デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正15年6月21日（1926年）

是日栄一、中華民国画家代表金紹城等ノ一行ヲ、飛鳥山邸ニ招キテ晩餐会ヲ催ス。

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓
　　民国画家代表一行招待ノ件
来ル六月十八日ヨリ上野ニ於テ開会ノ日華聯合絵画展覧会ニ出席ノ民国画家代表一行（別紙）ヲ、来ル六月二十一日（月）正午飛鳥山渋沢子爵邸ニ於テ、有志各位ニテ招待ノ事ニ相成候ニ就テハ、御繁用中乍ラ御繰合セ御来会被成下度御案内申上候　敬具
　　尚当日ハ日本側委員正木直彦氏・横山大観氏・川合玉堂氏・結城素明氏・小堀鞆音氏・下村観山氏・荒木十畝氏・小室翠雲氏・渡辺晨畝氏、並外務省関係官招待致置候間御含置願候
　　　大正十五年六月十四日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　追而御手数乍ラ別紙○欠クニテ折返シ御諾否御返事願候

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　六月二十一日民国画家招待午餐会出席各位（順序不同）
　来賓　金紹城先生
　　　　周肇祥先生
　　　　呉仲熊先生
　　　　周湘雲先生
　　　　李五湖先生
　　　　王小山先生
　　　　王季眉先生
　　　　袁琴南先生
　　　　恵孝同先生
　　　　金開藩先生
　　　　徐安先生
　　子爵岡部長景殿
　　　　小室翠雲殿
　　　　早速一孔殿
　　　　渡辺晨畝殿
　主人側
　　子爵渋沢栄一殿
　　　　児玉謙次殿
　　　　森広蔵殿
　　　　白仁武殿
　　　　白岩竜平殿
　　　　森弁治郎殿
 - 第39巻 p.366 -ページ画像 
　　　　角田隆郎殿
　　　　荻野元太郎殿
　　　　入江海平殿
　　　　油谷恭一殿
　　　　　　　　　　　以上
（謄写版）
　　　　　中華美術家一行名薄（順不同）
　　　画家　　　　金紹城（浙北）
　　　〃　　　　　周肇祥（養庵）
　　　〃　　　　　李上達（五湖、達之）
　　　〃　　　　　恵均（孝同）
　　　〃　　　　　王衡桂（小山）
　　　〃　　　　　王傅燾（季眉）
　　　〃　　　　　呉仲熊
　　　美術研究家　周湘雲
　　　〃　　　　　金開藩（濳厂）
　　　〃　　　　　徐安（懋斉）
　　　通訳　袁其〓
尚右一行中ノ代表的人物タル金紹城・周肇祥両氏以下諸氏ノ略歴左ノ如シ
金紹城氏　浙江呉興ノ人ニシテ、本年四十九才（ケンブリツヂ）大学理法科卒業、大理院判事、法律館協修官、民政部諮議官、万国監獄改良会議渡米代表、王内閣秘書長、北京商科大学学長、江南査弁使軍事外交官、内務部僉事、衆議院議員、国立美術学校長ニ歴任、現ニ蒙蔵院参事タリ、尚同氏ハ支那美術界一流ノ名士ニシテ、山水花鳥ヲ能クシ、大正七年以来日支画家ノ提携、両国聯合展覧会開催ノ主唱者トシテ尽瘁、今日ニ及ブ、現ニ中民画学研究会会長タリ（尚同氏ハ「チヤータード・バンク」（麦加利銀行）ノ支那側資本家代表ナリト）
周肇祥氏　浙江紹興ノ人、挙人出身ニシテ本年四十八才、四川巡警道台、奉天塩運使、警務局督弁兼墾屯長、湖南省長、葫〓島商埠督弁執政府秘書、参政院参政ニ歴任、現ニ葫〓島督弁タリ、尚同氏ハ支那美術界一流ノ名士ニシテ、木梅ヲ能クス、大正十年以来金紹城氏ト倶ニ、日支聯合展覧会ノ主唱者トシテ尽力、今日ニ及フ、現ニ中国画学研究会々長タリ
王衡桂氏　北京人ニシテ、本年四十二才、曾テ前清正紅旗副都統タリ挂冠後金紹城氏ノ門ニ入リ、専ラ絵画ヲ研究シ、山水花鳥ヲ能クス現ニ中華画学研究会員タリ
李上達氏　北京人ニシテ、本年四十一才、金紹城氏門下ノ逸足ニシテ山水花鳥ヲ能クス、現ニ内閣印鋳局主事ニシテ、又中華画学研究会員タリ
王傅燾氏　浙江呉興ノ人ニシテ、当年廿四才、南支画壇ノ大家王一亭氏ノ実子ニシテ、夙ニ厳君ニ師事シテ南画ヲ研究シ、出藍ノ誉アリ
 - 第39巻 p.367 -ページ画像 
山水花鳥人物行クトシテ可ナラザルナシ
恵孝同氏　北京人ニシ、本年廿五才、乾清門清宮侍衛タリ、金紹城氏ノ門下ニシテ、山水花鳥ヲ能クス、中華画学研究会員タリ
其他周湘雲氏（四十九才）ハ上海ノ富豪ニシテ、美術研究家ナリ、金開藩氏（三十三才）ハ金紹城ノ実子ニシテ、現ニ烟酒置参事上行走ニ任ジ、北京ニ於ケル美術研究者トシテ名アリ、徐安氏（廿八才）モ上海ニ於ケル青年美術通トシテ令名アリ、袁其〓氏（卅八才）ハ北京ニ於テ現ニ弁護士ヲ営ム、本邦語ヲ能クスルヲ以テ、這回周肇祥ニ乞ハレ通訳役トシテ来邦シタルモノナリ

招客書類（二）　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　大正十五年六月廿一日午後五時、於飛鳥山邸
　　　民国画家代表一行招待会

　　　　　　画家
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（太丸ハ朱書）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○金紹城
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○周肇祥
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○李上達
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○恵均
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○王衡桂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○王傅燾
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○呉仲熊
　　　　　　美術研究家
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○袁琴南
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○周湘雲
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○金開蕃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○徐安
　　　　　　陪賓　　　　　　　外務省側
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○岡部書記官
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○速水一孔
　　　　　　日本側委員
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正木直彦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　横山大観
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川合玉堂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小堀鞆音
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　下村観山
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　荒木十畝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○小室翠雲
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　結城素明
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○渡辺晨畝
　　　　　　協会側
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○渋沢子爵
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○児玉謙次
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○森広蔵
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○白仁武
 - 第39巻 p.368 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　安川雄之助
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○白岩竜平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○森弁治郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○角田隆郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○荻野元太郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奥村政雄
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○入江海平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○油谷恭一
　　　○丸印ハ出席者ニシテ他ハ欠席セルナルベシ。

竜門雑誌　第四五四号・第一〇六頁大正十五年七月
　　　　青淵先生動静大要
　　　　　　六月中
廿一日　民国画伯金紹城氏一行招待会（曖依村荘）