ニ於テ市区改正ノ計画ト緊切ナル関係ヲ有スヘキモノ故、先ツ市区改正委員会ノ審議ヲ経ルヲ必要トス、幸目下市内電気鉄道敷設ニ関シ同委員会ニ於テ審議中ノ趣ニ有之、均シク軌道ノ敷設ニ属スル問題ニシテ自カラ電気鉄道ト相関連シテ審議スルヲ便利トナスノ場合モ可有之ニ付、此際該委員会ニ諮問相成候様致度、別紙書類相添此段及御照会候也
　　　明治二十八年四月十五日　　　逓信大臣　渡辺国武
　　　　内務大臣　子爵　野村靖殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別紙書類略ス）
　　○甲武鉄道線路万世橋ヘ延長之図（附図第六五）。
　　　　市内循環鉄道
一線路　四ツ谷停車場ヨリ分岐シ、土堤敷ニ沿ヒ、赤坂見付・虎ノ門幸橋・山下門ヲ経テ、市区改正設計中央停車場ニ至リ、尚ホ神田橋一ツ橋ヲ経テ今川小路新運河ニ沿ヒ、飯田橋停車場ニ聯絡ス、此延長線路五哩拾弐鎖
一停車場　赤坂見付・三年町元工部大学校構内・幸橋門内・神田橋際一ツ橋外・今川小路三丁目ノ六ケ所
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（図面略ス）
　又曰　本案ハ前ノ調査委員ニ委託セス別ニスル方可ナラン、如何
○二十七番渋沢曰　逓信大臣ノ照会ニモ、目下市内電気鉄道布設ニ関シ同委員会ニ於テ審議中ノ趣ニ有之、均シク軌道ノ敷設ニ属スル問題ニシテ、自カラ電気鉄道ト相関連シテ審議スルヲ便利トナス云々トアレハ、其調査委員ニ付托セラルヽ方便利ナラン
○二十四番佐久間曰　鉄道庁ノ委員モ加ヘタシ
○二番須藤曰　本案ニ就テハ鉄道庁出身ノ委員二名ヲ加ヘ、先キノ電気鉄道ニ関スル調査委員ニ付托スルノ説ヲ提出ス
○三番仁杉・二十七番渋沢並曰　賛成
○委員長曰　然ラハ二番ノ、鉄道庁選出委員二名ヲ加ヘ先キノ調査委員ニ付托スル説ニ就キ決ヲ採ル、之ニ同意者ハ起立アレ
　　総起立
　又曰　全会一致ナルヲ以テ右ニ決シ、本日ハ散会
　　　于時午前十一時五十分