デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
13款 社団法人国際聯盟協会
■綱文

第37巻 p.70-74(DK370008k) ページ画像

大正15年4月26日(1926年)

是日栄一、当協会ノ主ナル賛助員ヲ、東京銀行倶楽部ニ請ジテ、従来ノ年賦寄付継続ノコトヲ勧説シ、ソノ賛成ヲ得。


■資料

国際聯盟協会書類(二) 【(謄写版) 大正十五年四月二十日】(DK370008k-0001)
第37巻 p.70-72 ページ画像

国際聯盟協会書類(二)         (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
  大正十五年四月二十日
                 国際聯盟協会々長
                     渋沢栄一
 - 第37巻 p.71 -ページ画像 
    (二字手書)
    会長殿
拝啓、愈々御清適奉大賀候、陳者本日理事会に於て決定致候通り、来る四月廿六日(月)正午、丸ノ内銀行倶楽部に於て賛助員諸氏の御臨席を煩はし、本会の事業の内容を報告し、旁将来の財政的援助を乞ふことに致度く、就ては御繁用中乍恐縮同日定刻迄に御来臨被下度、此段御案内申上候 敬具
追而準備の都合も有之候間、折返し御回報相煩度願上候
(謄写版)
                (別筆)
                前寄附者六二、六四〇円
                 一万五千二百二十円減
              後口
              日歩六厘は年利二分一厘九毛
    国際聯盟協会寄附者芳名

口数 金額
          円
二五    三、〇〇〇(大正十三年ヨリ同十五年マデ) 南満洲鉄道会社々長殿
 五      六〇〇  同             男爵      森村開作殿
五〇    六、〇〇〇  同             男爵      三井八郎右衛門殿
二〇    二、四〇〇  同             男爵      大倉喜八郎殿
一五    一、八〇〇  同             日本銀行総裁  市来乙彦殿
一〇    一、二〇〇  同             同副総裁    木村清四郎殿
二五    三、〇〇〇  同             日本郵船会社殿
一五    一、八〇〇  同                     山下亀三郎殿
一〇    一、二〇〇  同             日本勧業銀行  梶原仲治殿
二五    三、〇〇〇  同             横浜正金銀行殿
 五      六〇〇  同             台湾銀行殿
 二、半    三〇〇  同             台湾銀行頭取  森広蔵殿
一〇    一、二〇〇  同             第一銀行頭取  佐々木勇之助殿
二五    三、〇〇〇  同             保善社代表   安田善次郎殿
二〇    二、四〇〇  同             子爵      渋沢栄一殿
二〇    二、四〇〇  同             男爵      古河虎之助殿
        三三〇  同                     内藤久寛殿
一〇    一、二〇〇  同             十五銀行殿
 五      六〇〇  同             十五銀行頭取  成瀬正恭殿
五〇    六、〇〇〇  同             男爵      岩崎小弥太殿
一〇    一、二〇〇  同             第百銀行頭取  原邦造殿
一〇    一、二〇〇  同             東京電灯会社長 神戸挙一殿
 五      六〇〇  同             東洋拓殖会社殿
一〇    一、二〇〇  同             朝鮮銀行殿
 五      六〇〇  同                     清水満之助殿
 五      六〇〇(大正十年ヨリ十四年マデ五ケ年間)公爵 徳川家達殿
          円
合計   四七、四二〇                二十六人
 
(栄一鉛筆)
 十五年四月二十六日銀行倶楽部ニ於テ開会、会長として余ハ来会者ニ対し寄附金継続之事を請求し、本会経営之実況及国際聯盟会議之実況等ハ林毅陸氏より説明シ、寄附金ニ付テハ阪谷副会長よりも一
 - 第37巻 p.72 -ページ画像 
場之演説有、来会者ハ大概是迄通り継続之事ニ協議相成候事


国際知識 第六巻第六号・第一四二―一四三頁大正一五年六月 聯盟協会本部だより 賛助員会(DK370008k-0002)
第37巻 p.72 ページ画像

国際知識  第六巻第六号・第一四二―一四三頁大正一五年六月
 ○聯盟協会本部だより
    賛助員会
四月二十六日正午、銀行倶楽部に本会賛助員の会合を催し、本部より徳川総裁、渋沢会長、阪谷・添田両副会長、田川・宮岡、頭本、深井・林・加藤諸役員、来賓側としては、外務次官出淵勝次、日本郵船会社長白仁武、台湾銀行頭取森広蔵、東洋拓殖総裁渡辺勝三郎、三井合名理事阪井徳太郎、山下亀三郎・三菱・第百銀行・保善社・横浜正金・十五銀行・南満鉄道諸会の代表諸氏であつて、いづれも本会の活動の必要を認め、その財政的基礎を培ふ為め尽力を約された。


国際聯盟協会書類(二) 【寄附者への手紙】(DK370008k-0003)
第37巻 p.72-73 ページ画像

国際聯盟協会書類(二)          (渋沢子爵家所蔵)
    寄附者への手紙
      (太字ハ朱書)
      本人出席者への手紙
拝啓、益御清適奉賀候、陳者過日は御多忙中にも不拘、本協会協議会に御臨席被成下難有御礼申上候、其節本協会の状況等詳細申上候大正十六年より同十八年迄向ふ三ケ年間、更に御寄附御継続の義御願申上候処、直に御快諾を得感謝の至りに御座候、就て御手数誠に恐縮至極ながら、別紙○欠ク 寄附金申込書に夫々御記入の上、本協会へ御送付被下度候、右拝願得貴意度書中如此御座候 敬具
               国際聯盟協会
                 会長 子爵 渋沢栄一
      代理人出席者への手紙
拝啓、益御清適奉賀候、陳者過日本協会協議会開催の節は、特に  氏御代理として御出席被下難有厚く御礼申上候、当日の模様は既に同氏より御聞取被下候義と存上候処、従来御賛助被下候各位に対し、更に向ふ三年間御寄附御継続の義御願申上度、尊来の各位に御協議申上候処、幸に御快諾被下夫々手続取運居候次第に御座候、就て御迷惑察入候へとも貴台にも、大正十六年より同十八年迄向ふ三年間、更に御寄附御継続の義御承引被下度願上度、別紙寄附金申込用紙○欠ク同封致候間、夫々御記入の上本協会に御送附被下候はゞ幸甚に御座候、右得貴意度如此御座候 敬具
               国際聯盟協会
                 会長 子爵 渋沢栄一
      欠席者への手紙
拝啓、時下益御清適奉賀候、陳者本協会々務の状況詳細御報告申上、且事業継続の義に付御協議申上度、去月二十六日東京銀行倶楽部に小会催尊来願上候処、折悪しく御差支の為め御来車無之残懐の至りに御座候
本協会の状況ハ大体同封小冊子○欠ク に記述致置候通りに有之、本会事業継続の為め有力者諸氏之御援助を必要と致、其節御出席の方々に御願申上御快諾を得候次第に御座候、就て御迷惑察入候へとも貴台にも
 - 第37巻 p.73 -ページ画像 
御同意被下、大正十六年より同十八年迄向ふ三年間、従来同様御寄附の義御承諾被下度御願申上候、尚同封の寄附金申込用紙○欠クに御記入の上、本協会へ御送付被下候はゝ難有御座候、右御依頼申上度如此御座候 敬具
  年 月 日      国際聯盟協会
               会長 子爵 渋沢栄一
  ○右三通ノ書翰ハ大正十五年五月ノ発信ト推定ス。


国際聯盟協会書類(二) 【(写) 謹啓、時下益御健勝奉賀候、陳者は過日は御多忙の折柄に不拘…】(DK370008k-0004)
第37巻 p.73 ページ画像

国際聯盟協会書類(二)          (渋沢子爵家所蔵)
(写)
謹啓、時下益御健勝奉賀候、陳者は過日は御多忙の折柄に不拘、本協会賛助員協議会に御光臨被成下、難有厚く御礼申上候
次に従来、年額金六百円宛御寄附を蒙り居り候処、昨年度にて御契約の期限満了致候に付ては、恐縮ながら本年より更に三年間、御寄附御継続被下度御願申上候、就ては寄附申込書○欠ク相添へ此段奉得貴意候
                           敬具
                国際聯盟協会
                  会長 渋沢栄一
    公爵 徳川家達閣下
(写)
拝啓、益御清適奉賀候、然ば予て御賛助を得候国際聯盟協会に対する御寄付金は、昨年度を以て御契約期限満了致候に付ては、御迷惑千万ながら本年度より向ふ三年間、御継続被下度旨先便拝願仕候処、御多忙中の為めか未た御回示に接せず痛心罷在候、右は已に御承知の通り国際の現状に鑑み是非事業存続の必要を認め、御願申上候義に有之、老生も老衰ながら熱心努力致居、寄付金も微力ながら年額弐千四百円宛負担致居候次第に有之、老生の衷情御諒察の上御援助被下度切望の至に御座候、右願用得貴意度重ねて如此御座候 敬具
                    渋沢栄一
  ○右二通ノ書翰ハ大正十五年七月ノ発信ナリ。後者宛先ヲ欠ク。


国際聯盟協会書類(二) 【(栄一鉛筆) 十五年四月二十六日銀行倶楽部ニ於テ開催ノ節用済】(DK370008k-0005)
第37巻 p.73-74 ページ画像

国際聯盟協会書類(二)         (渋沢子爵家所蔵)
          (栄一鉛筆)
          十五年四月二十六日銀行倶楽部ニ於テ開催ノ節用済
 国際聯盟は世界大戦の惨禍に顧み、未来遠永再び斯かる惨事なからしめんとして創立せられたものでありますが、幸にして創立満六年、年と共に基礎を固め活動を繁く致して居ります。
 細かい事は申し述べる要なしと存じますが、大体に於て聯盟は、国際間の人道・文化・経済・交通・行政・衛生、その他万般に亘る協力の機関として最も顕著なる成績を示し、戦争を防止したことも六度以上に及び、国際紛争を平和に解決したことも三十余度になります。
 不幸にして独逸・米国・露西亜が参加致しません為め聯盟の活動に多大の障害がありましたが、最近独逸は正式に加入を申込み米国も亦好意的協力を進め、特に聯盟の常設裁判所には加入を決意致しました
 - 第37巻 p.74 -ページ画像 
 かくして聯盟は、現在の所では基礎尚固しとは申されませんが、将来は益々力強い機関にならうとしてゐることは確かであります。
 我々の組織して居ります国際聯盟協会なるものは、列国政府の組織せる国際聯盟に対し、輿論を喚起して之を後援し、指導し、及鞭撻せんとする目的のもとに生れたものでありまして、大正九年四月、時の総理大臣原敬氏が、特に有力者の後援を勧説せられ、毎年約七万円の寄附金を得て、活動を開始したものであります。
 聯盟協会の事業は、自ら対内対外の二途に分れますが、対内的には印刷物の発行、講演会の開催等により、国際聯盟の理想を普及し、兼ねて一般国際問題の報導に努めました。定期月刊雑誌類四種、不定期刊行図書六十余種に及び、講演会其の他の会合数一年約二百回に及んで居ります。
 さて対外的には、列国にも同様の国際聯盟協会が活動して居りますが、各国の協会が国際的に聯合会を組織し、毎年一回総会、数回理事会、頻繁に委員会を開いて、重大なる国際問題を討議し、世界的に最も進歩したる輿論を糾合高唱致すのであります。
 特に注意すべきは、未だ聯盟に加入せざる米・独・土の諸国にも、有力な聯盟協会が組織せられ、各自国に於ける輿論を動かして、聯盟加入を促進してゐることであります。
 而して聯盟協会国際聯合会は、独り一般理想的問題を研究討議するばかりでなく、始終一国の重大問題が論議に附せらるゝのでありまして、例へば我が国に関しましては、朝鮮独立問題・旅順大連還付問題通商衡平待遇問題・移民問題の如きが、聯合会議に上程せられまして我が協会が奮闘努力致したことも一通りではありません。
 国際聯盟を愈々健全に育てゝ行く為めにも、且又我が国民の幸福利益を伸張する為めにも、国際聯盟協会といふものはどうしても之を力強いものにして行かねばならぬ道理でありまして、其れには我が聯盟協会の現状では甚だ心細い事柄が多いのであります。
 幸に第五十一議会に於きまして、国庫より本会の為めに年額五万円の補助金が出るやうになりましたことは、一つには本会従来の活動に顧みて、其の国家的に枢要の機関たることが認められた為めであり、二つには益々将来に発展を要望せられてゐる為めと考へられます。
 大要は右の如き次第でありまして、此の際大方の一層の御賛助と御指導を切望致すのでございます。
  ○右一文ハ当日会長ノ演説草稿トシテ、当協会ノ事務当局ノ作成ニ係ルモノニシテ、栄一ハ之ヲ使用セザリシガ如シ。