デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

2部 社会公共事業

8章 其他ノ公共事業
2節 祝賀会・歓迎会・送別会
5款 東宮御慶事奉祝会
■綱文

第28巻 p.731-732(DK280119k) ページ画像

明治42年5月21日(1909年)

是日表慶館ノ開館式挙行セラレ、東宮同妃両殿下ノ行啓アリ、栄一等ニ謁ヲ賜フ。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四二年(DK280119k-0001)
第28巻 p.731-732 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四二年     (渋沢子爵家所蔵)
五月二十一日 晴 暖
○上略 午前十時上野表慶館ニ抵リ、皇太子殿下ノ行啓ヲ奉迎ス、館内御
 - 第28巻 p.732 -ページ画像 
一覧ノ後一同ヘ令詞ヲ下サル、式畢テ同所ニテ午餐シ ○下略


中外商業新報 第八二八四号 明治四二年五月二二日 ○表慶館開館式(DK280119k-0002)
第28巻 p.732 ページ画像

中外商業新報  第八二八四号 明治四二年五月二二日
    ○表慶館開館式

      東宮同妃両殿下行啓
皇太子同妃殿下には、二十一日午前九時二十分御出門、上野公園帝室博物館構内表慶館開館式に行啓、直ちに便殿に入御、御少憩の後左の諸氏に拝謁を賜ふ
 花房宮内次官・渡辺内蔵頭、千家・渋沢・三井男、高橋日銀副総裁阿部東京府知事・尾崎市長・近藤廉平・高田慎蔵・益田孝・股野帝室博物館長・大倉喜八郎・野村重治・新家孝正其他
次で館内御巡覧後、式場に御台臨左の令旨を賜はりたり
 有志諸氏より余の成婚を賀して献じたる表慶館今や美術品を陳列し開館の式を挙く、其建築の壮麗なる列品の光彩を発揮す、是れ永く余の慶事を表するのみならず、亦以て諸氏の厚意を伝ふるに足る、余太だ之を喜ぶ
股野総長謹で令旨を拝受し、左の奉答文を朗読せり
 今を距る十年前
 東宮御成婚之御慶事ありし時、有志者胥謀り美術館を献納して其紀念とせん事を欲し、千家知事を会長とし渋沢男爵・松田市長を副会長とし、之を宮内大臣に出願し允許を得て地を此に相し、片山博士に其計画を新家技師に其築造を託し、小官に其監督を嘱せらる、爾来拮据経営資を費す事五十余万金、今や全く竣工を告け、表慶館と称し、小官に管理せしめらる、因て東宮両殿下並に各皇族殿下の御臨場を請ひ、宮内次官以下諸員参列茲に開館の式を挙げ
 皇太子殿下より懇篤なる令旨を辱せり、自今我が博物館新たに一の美術展覧場を増加し、斯道に裨益する所鮮少ならざるべし、則ち此館特に御慶事の紀念たるのみならす、衆庶亦将に其余慶に頼まんとす、小官等強めて古美術品を撰輯陳列して参考資料に供し、倍ます其裨益を図らんとす
右にて式全く畢り、両殿下並に各宮殿下御退場、十一時四十分諸員奉送の中に還啓あらせられたり



〔参考〕同方会誌 第三三号・第五二頁 明治四三年七月三〇日 表慶館開館(DK280119k-0003)
第28巻 p.732 ページ画像

同方会誌  第三三号・第五二頁 明治四三年七月三〇日
○表慶館開館 東宮御慶事紀念の為め東京市より献納したる上野公園博物館内の表慶館は、四月十六日より公衆の観覧を許せり、楼上には書籍(絵画・古文書)を、又楼下には彫刻・蒔絵其他美術工芸品を陳列し、時々列品を交代せしむる筈、陳列品は御物を始め博物館の所蔵品及皇族・華族・富豪の珍品をも網羅せる有様なり