デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正13年10月3日（1924年）

是ヨリ先、在アメリカ合衆国ノ堀越善重郎ヨリ増
 - 第40巻 p.551 -ページ画像 
田明六宛ニ、同国ハーヴァード大学総長チャールズ・ダブリュー・エリオットノ満九十歳祝賀会ノ件ニ関スル書類ヲ発送ス。是日栄一、賀状ヲ送ル。

（堀越善重郎）書翰　　増田明六宛大正一三年四月八日　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（朱書）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　一三、五、二入手明六
拝啓、其後愈々御健勝可被為渡候段慶賀之至に奉存候
扨曾て日本に来遊相成候ハーバード大学総長エリオツト博士、本年満九十歳に達せられ候に付、全国の同校出身者頃日博士之為九十年祝賀会を催し、且是を期として同校之基礎を益々安泰ならしめむか為め、参千万弗の資金募集を行ひ、御承知のラモント氏其主唱者の一人なる由に聞及候
子爵とは御眤近の間柄にて被在候処、此度最近の写真を一葉子爵に呈して近状を御覧に入れ度き趣にて御送附相成候間、別封にて御伝送申上候、写真を御落掌被遊候はは直ちに博士に宛て祝賀の意並に写真御入手の旨を御通信被下度、御手数之段乍恐縮玆に御依頼申上候、子爵常に御繁忙の御身故或は御失念の事も有之可きを惧れ候に付、貴下及小畑氏に於て可然御配慮奉願上候
先は右申上度如斯に御座候　敬具
　　大正十三年四月八日　　　　　　　　　　堀越善重郎
　　　　増田明六様
　二伸、博士の名宛は Cambridge, Mass.に宜敷き事と存候へ共、為念次に住所を記し申候 Dr. Charles W. Eliot, 17 Fresh Pond Road, Cambridge, Mass.
　　○エリオットニ就イテハ、本資料第三十五巻所収「ニュー・ヨーク日本協会協賛会」明治四十五年六月二十九日ノ条参照。

渋沢栄一書翰控　　チャールズ・ダブリュー・エリオット宛一九二四年一〇月三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　案　　　　　　　　　　　　　　　　　　明六
　マサチユーセツツ州ケンブリツヂ市
　　チヤールス・エリオツト博士殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京
　　　大正十三年九月　日　　　　　　　　　　渋沢栄一
拝啓、益御清適奉賀候、然ば貴台には過般第九十回の御誕辰を迎へられ候由、誠に御芽出度慶賀此事に御座候、小生も本年八十五回の誕辰を重ね候も、幸に健全罷在候間、貴台にあやかりて更に五回の誕辰を迎度と祈念罷在候、貴台の多年薫陶せられたる幾多の門下生は、貴台の此九十回の御誕辰を祝する為め盛大なる祝賀会を開催せられ候由、師弟の美はしき御情誼誠に感服の至りに存候、其節御撮影相成候記念の御写真一葉、堀越善重郎氏を通じて御恵与被下難有拝受致、早速書斎に掲げて朝夕温容に接し高風を仰き居候
右乍延引御祝旁々御礼まで得貴意度如此御座候　敬具
　　○右英文書翰ハ一九二四年十月三日付ニテ発送セラレタリ。