デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治42年1月9日（1909年）

是日栄一、東京ヲ発シ大磯ノ長生館ニ赴キ、二十五日帰京ス。

渋沢栄一　日記　　明治四二年　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月九日　曇　寒
○上略　三時半新橋停車場ニ抵リ　○中略　四十分発車ノ汽車ニテ大磯ニ抵ル、皆川氏品川駅ヨリ同車ス、六時大磯着、夜新聞紙ヲ一覧ス　○下略
一月十日　雪　寒甚シ
午前八時起床、例ニヨリ入浴シ、畢テ日記ヲ編成ス、東京原六郎氏・養育院安達憲忠氏ヨリ書状来ル、各公務ヲ報道セラル、桐山可造氏来リ呉港電気鉄道会社ノ事ヲ詳話セラル、午飧後東京ヨリ根津・梅浦二氏来リ、帝国商業銀行ノ事ヲ談ス、又安東義喬氏来リ、東洋拓植会社就職ノ事ニ付談話アリ、後老公爵伝記草案ヲ調査ス、夕方ヨリ皆川四郎・竹田政智氏等来話ス
一月十一日　晴　寒
午前八時起床入浴シ畢テ、朝飧ヲ食シ新聞紙ヲ一覧ス、後老公爵ノ伝記草案ヲ調査ス
東京横山徳次郎氏ヨリ書状来ル、入浴中東京酒匂常明氏ヨリ電話来ル朝飧後老公爵ノ伝記草案ヲ調査シ、又新聞紙ヲ一覧ス、午前十時過東京ヨリ郷誠之助・吉田幸作二氏来リ、帝商銀行ノ事ヲ談ス、又根津・梅浦・藤山氏等来リテ、同行ノ事ニ付種々ノ談話アリ、終ニ相共ニ会談スルニ至ル、午後一時四十二分大磯発ノ汽車ニテ東京ニ抵リ　○下略
　　　○中略。
一月十四日　曇　寒
○上略　十一時新橋発ノ汽車ニテ大磯ニ抵ル、車中岩田作兵衛・中沢岩太二氏ニ会見ス、午後大磯着、夜梅浦精一氏来リ、広島水力電気会社ノ事・帝国商業銀行ノ事及石川島造船所ノ事ヲ談ス
一月十五日　晴　風寒
午前七時半起床、入浴シ畢テ新聞紙ヲ一覧シ、八時過朝飧ヲ食ス、午前九時五十九分発汽車ニテ帰京ス　○下略
　　　○中略。
一月十七日　曇　寒
○上略　午後四時三十六分新橋発ノ汽車ニテ大磯ニ抵ル、長生館ニ投宿ス夜新聞紙及伝記等ヲ読ム
一月十八日　雨　寒
午前八時起床、風邪気ニテ入浴ヲ廃ス、九時朝飧ヲ食シ、後老侯ノ伝
 - 第29巻 p.588 -ページ画像 
記草案ヲ読ム、午前後ニテ二冊ヲ読過シ、且処々字句ノ修正ヲ為ス、此日東京ニ煉瓦会社株主会及夜ハ鮟鱇会ノ案内ヲ受ケ居タルモ、風邪且天候悪シキヲ以テ電話ニテ断リ遣ス、夕方ヨリ遊戯ニ消閑ス
一月十九日　曇　軽寒
午前八時起床、入浴シテ後日記ヲ編成ス、又記料ヲ読ム、後新聞紙雑誌類ヲ一覧ス、午飧ノ後当地ニ新築セシ竹田政智氏ノ家ヲ一覧ス、途次泥濘ノ為メ歩行困難ナリキ、家ハ小丘上ニ在リテ眺望最モ佳シ、小憩シテ帰ル、夜読書遊戯ニ閑ヲ消ス
一月二十日　晴　寒
午前七時半起床、入浴シ畢テ朝飧ヲ食シ、直ニ支度ヲ整ヘ、九時五十九分大磯発ノ汽車ニテ帰京ス　○下略
　　　○中略。
一月二十二日　曇　寒
○上略　午後三時四十分ノ汽車ニテ大磯ニ抵リ、夜新聞紙及紀料ヲ読ム
一月二十三日　晴　寒
午前七時半起床、入浴シ畢テ朝飧ヲ食ス、後新聞紙ヲ読ミ、又紀料ヲ一覧ス、午後竹田政智氏来話ス、終日読書ト遊戯ニ消閑ス
一月以来僅ニ今日ノ小閑ヲ得テ、適意優遊ヲ試ミタリ
一月二十四日　晴　軽寒
午前七時起床、風邪気ナルニヨリテ入浴ヲ止メ、朝来新聞紙ヲ読ム、八時過朝飧ヲ食ス、後又記料ヲ読ム、今日ハ東京ニ東鉄会社及東洋汽船会社ノ事ニ関シ約束アリシモ、気分悪敷ニ付、電話ニテ出席ヲ断リ終日読書・遊戯ニ閑ヲ消ス
一月二十五日　曇　軽寒
午前七時半起床、直ニ入浴シ、畢テ日記ヲ編成ス、朝飧後九時五十九分大磯発ノ汽車ニテ帰京ス○下略

竜門雑誌　　第二四八号・第五五頁　明治四二年一月
○青淵先生の避寒　青淵先生には去る九日午後新橋発の汽車にて避寒旁々静養の為め大磯に赴かれ、同地長生館に滞留、其間両三回止み難き要務の為め帰京せられたるが、本月末までは同地に滞在せらるゝ予定なり

（八十島親徳）　日録　　明治四二年　　　（八十島親義氏所蔵）
一月九日　曇夜雪
○上略　男爵例年ノ如ク元日午后ヨリ避寒ノ件、御差支アリ、漸ク今日午後三時過出発セラル
○下略
一月十一日　晴　中々寒シ
○上略　今夕男爵ハ大磯ヨリ一寸帰京セラル、新橋ニ出迎フ　○下略
　　　○中略。
一月十四日　曇
○上略　男爵今日大磯ニ被赴
　　　○中略。
 - 第29巻 p.589 -ページ画像 
一月二十二日　曇
○上略　男爵ハ一昨日帰京セラレシガ、今日又大磯ヘ赴カル　○下略
一月廿五日　雨
○上略　昼男爵ハ大磯ヨリ被帰　○下略