デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正7年4月15日（1918年）

是日栄一、ジー・シイ・ベリー博士ヲ、当院ノ本院及ビ巣鴨分院ニ案内シタル後、王子飛鳥山ノ自邸ニ招待ス。

九恵　　東京市養育院月報第二〇六号・第一一―一三頁　大正七年四月
　　　　○渋沢院長のベリー博士招待会記事
　都大路の人々は今や盛りの桜に酔うて、太平の春を夢見つゝある四月十五日、渋沢院長は本邦に於ける監獄改良並びに救済事業の恩師たる遠来の客ジー・シ・ベリー博士を招待し、膝を交へて本邦救済事業の発達に関して談合を試みられたり、当日先づ養育院の現状を紹介せんとて、午前十時小石川区大塚辻町なる養育院本院に参集を乞い、仔細に本院病室・老廃室等を視察し、序で巣鴨村なる巣鴨分院に於て児童の教育状況並に療舎等を巡視し、更に府下板橋町なる板橋分院に赴きて肺並に失禁患者の療養状況及将来の移転敷地等を視察し、終つて王子なる院長邸に於て午飧を共にせらる　○中略
宴終つて記念の撮影を為し　○中略　長閑なる春の邸内を逍遥し別室に入る
　院長は先づ立て、養育院の現況並に将来の計画を詳細に説明し、如何にせば今後最もよく我救済事業の進歩発達を促がし行くべきかにつきて、博士の意見を需めらる
○下略