デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

3部 身辺

1章 家庭生活
1節 同族・親族
2款 親族
■綱文

第29巻 p.97-98(DK290032k) ページ画像

明治42年3月(1909年)

是ヨリ先、栄一塚原蓼洲ニ嘱シテ、尾高惇忠ノ伝記ヲ編纂シ、是月刊行ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四二年(DK290032k-0001)
第29巻 p.97 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四二年     (渋沢子爵家所蔵)
三月十七日 雪 寒
○上略 藍香翁伝記成ルヲ以テ、之ヲ一読シテ、頗ル懐旧ノ感ヲ生ス


藍香翁 塚原蓼洲著 序 明治四二年三月刊 【渋沢栄一識】(DK290032k-0002)
第29巻 p.97-98 ページ画像

藍香翁 塚原蓼洲著  序 明治四二年三月刊
藍香尾高翁の伝記成るを告く、余何そ之に序せさるを得むや、蓋し余の翁と生るゝに郷貫を同ふし、繋るに戚族を以てし、而して齢に於て余の兄たり、学に於て余の師たり、余の学を修め人と成るに至るもの実に翁の薫陶に依らすむはあらす、是を以て余深く翁を敬愛し、終始悖らすして管鮑の交を全ふしたるもの固より偶然にあらさるなり、故
 - 第29巻 p.98 -ページ画像 
に又翁の性行・履歴を詳かにし、其事蹟・逸話を知るものも亦余に加ふるなきを自信す、夫れ翁は克謹己れを持して汎く衆を愛し、生産作業の旁ら深く学に志し、晴耕雨読常に寸陰を惜ミ、躬行実践して浮華の名を求めす、赤心を披瀝して子弟後進を誘導し、而して謙遜夸らす恬澹自ら居る、真に古賢人の風ありと謂ふへし、之を以て翁を追慕するもの前に胥謀り醵金して以て頌徳の碑を建設し、尚其経歴を詳かにして伝記を作り、之を世に公にし遠近翁を知るものゝ為に永く其音容に接する如き感を与へ、又以て後進勤行の一助に供せむと欲し、則余に求むるに翁の生涯を説話するを以てす、余其篤志を嘉ミし、数回を重ねて記憶する所を縷述し、其筆記を以て蓼洲塚原君に属して此伝記を成すを得たり、鄒叟の言に曰く、人を愛する者は人亦之を愛し、人を敬するものは人亦之を敬すと、此挙の為に謂ふ者の如し、之を序と為す
  明治戊申十月
                渋沢栄一識渋沢栄一