デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正14年8月30日（1925年）

是日栄一、アメリカ合衆国南加日本人青年会同盟主催南加学生日本見学団ノ一行ヲ飛鳥山邸ニ招キテ茶会ヲ催ス。

招客書類（二）　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
大正十四年八月三十日午後四時、於飛鳥山邸晩香廬茶会ヲ催フス、○印十一人案内ニ応シ来会（其他帰郷中ニテ未タ上京セサル由）、折柄添田寿一・鈴木文治両氏来リ合ハセ子爵ト共ニ一行ニ会見ス
子爵及添田・鈴木三氏ヨリ一行に対スル訓示及希望談アリ、茶菓果饗応ノ後庭園散歩、六時退散ス
　　　○右ハ南加日本人青年会同盟主催、祖国見学団団員同行者名簿（印刷物）ノ欄外ニシルサレタル記事ナリ。団員氏名略ス。団長ハ第一羅府学園長島野好平ナリ。

招客書類（二）　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　大正十四年八月三十日午後四時、於飛鳥山邸晩香廬
 - 第39巻 p.325 -ページ画像 
　　祖国見学団招待茶会
　　　　　　　　　　　　　　　　（太丸・太字ハ朱書）
　南加中央日本人会教育部長　　団長　○島野好平
　羅府日本人会参事員　　　　副団長　欠仲村権五郎
　南加大学政治科　　　　　　　　　　○蒲島直恵
　加州大学南部分校商業科　　　　　　○鍵和田芳房
　加州大学南部分校医学科　　　　　　○小畑信次郎
　ホイツテア大学化学科　　　　　　　○中野内藤作
　南加大学経済科　　　　　　　　　　○遠山経之
　加州大学南部分校法学科　　　　　　○山県新作
　リバサイドハイスクール卒業歯科医　○稲葉秀雄
　パサデナハイスクール卒業英文科　　○加藤貞一
　プロレーハイスクール卒業　　　　　欠平良一三
　ハリウツドハイスクール卒業工学科　○浦田対
　レツドランド大学　　　　　　　　　欠村山猶吉
　日蓮宗教会開教師　　　　　　　　　欠池田順教
　農学士　　　　　　　　　　　　　　欠大野時郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ミス・ネリー・ジー・オリバー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　○鈴木文治
　　　　　　　　　　　　　　　　　　○添田寿一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　○主人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　○増田明六
　　　　　　　　　　　　　　　　　　○小畑久五郎
　　　　　　　　　以上〆廿一人内
　　　　　　　　　　　　　　欠席五人
　一、茶菓ノ用意ハ東洋軒ニ申付済

雑綴　日米関係委員会（一）　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　受信十四年六月二十五日　明六
（印刷物）
謹啓　貴下愈々御隆昌の段慶賀の至に存じ奉ります
次に私共在米同胞に関しては予て多大の御配慮に与り居ること、玆に篤く御礼申上ます
今や引続ける排斥圧迫の裡に、幸に貴下の御高配に依り切に前路の開拓に力め居る私共在米同胞の社会に於ては、日本人系市民たる第二世の教養といふことが最も重大なる問題として、一同焦心苦慮し居る所であります
本同盟にても第二世教養の為め種々画策尽瘁中でありますが、今回彼等をして日本の現情を視察し文化に接触し、其の使命を全うせしめんとの目的を以て、現に当地各大学並にハイスクール高級在学の学生中成績優良の者十余名を募り、南加学生日本見学団を組織し夏季休業を利用して約一ケ月間日本各地を巡遊せしむべく、来る七月七日桑港出帆の天洋丸にて渡航、九月四日横浜出帆のコレア丸にて帰航、団費は学生のことにつき、出来るだけ節約の方針にて、目下種々準備中であります
 - 第39巻 p.326 -ページ画像 
就ては何卒本同盟の主旨御賛助相成、前記見学団日本到着の上は何分御高配に与りたきものであります、先は書面を以てこの儀謹みて御願ひ申上ます　敬具
　　千九百二十五年五月　日
　　　　　　　　　　南加日本人青年会同盟
　　　　　　　　　　　　　　　　理事長　遠山則之
　　　　　　　　　　　副理事長見学団長　島野好平
　　　　　　　　　副理事長見学団委員長　仲村権五郎

前文青年会同盟主催見学団の計画は、当地在留同胞の挙つて協賛する所にして、其の結果の良好ならんことを望む、下名等は玆に連署して共に貴下のこれに対する御配慮を希ふ次第であります
　　　　　　　　　　　　　　在ロスアンゼルス
　　　　　　　　　　　　　　　　　帝国領事　若杉要
　　　　　　　　　　　　　　南加中央日本人会
　　　　　　　　　　　　　　　　　会長　　　湯浅銀之助
　　　　　　　　　　　　　　南加日本人商業会議所
　　　　　　　　　　　　　　　　　会長　　　谷越勝太郎
　　　　　　　　　　　　　　羅府日本人会
　　　　　　　　　　　　　　　　　会長　　　藤井整
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　羅府新報社
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　羅府日米新聞社
　　　　（宛名手書）
　　　　子爵　渋沢栄一殿
（欄外・別筆）
　［世話人ヨリ何等カ申出アリタル際、何トカ方法ヲ設クル事　明六

（島野好平）書翰　増田明六宛大正一五年七月一五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（朱書）
　　　　　　　　　　　　　　　　　9／11返事済　8／18落手
謹啓
其の後子爵はじめ各位愈々御健勝の趣賀し奉ります、私ども当地青年同盟母国見学の一行御地に参上し、子爵はじめ各位の御厚情にあづかりまして以来玆に一年、一行は帰来各地に報告の講演を試み、大に母国の文化を宣伝すると同時に、各自の志業に励み他日各位の御高志に報る日あらんを期して居りますから、憚ながら子爵はじめ各位に然るべく御鶴声相願度、今回一周年記念の会合を催うすに際し、重ねて各位の御厚情を深く感謝し奉ります
曩に一行の渡日記事感想等を掲載せる青年同盟機関雑誌「在米青年」発行別便を以て高覧に供す
末ながら子爵はじめ各位の御健康を祈る　敬具
　　大正十五年七月十五日　　　　　　　見学団々長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島野好平
　　渋沢事務所にて
　　　　増田明六殿