デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治39年6月（1906年）

是月当会、戦没者遺族ニ弔祭料ヲ贈ル。栄一理事総代トシテ之ニ与ル。

東京凱旋軍歓迎会誌　同会編　　第三八九―三九〇頁　明治三九年一二月刊
 - 第28巻 p.502 -ページ画像 
　　　　弔祭料贈与
本会ハ凱旋軍隊ヲ歓迎スルト共ニ、一面ニ於テハ同シク近衛師団及第一師団所属ニシテ、満洲ノ野ニ戦死若クハ病没セシ軍人ニ対シテハ、鄭重ナル弔祭ヲ執行スルコトニ定メ置キシカ、其後各区委員ノ意見ヲモ徴セシ上、本会ニテ執行スル弔祭ハ之ヲ見合セ、各遺族ニ弔祭料ヲ贈与スルコトニ変更シ、各区委員ヲ経テ之ヲ遺族二千九百九十五名ニ贈与セシメタリ、其書面左ノ如シ
謹啓
……殿御事、明治三十七・八年戦役ニ従軍被遊戦死御死去被成候段国家ノ為メニハ誠ニ御忠烈ノ次第ニ御座候得共、御遺族ノ御心中不堪拝察之至候就テハ此際本会ニ於テ弔祭会ヲ挙行シ、当日御列席ヲ可煩ト存候得共御多用中却テ御迷惑ト存シ、右弔祭会挙行ノ儀差控ヘ、玆ニ不顧不腆別封贈呈致候ニ付、御弔祭ノ資ニ御差加被下候ハヽ、本会ノ満足不過之候　敬具
　　明治三十九年六月
　　　　　　　　　　　　　　　東京凱旋軍歓迎会理事総代
　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　　　　尾崎行雄
　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　男爵　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　男爵　千家尊福
　　　　故……………殿御遺族
　　　　　　何某殿

竜門雑誌　　第二一七号・第三八頁　明治三九年六月
○東京凱旋軍驩迎会の戦没者弔祭料寄贈　東京凱旋軍驩迎会に於ては東京府下に於ける戦病死者の為め挙行する筈なりし弔祭会を廃して、各遺族に弔祭料を贈る事となり、爾来市内各区及び各郡に於ける遺族の取調中なりしが、東京市内丈けは今回調査結了したるを以て、五月三十一日左の弔文に弔祭料（金五円）を添へ各区に送付し、委員たる各区長より各遺族に夫々贈呈の手続に及びたり
○中略
　　明治三十九年五月
　　　　　　　　　　　　　　　東京凱旋軍驩迎会理事総代
　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　　　　尾崎行雄
　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　男爵　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　男爵　千家尊福
　　　○右ノ弔文日付ハ五月、六月ノ二通リノ資料アリ。姑ク六月ト為ス。