デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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永田甚七君記念碑　　　　（東京市本所区向島三囲神社境内）
　　正五位渋沢栄一篆額　　　　　大沢正道撰並書
　永田甚七君記念碑《（篆額）》
（碑文）
君幼名甚之助、以文政十二年己丑生于江戸下谷西町、家世業商、考曰市右衛門、妣稲垣氏、有三男二女、君其季子也、幼嗣家、事母謹孝信重一族、前此家道既衰、君慨然図之、出為三井組童隷、艱苦十数年、竟立身興父祖之家、明治二年挙為替会社頭取並、其翌年随行伊藤博文公遊於米国耳目大富矣、六年挙第一国立銀行取締役、尋兼任支配人、能弁庶務、恭敬接人、十四年春遇為二豎所侵数日而瘳、其秋復病終不起、十一月二十日没于新和泉町家、享年五十有三、葬押上村直盛寺、君娶福沢氏無嗣、以中村氏子為〓蛉曰清三郎、亦班第一国立銀行高員聘尾高氏女既有螽斯之兆矣、君性謹耐不与物忤、躯幹肥大善飲傾斗、傍楽点茶、閑歌謡常愛墨陀之勝、毎有暇輒往資消遣焉、君篤於担任、至病革尚以廃職為憂、一日渋沢君往慰曰、行事我善弁之、願不以為念徐加調護、君聴之泫然泣下、聞君未甞泣於喜戚而泣於此、其心蓋可謂一篤於職矣、君之没行員為深惜、謀立碑記念而醵金立集、於是卜地於君所常愛游之三囲祠畔、樹此貞石、銘曰
　墨院之隄樹青水花晨月夕歌此飲此思而不見其人已矣巍然豊碑永表遺址
　　明治十五年十一月　　　　建之　宮亀年鎸
（裏面）
　渋沢栄一　　　佐々木勇之助　　　向井小右衛門　　小川貞之介
　西園寺公成　　須藤時一郎　　　　本山七郎兵衛　　増田充績
　斎藤純造　　　井口新三郎　　　　尾高惇忠　　　　長谷川一彦
　三井八郎次郎　熊谷辰太郎　　　　大沢正道　　　　鈴木善三
　三木安三郎　　平野吉蔵　　　　　岡田新七　　　　佐藤忠一
　脇田久三郎　　尾高勝五郎　　　　新井清　　　　　深沢四郎
　高橋東三郎　　中川知一　　　　　椙山貞治　　　　高田啓五郎
　増田啓三　　　片山治助　　　　　小宮乙次郎　　　渡辺文吉
　田中勘輔　　　堀江猪輔　　　　　湯浅徳次郎　　　山本忠次郎
　市川正之丞　　村井義寛　　　　　岸畑治兵衛　　　斎藤喜之助
　大井保次郎　　石川弥吉　　　　　中川浅七　　　　亀田清次郎
　藤井晋作　　　内山義道　　　　　伊藤兼造　　　　黛邦蔵
　沢木安次郎　　荻野可孝　　　　　真田吉兵衛　　　関口正作
　北村芳太郎　　高橋新平　　　　　久米田勝吉　　　野呂整太郎
　片岡新祐　　　伊藤与七　　　　　一瀬文次郎　　　武田信政
　丸地藤兵衛　　斎藤永儀　　　　　志賀直温　　　　増田多郎
　清水琇蔵　　　飯田幸三郎　　　　田中観六　　　　村木善次郎
 - 第28巻 p.550 -ページ画像 
　芝崎確次郎　　大橋半七郎　　　　小林七之助　　　桂原清次郎
　江尻雄二　　　宇都宮綱条　　　　中村藤次郎　　　高橋隼之介
　西井理兵衛　　松田栄次郎　　　　篠田平次郎　　　小川友吉
　埜口橘造　　　川崎総輔　　　　　志村仁兵衛　　　田村松次郎
　高橋褧　　　　和田鎌次郎　　　　高橋免三三　　　中川英三
　蒲義質　　　　富永愛次郎　　　　中村啓　　　　　日原茂太郎
　沼崎彦太郎　　関口庄八　　　　　西尾友吉　　　　岡田駒吉
　山際霜五郎　　小林徳三郎　　　　小田勝太郎　　　岡田寅七
　渡辺新七　　　谷沢勇吉郎　　　　関口慶吉　　　　三宅勢太郎
　三品長直　　　中村義太郎　　　　柴田保　　　　　松永市左衛門
　西田音吉　　　原米吉　　　　　　永石信行　　　　赤崎太一
　千葉勇助　　　三輪千之助　　　　保坂貞三郎　　　上村兼太郎
　木村理七　　　永山猪之　　　　　早乙女昱太郎　　山本勘三郎
　毛利政八郎　　小林勝太郎　　　　井村鶴之助　　　加藤源次郎
　小林隆顕　　　広瀬源三郎　　　　西郡七郎　　　　中村留三郎
　武山源四郎　　松田豊之助　　　　松田常吉　　　　大島武重
　牧田清直　　　田中長太郎　　　　橋本孝三郎　　　井上新助
　宮喜八　　　　杉原澗水　　　　　殿木三郎　　　　細矢要次郎
　太田新助　　　塩山信重　　　　　前田丑太郎　　　小島環八
　一色生次郎　　丹田清二郎　　　　川上帰一　　　　橋爪惟忠
　荒井金次郎　　小林三蔵　　　　　飯島甲太郎　　　鳥井貞三郎
　長川録太郎　　土田常次郎　　　　佐藤清次郎
　社外
　吉川長兵衛　　松本常蔵　　　　　津田束　　　　　酒巻幸右衛門
　右百五十九名捐資立此碑

（芝崎確次郎）　日記　　明治一五年　　　（芝崎猪根吉氏所蔵）
九月廿一日
○上略　小生ハ午前十一時半ヨリ同勤ヘ頼合、大沢正道殿と同車、向島ナル石工江故永田甚七殿紀念碑彫刻見分ニ参リ帰途柏屋ニテ昼食致し、而して帰宅致し候　○下略