デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正13年5月11日（1924年）

是日、アメリカ合衆国ニ於ケル貿易商滝藤治三郎飛鳥山邸ニ来訪シ、同国ノ近状並ニ同国シカゴ市日本人基督教青年会ノ事業ニ就イテ栄一ニ報告ス。

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

渋沢栄一　書翰 控　島津岬宛大正一三年五月一六日（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　控
　市俄古日本基督教青年会
　　島津岬様　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
拝啓、其後御無音に相成候処益御清適之由敬賀之至に候、小生も老来幸に健在、不相変多忙に消光致居候間御安意被下度候、扨過日は滝藤治三郎氏の帰朝に託し、市俄古基督教日本人青年会より美くしき銀製皿壱枚御寄贈被成下、難有正に拝受仕候、永く保有致候て御厚意を記念可致と存候、何卒貴家より同会々員各位に小生拝謝之意宜敷御致声被下度候
御紹介に依り滝藤氏に面会、米国之近況並貴会が米国人の青年会と合し事業経営被成居候現況を聴取致、誠に愉快を感じ候と同時に、其今
 - 第34巻 p.246 -ページ画像 
日に至れる道程に於ける貴下之御苦心に付て追想致したる義に候
昨年来米国に続出したる排日問題に付ては、之が阻止と緩和とに微力相尽候得共、遂に最近議会に於て排日的移民法案の出現を見るに至り誠に寒心の至に候、小生等は本問題に関しても、一方我政府に其措置に付て進言し、同時に我国民の激昂せる行動を緩和し、他方には米国の有力なる友人等に打電して、円満なる解決に尽力相試み候へ共微力其効無く、今や上下両院の之を通過したる形勢と相成、先年華府会議に於て日本が米日親善の誠意より為したる協調も何等の意義を存せさる事と相成、誠に遺憾千万に候、乍併小生は本問題に付ては益不撓、最後迄最善の方法を講すべく努力する決心に御座候
先は御礼迄申上度匆々如此御座候　敬具
　尚々小生義渡米の趣御聞込の由に候処、右は全く誤伝にて、小生自身に於て渡米の意念無之、又他より之が勧誘を受けたる事無之候間此段御承知被下度候
　　大正十三年五月十六日

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。