デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正12年11月9日（1923年）

是日、当委員会主催常務委員藤山雷太帰朝歓迎午餐会、東京銀行倶楽部ニ催サレ、栄一出席ス。

日米関係委員会集会記事摘要　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
日米関係委員会、大正十二年十一月九日正午、於東京倶楽部
　藤山雷太氏帰朝歓迎午餐会
　　出席者
　　　渋沢子爵・服部金太郎氏・小野英二郎氏・金子子爵・頭本元貞氏・山田三良氏・山科礼蔵氏・江口定条氏・浅野総一郎氏（良三氏代理）（幹事）増田明六氏・小畑久五郎氏
　　　　記事
渋沢子爵座長　今春藤山君が海外旅行を企てられた時は、病後の事とて、実は将来を気遣ふたのですが、御見受け申す処御健康を恢復せられたばかりでなく、非常に御太りになられたことは、御同慶の至りで御座います、今日は藤山君の御留守中、又其以前御病気中取扱ひし事務を報告し、且つ御旅行談をも窺ふ目的を以て、此処に心ばかりの歓迎会を催ふした次第で御座います、先づ取扱事項の主なるものを列挙すれば左の如くで御座います
 - 第34巻 p.106 -ページ画像 
　一大正十一年七月米国海軍卿デンビー氏歓迎会
　一同年十月桑港アイリツシユ大佐歓迎
　一同年十一月ジヨルダン博士歓迎
　一同年同月布哇大学総長デイーン博士歓迎
　一十二年一月埴原駐米大使及田中外務次官の祝賀会
　一同年三月服部文四郎氏汎太平洋会議出席送別会
　一同年四月布哇毛利伊賀氏歓迎
　一大正十二年六月本会陳述書発表
　之より藤山君に御話を御願ひ致します
藤山氏　渋沢子爵を始め皆様が、私の為めに此歓迎午餐会を御開催下さいましたことを感謝致します、渋沢子爵の御話中にもありましたが、私自身と致しましても今回の旅行が如何なる結果を自分の一身上に齎らすかを気遣つたのですが、兎に角十分休養せようといふ考で出掛けた訳けで御座いました、今回の旅行は第二回目ですが、第一回は大正二年で到る処に肩身の狭い感じが致しましたが、今回の旅行は実に愉快なもので御座いました、米国の大統領やフランス及独逸の大統領などは、自ら椅子を運んで私を側に寄せて親しく話すといふ有様で御座いました、特に米国では連れて参りました通訳者が達弁家であつた為に、好都合で御座いました、米国の全国商業会議所同盟大会で演説を致しました、今後はドーしても国々の商業会議所が大に活動せねばならぬと考へます、種々申上げ度い事がありますが、今日は何等纏つた事を申上くることが出来ませんのを遺憾に存じます、何れ或る機会に於て旅行談を試み度いと思つて居ります………

日米関係委員会往復書類（一）　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷葉書）
拝啓、時下益御清適奉賀候、然ハ本会常務委員藤山雷太氏此程欧米ノ視察ヲ終リ、無事帰朝被致候ニ付テハ、来十一月九日正午東京銀行倶楽部ニ於テ歓迎ヲ兼ネ、同氏ノ日米問題ニ関スル視察談ヲ承リ候事ニ仕候間、時節柄御多忙ト存候ヘ共、何卒御繰合セ御出席被下度願上申候、右御案内申上候　敬具
　　　　　　　　　　　　　　　日米関係委員会
　　大正十二年十月廿五日　　　　　常務委員　渋沢栄一
　　　御手数ナガラ御来否御一報願上候

集会日時通知表　　大正一二年　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
十一月九日　金　正午　日米関係委員会催
　　　　　　　　　　　藤山雷太氏歓迎会（銀行クラブ）

（阪谷芳郎）日米関係委員会日記　　大正一二年
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（阪谷子爵家所蔵）
十二、十一、九　銀行クラブ、日米関係委員午餐、藤山雷太帰朝ニ付キ余欠席ス

 - 第34巻 p.107 -ページ画像 

（増田明六）日誌　大正一二年　　　　　　（増田正純氏所蔵）
十一月九日　金　晴
定刻出勤
正午東京銀行倶楽部ニ於て、日米関係委員会主催藤山雷太氏帰朝歓迎会ニ出席、司会者渋沢子爵の歓迎辞ニ対し、藤山氏の米国視察談あり午餐の後散会

竜門雑誌　　第四二三号・第六三頁　大正一二年一二月
○藤山雷太氏歓迎午餐会　日米関係委員会にては、同会常務委員藤山雷太氏の帰朝歓迎午餐会を、十一月九日正午東京銀行倶楽部に開会し青淵先生・服部金太郎・小野英二郎・金子子・団琢麿・頭本元貞・山田三良・山科礼蔵・江口定条諸氏及び増田・小畑両氏出席の上、青淵先生より一場の挨拶あり、終つて藤山氏の謝辞並に欧米視察談あり、午後三時半散会せる由なり。