デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和6年1月4日（1931年）

是ヨリ先、フランス共和国元帥ジョッフル逝去ス。是日栄一、当会館理事長トシテ同国政府並ニ元帥未亡人ニ弔電ヲ発ス。

日仏会館書類（四）　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
拝啓　明七日午前十時より小石川区関口台町十九天主公教会に於て、ジヨツフル元帥祈祷会相催候趣の処、右は有志参会随意之趣に有之候間、此段為念御報申上候、右祈祷会に花環にても相供候而者如何にやとも被存候処、仏国大使館にては、何も相供へ不申候上、他より何等供へ物等なき事希望之趣に付、会館協会共、何等供物致さず候間、右達貴聴置候　敬具
　　昭和六年一月六日　　　　　　　　　常務理事　木島孝蔵
　　　　理事長子爵　渋沢栄一殿
　追て同元帥薨去に付、御名代として一昨四日仏国大使館訪問、弔意を表し置候処、同大使より謝意を表する為め別紙名刺○略ス送り越候ニ付入貴覧候
猶ほ弔電は左記の通り取計ひ置候に付、御承認置願上度候
　日仏会館理事長渋沢ハジヨツフル元帥薨去ノ報ニ接シ悼惜ニ堪エズ会館ノ名ニ於テ御家族及仏国政府ニ対シ深厚ナル同情ト至誠ノ弔意ヲ表ス
○中略
　右元帥家族及仏国政府ニ御伝達願フ　木島
　　　　巴里大使

慶弔関係書類（日仏会館日仏協会庶務係所蔵）
昭和六年一月四日
　　KOSHI PARIS
　日仏会館理事長子爵渋沢ハ、ジヨツフル元帥薨去ノ報ニ接シ悼惜ニ堪ヘズ、会館ノ名ニ於テ御家族及仏国政府ニ対シ、深厚ナル同情ト至誠ノ弔意ヲ表ス
　　　○右本文ハソノマヽ之ヲローマ字ニ訳シテ仏国駐箚大使（KOSHI PARISハ電報略号）宛ニ送リタルモノナリ。
 - 第36巻 p.365 -ページ画像 

財団法人日仏会館第七回報告（自昭和五年四月一日至昭和六年三月三一日）第四―五頁刊
　　　　一、会員
○上略
一、昭和六年一月三日、マルンノ名将ジヨツフル元帥薨去ニ付、翌四日当館理事長渋沢子爵ハ、我駐仏大使ヲ経テ仏国政府及元帥未亡人ニ電報ヲ送リ、深厚ナル同情ト至誠ノ弔意ヲ表セリ
　芳沢大使ハ右ニ対シ、左記両通ノ書面ニ接シタル旨通知アリタリ
　　拝啓、一月五日附書信ヲ以テ、閣下ハ在東京日仏会館理事長渋沢子爵ヨリジヨツフル元帥薨去ニ付、仏国政府ニ弔意伝達方依頼ノ電信ニ接セラレタル旨、御通知相成リ敬承致シ候
　　今般、渋沢子爵ノ弔意御伝達ニ預リ仏蘭西ノ国喪ニ対シ斯ク誠意同情ヲ発セラレ、小官ハ深ク感謝致居候旨、同子爵ヘ御移牒願度此段御願迄得貴意候　敬具
　　一九三一年一月
　　　　　　外務大臣代
　　　　　　　　　　政務通商局次長　アンドレ・ド・ラブレー
　　　芳沢大使殿
　　拝啓、ジヨツフル元帥夫人ハ東京日仏会館理事長渋沢子爵ノ弔意御伝達ニ預リ、深ク感謝致居候
　　元帥及同夫人ハ、一九二二年東京滞在中、日仏会館ヲ訪問シ愉快ナル待遇ヲ享ケラレタル好記念ハ能ク記憶被致居候、元帥夫人ハ渋沢子爵ニ其深厚ナル謝意ヲ呈シ度ク御依頼被申出候　猶ホ同夫人ハ喪中閣下ノ多数ナル同情表示ニ対シ、重ネテ感謝ノ意ヲ表シ度ク被申出候、此段奉得貴意候　敬具
　　一九三一年一月九日　イサリー将軍
　　　芳沢大使閣下
　同一月七日午前十時、当市小石川区関口台町天主公教会ニ於テ故元帥祈祷会催サレタルニ、両会役員其他多数会見ノ参会アリタリ
○下略
　　　○同元帥ハ大正十一年我邦ニ来朝セリ。本資料第三十九巻所収「フランス共和国元帥ジョッフル歓迎」大正十一年二月二日ノ条参照。