デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
2節 中央社会事業協会其他
1款 中央慈善協会
■綱文

第30巻 p.494-496(DK300055k) ページ画像

大正4年11月16日(1915年)

是日、京都市市会議事堂ニ於テ、当協会第八回総会開催セラレ、御大典ヲ奉祝シテ、栄一渡米中ナルモ会長ノ名ヲ以テ賀表ヲ捧呈ス。


■資料

慈善 第七編第二号・第一〇六―一〇七頁 大正四年一〇月 本会総会(DK300055k-0001)
第30巻 p.494-495 ページ画像

慈善  第七編第二号・第一〇六―一〇七頁 大正四年一〇月
    ○本会総会
 予て評議員会の議決を経たる本会総会は、愈々来月十六日京都に於て開催する事に決し、会員諸氏に対し左の案内状を発したり
 拝啓、時下益御清穆奉恭賀候、陳者当協会第八回総会の義、御大典奉祝記念の趣旨を以て京都に開催仕り、左の通り挙行致し候間、万障御繰合せ御出席相成度、此段御案内申上候 敬具
  大正四年十月
           中央慈善協会会長 男爵 渋沢栄一
      総会 執行順序
  会日 大正四年十一月十六日
   開会時刻未定、但し当日は二条離宮行幸御日取りにつき、御発輦の時刻御治定を待て定む
  会場 京都市 市会議事堂
 一、開会の辞
 - 第30巻 p.495 -ページ画像 
 一、会務会計報告
 一、会議
    議案
   御大典奉祝記念のため、全国慈善事業名鑑を編成する事
 一、演説
        本会顧問 子爵 清浦奎吾君
      以上
 追て十一月十五日には中央慈善協会京都支会の主催にて、全国慈善大会開催の予定に有之候、委細は京都支会より御案内申上候
 尚来月七日 聖上陛下京都御着輦の際、中央慈善協会員三百名に限り御苑内に於て鹵簿拝観の義、京都府知事より許可相受候に付、当日拝観相成り度候
 尚右に関しては委細京都支会に御打合せ相成度、此段申添候也


慈善 第七編第三号・第九四―九五頁 大正五年一月 第八回総会(DK300055k-0002)
第30巻 p.495-496 ページ画像

慈善  第七編第三号・第九四―九五頁 大正五年一月
○第八回総会 客年本会評議員会開会の際、御大典を機として本会総会を京都に挙行すべき決議に基き、客歳十一月十六日を以て第八回総会を京都市会議事堂内に開催せり ○中略 午後一時開会の予定なりしも、二条離宮行幸の鹵簿盛儀拝観のため、多数の会員が御苑内に参集したると、大饗第一日に相当し、清浦子爵及び其の他幹部諸氏の之に参列せられるがため、開会時間を延期するの已むなきに至れり。其の間養育院幹事安達憲忠氏の養育院現状に就ての有益なる講話ありて、午後二時半開会せり。
生江幹事司会の下に、桑田幹事先づ開会の辞を陳べらる『曠古の御大典御挙行の好機に際して、本会第八回総会を此の旧都に開かるゝは、最も時宜を得たる事と思はる、蓋し我邦の慈善事業は泰西諸国とその淵源を異にす、即ち、我邦慈善事業の中心が皇室に在るの一事是なり此の点決して忘るべからず、是万国に秀づる所以なり、余等は深く之を念とし、満腔の誠意を捧げて皇恩の万一に奉ずるの覚悟なかるべからず』云々と陳べられ、それより生江幹事の常務報告、安達幹事の会計報告ありて後、潮幹事は満場起立敬礼の裡に、中央慈善協会長男爵渋沢栄一氏の名を以て賀表捧呈の事を報告して賀表を朗読せらる。
                臣誠惶誠懼頓首頓首謹テ言ス
 天皇陛下
 祖宗 歴聖ノ遺烈ヲ紹キ
 先帝盛代ノ鴻業ヲ承ケサセラレ、宵衣旰食万機ヲ総攬シテ 皇謨倍倍昌ニ国威倍々揚リ中外瞻仰セサルナシ、伏シテ惟ルニ
 陛下至仁至慈深ク 叡慮ヲ生民ノ休戚ニ労セラレ慈恵ノ事ニ軫念シ給ヒ、屡々内帑ヲ下シテ無告ノ蒼生ヲ賑ハシ罹災ノ黎民ヲ慰メ給フ、普天率土悉ク 皇化ニ霑ヒ四海遐邇咸 聖沢ニ浴ス、凡ソ救済ノ事
  皇室ノ庇護ニ倚リテ厥ノ振張ヲ見サルハナク 皇恩優渥洵ニ感激ノ至ニ堪ヘス臣栄一自ラ揣ラス身ヲ慈恵救済ノ事ニ効シ、夙夜励精其ノ及ハサラムコトヲ惟レ懼ル今ヤ
 - 第30巻 p.496 -ページ画像 
 陛下 登極ノ大典ヲ挙ケサセラレ瑞雲玉階ニ靆キ祥気鳳闕ニ溢ル洵ニ抃舞屏営ノ至ニ任ヘス、玆ニ中央慈善協会ヲ代表シ恭シク賀詞ヲ上リ虔テ 宝祚ノ無窮ヲ祝シ 聖寿ノ万歳ヲ祈リ奉ル、臣栄一誠惶誠懼頓首頓首謹テ言ス
  大正四年十一月十日
        中央慈善協会長 男爵 臣 渋沢栄一謹上
   ○栄一、十月二十三日発アメリカニ渡航シ、翌大正五年一月四日帰朝ス。