デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
13款 社団法人国際聯盟協会
■綱文

第36巻 p.596-601(DK360209k) ページ画像

大正13年5月23日(1924年)


 - 第36巻 p.597 -ページ画像 

是日、当協会東京帝国大学学生支部発会式同大学ニ挙ゲラル。栄一出席シテ演説ヲナス。


■資料

集会日時通知表 大正一三年(DK360209k-0001)
第36巻 p.597 ページ画像

集会日時通知表  大正一三年       (渋沢子爵家所蔵)
五月十七日 土 午後三時 国際聯盟協会支部ノ件ニ付
             東京帝国大学学生来約(兜町)


国際聯盟協会書類(一) 【拝啓 高堂益々御清祥之段奉賀候、陳者今般東京帝国大学国際聯盟協会支部を設置…】(DK360209k-0002)
第36巻 p.597-598 ページ画像

国際聯盟協会書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓
高堂益々御清祥之段奉賀候、陳者今般東京帝国大学国際聯盟協会支部を設置仕り、来る廿三日(金曜日)午後三時廿分より、本学三十番教室に於て、当支部発会式挙行致度候間、万障御繰り合はせの上御来臨の栄を賜り度、右御案内申上候 敬具
             東京帝国大学国際聯盟協会支部委員
  大正十三年五月十八日
    (四字手書)
    渋沢子爵殿
(印刷物)
    趣意書
 現実に対立する可能性が吾等の関心事である。可能性のみが理想であり得、力であり得る。
 国際正義がなみせられ、国際協力が侮らるればこそ、吾等の努力には動向が与へられる。
 憎悪や偏見や狭隘な利己心を超えて、人間精神の渾一なる諧調へ、それは魂の悠久なる祈願である。透徹なる理性と自由なる良心との、ひたぶるな欣求でなければならない。
 国際聯盟は血潮に塗れた廃墟の中に、二十世紀が培つた、さゝやかな、だが力強い新しき芽である。而も過去四年の豊な功績は、文化への貢献の尊貴な記録なのである。幻想《イリユウジヨン》や感傷《サンチマンタリテ》の産物では決してない。それにしても心外なまでの人々の無理解と無関心とは、稚き心に公憤を充さずには置かない。又義しきを慕ふ心は新なる国際雰囲気の醸成を覓めて已まない。
 吾等は今動かうとする。然しそれは反動や気紛れからではない、人類の心臓の儼たる命令に従ふまでである。吾等は今外に働き掛けやうとする。素より軽妄は吾等の欲する所ではない。激湍の奔騰は壮烈には違ひなからう。けれども、吾等は冲な湛えられた森厳な力に恦怳れる。吾等は唯知つてゐる。解くべく無数の問題が与へられ、又若き日本が多難な前途に邀せられてゐることを。公正にして聡明な判断と、博洽にして強靭な愛とを贏ち得ん為に、吾等の第一路程は、凡ての難問の学究的研覈に向けられねばならぬ。充溢せる力として吾等は巷へ出たいのだ。
 人間性《リユウマニテ》の殿堂へ一枚の舗石でもよい、吾等の微力が寄与し得たならば、それは吾等の願ひの上にある。
 可能性に感激を持ち得る所に、青春の全魅力があるのではないか。
 - 第36巻 p.598 -ページ画像 
 同志よ、君達は待たれてゐる。両手を伸せ。そして吾等の運動の与ふる波紋を、深く大きくすることに力を協して呉れ。
  大正十三年五月十一日
             国際聯盟協会東京帝国大学学生支部
    国際聯盟協会東京帝国大学学生支部綱要
一、目的
 1、国際聯盟協会に協力し、聯盟の精神の醸熟に力む。
 2、国際政治・国際経済、その他国際生活に関聯する凡ての問題のあらゆる方面よりする学術的研究、並にその発表
一、組織
 東京帝国大学々生の同志を以て会員とす
 会員中より委員若干名を選任す
 本学教授・助教授及講師の有志を以て賛助員とす
 賛助員中より部長一名、副部長一名、並に幹部一名を推薦す
 部長・副部長・幹事及委員を以て、理事機関とす
 事務所は当分帝大寄宿舎二五戸に置く
○下略


(国際聯盟協会) 会務報告 第二二輯 自大正一三年五月七日至同年六月二四日(DK360209k-0003)
第36巻 p.598 ページ画像

(国際聯盟協会) 会務報告  第二二輯 自大正一三年五月七日至同年六月二四日
                     (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
七、学生支部
 (イ)五月二十三日帝大支部発会式
    (支部長山田三良博士・副支部長穂積重遠博士・幹事神川彦松助教授《(教授)》)、渋沢会長、林・田川・頭本・山川各理事参列
○下略


国際知識 第四巻第七号・第一六八―一七一頁大正一三年七月 国際聯盟協会 東京帝大学生支部の創立(DK360209k-0004)
第36巻 p.598-601 ページ画像

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