公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第41巻 p.260-269(DK410067k) ページ画像
大正11年11月5日(1922年)
是ヨリ先、是年春以来栄一、穂積陳重ニ各種ノ論語蒐集ヲ委嘱シ、是日、日本工業倶楽部ニ於テ開催セラレタル竜門社秋季総集会並ニ孔夫子追遠記念講演会ニ、右コレクションヲ展観ス。
竜門雑誌 第四一四号・第六〇―六二頁大正一一年一一月 ○本社秋季総集会並孔夫子追遠記念講演会(DK410067k-0001)
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竜門雑誌 第四一四号・第六〇―六二頁大正一一年一一月
○本社秋季総集会並孔夫子追遠記念講演会
本社第六十八回秋季総集会は、十一月五日午前九時三十分より日本工業倶楽部に於て開催せられたるが、本年は青淵先生の常に尊崇せらるゝ孔夫子卒後二千四百年に相当するより、追遠記念講演会を兼ね催し、尚ほ穂積男爵が青淵先生の嘱に依りて現今までに蒐集せられたる二百二十八部の各種論語を分類整理して会場に陳列し、来会者一同に「孔子略伝及論語編纂の由来」及「青淵論語文庫蒐集目録」及大倉男爵より寄送せられたる孔教に対する所感を頒布したり、会は阪谷評議員会長の開会の辞に始まり次で文学博士服部宇之吉君の「知天命説」及び青淵先生の先憂後楽に付ての講演あり、最後に穂積男爵の論語蒐集に関する説明ありて会を閉ぢ、午後一時食堂を開き、大倉男爵の発声にて青淵先生の万才を三唱し、更に朝鮮中枢院参議魚允迪君の所感談等ありて散会せるは午後二時半なりき。因に当日会場内に掲揚せる探幽・守景・椿山等四幅の孔夫子像は大倉男爵及び青淵先生・穂積男爵等珍蔵の幅物にして、特に本会に貸与せられたるものなり。
来会者諸君左の如し
△来賓
青淵先生
服部宇之吉君 男爵大倉喜八郎君
△会員
石井健吾君 磯野敬君○以下三百八十三名氏名略ス
尚ほ当日左記会員諸君より本会に対し寄附金を辱ふしたり。玆に芳名を録して其御厚誼を謝す
一金参拾円也 佐々木勇之助殿
一金弐拾円也 男爵 積穂陳重殿
一金弐拾円也 男爵 阪谷芳郎殿
一金弐拾円也 神田鐳蔵殿
一金拾円也 浅野総一郎殿
竜門雑誌 第四一四号・第三三―三六頁大正一一年一一月 ○本社秋季総集会に於て 阪谷男爵(DK410067k-0002)
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竜門雑誌 第四一四号・第三三―三六頁大正一一年一一月
○本社秋季総集会に於て
阪谷男爵
本篇は十一月五日本社秋季総集会並孔夫子二千四百年追遠記念講演
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会に於ける阪谷評議員会長の開会辞なりとす。(編者識)
唯今より本社の秋季総会を開会致します。今日の順序は服部博士に一場の御演説を願ひまして、其後で青淵先生の御演説がございます。それから穂積男爵より此処に陳列になつて居ります論語の事に就て御話がございます。講演が終りましたら二階の食堂へ御集りを願ひまして午餐を共に致しまして、二時半頃までには大概終了を致す筈でございます。
今日の総会に特に孔子祭典を催すことに致しましたのは、既に御承知あらせられます通り、今年は孔子二千四百年の記念に当りますので斯文会を始め色々の学会に於て、日本全国各地で同様の催しがございます。而して丁度恰も学制頒布の五十年記念に当りまして、教育上・道徳上最も関係深き孔夫子の二千四百年記念と学制頒布の五十年とが丁度同時に行はれると云ふことは、甚だ因縁の深い事のやうに考へられます。それ故に本会は、殊に本会の先生と仰ぎて居る青淵翁が最も此論語に敬意を払つて居られまして、又竜門社の主義綱領も其論語に基いて出来て居る訳でございます。又竜門社の諸君其他の方々より青淵先生の八十の御祝として文庫を御寄贈になり、此機会に寧ろ之を論語文庫とするが宜からうと云ふやうな次第であります。斯の如く既に論語が多数集り、又今後集りつゝあるのであります。竜門社が今日の総会に孔子の祭典を催し、孔子に対して敬意を払ふと云ふことは道理ある事でございます。孔子の事に就ては却て本国の支那では孔子を排斥すると云ふやうな状況があると云ふことは、唯今御手許に差上げてあります大倉男爵の演説の筆記にも其事が見えて居ります。今日では支那の孔子様が日本に寧ろ養子にお出になつて、却て日本で可愛がられてお出になると云ふやうな訳であります。又昨日も亜米利加から来たクリステンセンと云ふ人――先達大統領の選挙の時には大統領の候補に立つた一人であるさうでありますが、其人に面会致しました所が近頃では欧米でも色々の事柄に孔子の話を引用する事が段々多くなつて居ると云ふ事であります。既に青淵先生が翻訳して友人に御配布になりましたカーネギーの伝記の中にも、カーネギーと云ふ人が屡々論語を引いて居る事柄が出て居りますが、独りカーネギーに止まらず、他の場合にも論語を引用致す事が多くなりつゝありますさうで、丁度耶蘇教を信仰する人が聖書を引いて居るやうに孔子の言葉を用ゐる。丁度青淵先生が論語の言葉を用ゆる如くになりつゝあると云ふことであります。現に此席に陳列してあります論語の中にも、英文の論語もあれば仏文の論語もあり、独逸文の論語もあり、其他の国語に訳された論語もあるのでありまして、それも唯今穂積男爵の御尽力で頻に集めつゝあるのであります。固より二千四百年前に言はれた事が、二千四百年後の今日に一々其儘適用の出来ると云ふことは、是は時代の変遷上為し能はぬ事であります。如何に聖人君子の言はれた事でも、其時代に応じて其事を能く咀嚼して、其事情に適応するやうに之を考へなければならぬと云ふことは固よりである。併ながら孔子は人の道を説かれたのでありますから、人間として動物と異なる即ち霊魂を有する人間として履むべき道と云ふものは、さう変るものではない。唯周
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囲の事情を取除けて、人間の道のみを抽象して考へれば、さう変るものではない。それ故に論語は之を味ふ人が賢明の考を以て之を味ふと津々として意味が深い。支那人が孔子を排斥すると云ふのは、之を味ふ力が支那の人になくなつて来た。日本の人が孔子を尊崇するのは、孔子の言はれたことを味ふ力が益々日本人の腹の中に出来て来たのである。孔子は耶蘇とか釈迦とか云ふ人のやうに不思議を説かぬ人で、殺されて天に昇つたとか、或は生れた時に不思議な現象が起つたとか云ふやうな、人間に想像の付かぬ耶蘇とかマホメツトとか云ふやうな精神は混つて居らぬ。孔子は普通の人間として生れ、普通の人間として死なれて、少しも吾々と変る所はない。併ながら其説かれた事は吾吾の常に守らねばならぬ事である。論語の第一にある有朋自遠方来亦不楽哉と云ふ事は二千四百年の昔も今日も一向異なる所はない。其他に於きまして多少政治の状態とか何とか云ふやうな事情の変つた場合には、孔子の言はれた事が稍適用の出来ぬとこがありますけれども、人道として説かれた事に就ては少しも異つた所はない。詰り日本の文化が孔子を咀嚼することの出来るのは日本の文化の進んだのである。支那が孔子を排斥すると云ふのは、支那の文化が劣つたのである。即ち孔子を排斥するのは孔子を咀嚼するだけの文化になり得なくなつた斯う云ふ訳であらうと思ひます。日本の中にも孔子に対して反対する人もありますけれども、是は能く孔子の本を読まず孔子を理解することの出来ぬ人が反対するのであります。孔子を能く咀嚼して孔子の人道を能く呑込んだ人は即ち青淵先生でありまして、青淵先生は如何に其商業に、教育に、政治に、社会事業に孔子の道を奉じて活動せられたかと云ふことは、何より活きたる証拠であります、青淵先生だけの仕事が出来、青淵先生だけの徳を施すことが出来たならば、人間として最早充分に近いと云うても宜いだらうと思ひます。而して青淵先生がかくの如くに孔子を尊崇せらるゝと云ふことは、即ち孔子を排斥する支那人若くは其他の人の考が、如何に孔子を知らぬのであるかと云ふことを証明して余りがあるだらうと思ひます。私は今日此竜門社総会に於て、孔子の記念会を開くと云ふ趣旨を玆に陳述致しまして、開会の辞に代へたのであります。是より服部博士の御講演があります。
どうぞ御謹聴を願つて置きます。(拍手)
青淵論語文庫蒐集目録 第一―二〇(大正一一年刊)(DK410067k-0003)
第41巻 p.262-268 ページ画像
青淵論語文庫蒐集目録 第一―二〇(大正一一年刊)
(表紙裏)
本目録は青淵先生の嘱に依り穂積男爵が現今までに蒐集せられたる各種論語を整理分類せるものなり (竜門社)
青淵論語文庫蒐集目録(震災以前旧目録)
一 訓点本論語
冊数
一 道春点論語 四
二 天保版道春点論語 林道春訓点 四
三 後藤点論語 大本 四
四 後藤点論語 後藤己男輔標註訓点 中本 二
五 後藤点論語 佐土原学習館原版 明治十五年袖珍本 二
六 兼山点論語正文 野中兼山訓点 一
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七 加賀藩明倫堂訓点論語集註 天保十五年版 四書中 四
八 井上揆訓点論語 明治十五年版 四
二 集註本論語
九 論語 写本(応仁頃写本との鑑定あり) 五
一〇 論語大全 汪汾四書大全中 二〇
一一 論語集解 伊藤東涯考訂 寛政二年版 二
一二 論語集註 中本 二
一三 論語集註 嘉永七年版 横本 一
一四 鼈頭論語集註 四
一五 小松版論語集註 四
一六 小松版論語集註 四書中 一
一七 論語集註弁正 田中頤大壮著 文政二年版 二
一八 新訳註解朱熹集註論語 伯井秋梧著 一
一九 何氏校本論語 四書中 四
二〇 新点論語集註 四
二一 補註論語集註 簡野道明著 一
二二 論語纂註 米良東嶠著 明治三十三年版 二
二三 活版論語集註 観文堂 大正七年版 一
二四 纂標論語集註 滝川亀太郎編 大正十年版 一
三 異版本論語
二五 正平版論語 無跋本 五
二六 天文版論語 天文二年版 二
二七 天文版論語 堺南宗寺版(穂積銀子氏寄贈) 一
二八 古版論語 仮名附(慶長元和年間版との鑑定あり) 一
二九 古版論語 慶長木活版復刻整版 三
三〇 常憲院御版論語 林家改正点 元禄四年版 一〇
三一 常憲院御版論語 林家改正点 元禄四年版小本四書中 一〇
三二 摸刻古本論語集解 藤堂版 一
三三 摸刻古本論語集解 一巻
三四 論語序説私攻 伊藤鳳山著 倣宋活字本 文久元年版 一
三五 広徳館論語 富山広徳館校正 慶応二年版 四書中 四
三六 論語古訓正 木活本 一
三七 白文論語 一
三八 朝鮮本論語 銅活版本 二
三九 片仮名附論語 安政版 二
四〇 致道館木版論語 一
四一 致道館活字論語 一
四 儒家解説本論語
四二 語孟字義 伊藤仁斎 二
四三 論語古義 伊藤仁斎 正徳二年版 五
四四 論語古義 東涯説書入本 四
四五 校刊論語古義 伊藤仁斎著 佐藤正範校 明治四十三年版 一
四六 論語集解 伊藤東涯考訂 享保十七年版 二
四七 論語徴 物茂卿著 水野太泉書入本 一〇
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四八 論語徴集覧 松平頼寛撰 服元喬閲 宝暦十年版 二〇
四九 論語徴集覧 松平頼寛撰 服元喬閲 文化九年版 二〇
五〇 論語徴解 徴、 物徂徠 解、 中根紀 二
五一 論語古訓 太宰春台 五
五二 論語古訓外伝 太宰春台 一〇
五三 論語集註広義 室鳩巣 写本 二
五四 錦城経説 論語 太田錦城講述 四
五五 論語大疏 太田錦城 写本 六
五六 論語億 原田東岳著 安永三年版 東岳先生筆疇中 二
五七 冢註論語 冢田多門大峯述 文政三年版 五
五八 論語群疑考 冢田大峯著 文政五年版 一〇
五九 論語語由 亀井南冥著 明治十三年版 一〇
六〇 論語語由 亀井南冥著 大正八年 渋沢青淵出版 一〇
六一 語由述志 亀井昭陽著 大正十一年 渋沢青淵出版 九
六二 論語欄外書 佐藤一斎稿本 二
六三 論語集解標記 三善彦明 (巌垣竜渓) 二
六四 師善録 論語説 太田君明(方斎) 三
六五 論語談 小南傈斎 四書談中 一
六六 論語補解 山本惟孝(楽所) 四
六七 論語総論 藤田逸世逸学 男英茂述 二
六八 論語大意 藤田逸世逸学 男英茂述 一
六九 論語観意 藤田逸世逸学 男英茂述 二
七〇 論語雑説 藤田逸世逸学 男英茂述 一
七一 訂正頭註縮臨古本論語集解 根本通明訂正頭註 天保八年版 二
七二 論語訓蒙輯疏 会津安褧著 嘉永元年版 一〇
七三 論語集説 安井息軒 明治五年版 六
七四 論語逢原 中井履軒著 明治四十五年版 四
七五 論語稽求篇 毛奇齢著 写本 一
七六 論語集解義疏 集解、魏何晏義疏、梁皇侃日本根遜志校 五
七七 論語輯釈通義大成 輯釈、倪士毅 道義、王逢 一〇
七八 論語集註鈔説 仲敬甫 五
七九 論語滙参 全壇王罕 一九
八〇 論語正解 呉蓀右 四書正解中 一〇
八一 論語翼 安如雲 四書翼中 五
八二 康熙欽定論語解義 清溂沙里 四書解義中 六
八三 論語註疏解経 邢昺疏 明治二年版 一〇
八四 論語集益 清、于惺介著 日、林信校点 明治十八年版 二
八五 欽定論語解義 明治四十三年版 小本 一
八六 論語類編心解 谷鉄臣 四
八七 論語管見 亀谷省軒著 一
八八 訓蒙論語輯疏 安部井褧(章卿)明治四年版 一〇
八九 縮臨古本論語集解 石川之褧 二
九〇 論語彙纂 藤沢南岳著 明治二十五年版 三
九一 論語略解 重田蘭渓著 明治二十年版 四
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九二 論語段節 渥類長撰 明治二十一年版 一
九三 標註論語 山田喜之助著 明治四十二年版 一
九四 論語解 松本豊多述 明治四十三年版 一
九五 論語詳解 川岸華岳著 大正二年版 一
九六 論語 久保天随校訂 漢文叢書中 一
九七 新釈論語 久保天随著 大正三年版 二
九八 訳註論語 山田草人訳 大正五年版 一
九九 論語新註 中村徳五郎著 大正七年版 一
一〇〇 論語診候 関貢秀著 一
一〇一 論語参解 鈴木朖 五
一〇二 新編論語 青木晦蔵編 一
一〇三 論語補註 山本章夫 二
一〇四 標註論語 深井鑑一郎著 一
一〇五 論語抄 六
一〇六 新撰論語 一
一〇七 論語弁書 二
一〇八 仮名附論語 中本 一
五 講義本論語
一〇九 浅見子論語講義筆記 門人筆記 三
一一〇 論語便講 佐藤直方 四書便講中 三
一一一 論語講義 田中頤大壮著 文政二年版 四
一一二 論語講義 萩原西疇著 一
一一三 論語講義 根本通明 一
一一四 論語講義 根本通明述 大正四年版 一
一一五 縮刷論語講義 根本通明述 一
一一六 論語講義 三島毅述 一
一一七 論語講義 小永井小舟述 明治二十三年版 四
一一八 論語講義 細川潤次郎 南摩綱記 一
一一九 細川南摩論語講義 細川潤次郎 南摩綱記 三六
一二〇 論語講義 写本 二
一二一 論語講義本 写本 九
一二二 陸稼書論語松陽講義 四
一二三 論語解義 簡野道明著 大正十一年版 一
一二四 論語解義 簡野道明著 縮刷 一
一二五 新訳論語 大町桂月訳解 一
一二六 論語新註 中村徳五郎著 一
一二七 論語講義 白河鯉洋述 一
一二八 論語俗講 粟田口直道述 一
一二九 論語公義 大内董平著 四書講義中 二
一三〇 系統的論語講話 柴原砂次郎著 一
一三一 系統的論語講話 柴原砂次郎著 大正二年版 一
一三二 伊沢論語講義 一二
一三三 論語講話 大江文城著 一
一三四 論語講義 川岸華岳著 一
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一三五 論語講義 花輪時之輔講述 二
六 俗解本論語
一三六 論語集註俚諺鈔 毛利貞斎 二〇
一三七 論語正文大綱俚諺鈔 毛利貞斎 四書俚諺鈔中 三
一三八 論語国字解 漢籍国字解中 一
一三九 論語経典余師 渓世尊 四
一四〇 論語余師 四
一四一 論語国字弁 宇成之 一
一四二 論語国字解 宇成之著 明治四十三年版 小本 一
一四三 論語集解国字弁 小林東山 五
一四四 通俗論語 西脇玉峯著 五
一四五 口訳論語詳解 野中元三郎著 一
一四六 仮名附論語 後藤省三訓点 一
一四七 論語示蒙句解 仲欽 五
七 翻訳本論語
一四八 Noel, Livre Classique de la Chine. (Livre des Sentences)
仏訳論語「ノエル」訳 一七八五年天明五年版(姉崎正治氏寄贈) 二
一四九 Confucian Analects, by James Legge, 1861.
英訳論語「ジエームス・レツク」訳 一八六一年版 一
一五〇 大和言葉論語訓点《ミチノモノガダリヨミアカシ》 丸山作楽稿本
二
一五一 大和言葉論語釈義《ミチノモノガタリトキアカシ》 丸山作楽稿本
二
一五一 Confucian Analects, by James Legge.
漢英対訳論語「レツグ」訳依田喜一郎訓点 明治四十一年版 二
一五三 Lung Yükung Futse Gespracho, Von Richard Wilhelm.
独訳論語註解「リチヤード・ウヰルヘルム」著 一九一〇年版
(穂積重遠氏寄贈) 一
一五四 Rongo in English, Japanese & Chinese.
英漢和対照ポケツト論語 山野政太郎編 一
一五五 Rongo, confucian Analects in English, Japanese & Chinese.
ポケツト英漢和論語 山野政太郎編 大正二年版 一
一五六 漢英対照論語講義 渋沢青淵序 入田末男著 大正三年版 二
八 擬本論語
一五七 和論語 一〇
一五八 和論語抄 勝田充撰 嘉永三年版 一
一五九 校註和論語 千勝義重著 明治四十三年版 一
一六〇 述斎論語 趨庭所聞 林耀録 大正十年版 一
一六一 女論語 宋若昭女 女四書中 一
一六二 女論語和解 若江私蘭 女四書和解中 一
一六三 新論語 成功雑誌社出版 明治四十三年版 一
一六四 新論語 縮刷 一
一六五 修養論語 梶天真著 一
九 唐本論語
一六六 論語註疏解経 何晏集解 邢昺疏 光緒甲辰版 二
一六七 論語古注集箋 潘維城著 光緒七年版 六
一六八 論語後案 黄式三著 光緒九年版 一〇
一六九 朱子論語集註詰攷 潘衍桐輯 光緒十七年版 一
一七〇 論語集註 四
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一七一 論語合講 太未翁復克夫編 四書合議中 二
一七二 論語 劉法曾校 民国三年版 四書中 二
一七三 論語案 楊瓊叔玉著 民国四年版 二
一七四 論語註解弁訂 臨桂劉名誉嘉樹編撰 民国七年版 一〇
一七五 論語近指 孫奇逢纂 康熙元年版(宇都宮五郎氏寄贈) 二
一七六 論語匯参 王歩青輯 乾隆十年版(同上) 一三
一七七 論語引解 宝安菉岸鄧桂瀾雉千纂輯 乾隆三十三年版(同上) 一〇
一七八 論語題鏡 苕上汪鯉翔霊川纂述 嘉慶七年版(同上) 四
一七九 論語解疑 余黄梅峯泉一著 嘉慶十三年版(同上) 四
一八〇 論語字詰 段諤延訒庵著 道光五年版(同上) 六
一八一 論語稽求篇 蕭山毛検討奇齢著 道光九年版(同上) 一
一八二 論語考異 仁和翟教授著 道光九年版(同上) 四
一八三 論語恒解 双江劉元著 成豊十年版(同上) 四
一八四 論語味根録 同治十年版(同上) 六
一八五 論語衍義 益陽姚紹崇桂軒著 同治十三年版(同上) 八
一八六 正嘉論語 光緒二年版(同上) 一
一八七 隆万論語 光緒二年版(同上) 一
一八八 欽定論語論文 光緒二年版(同上) 三
一八九 啓禎論語 光緒二年版(同上) 二
一九〇 論語反身録 二曲先生著 光緒十一年版(同上) 二
一九一 論語参註 崔暕著 光緒十七年版(同上) 八
一九二 論語撮言 光緒十八年版(同上) 九
一九三 論語異同商 新化黄鶴学 光緒二十年版(同上) 六
一九四 論語遵註 太未翁復克夫編次 光緒二十年版(同上) 二
一九五 絵図論語速成新体読本 宣統元年版(同上) 七
一九六 論語備旨 林退庵著 民国癸丑年版(同上) 二
一九七 論語約旨 荊渓任啓運釣台著(同上) 四
一〇 雑
一九八 古篆論語 佚山禅師著 明和四年版 一一
一九九 論語論文 進斎有井半平著 明治十七年版 四
二〇〇 論語類編 松田東編 明治三十一年版 一
二〇一 ダイヤモンド論語 矢野恒太編 明治四十二年版(編者寄贈) 一
二〇二 ハイカラ通俗論語 坪内孝著 明治四十三年版 一
二〇三 精神修養論語の論語附論語格言解 的場鉎之助著 明治四十五年版 一
二〇四 ポツケツト活用論語通解 渡辺克己著 大正元年版 一
二〇五 点註論語大意 新楽金橘撰 大正二年版 一
二〇六 論語と算盤 男爵渋沢栄一述 大正五年版 一
二〇七 論語年譜 林泰輔編 大正五年版 二
二〇八 使用人論語 稲垣信濃著 大正六年版 一
二〇九 論語摘略 棚橋一郎監修 一
二一〇 論語鈔 簡野道明 一
二一一 分類論語 細田謙蔵編 一
二一二 論孟鈔本 児島献吉郎編 一
二一三 論語鈔本 岡田正之 一
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二一四 論語解義 文検受験用 教育学術会編著 一
二一五 論語実践哲学 安井小太郎講演 一
二一六 時代思想より観たる 論語義解 倉田熱血著 大正四年版 一
二一七 日々の論語 英文鼈頭 大野佐吉 井上宗助著 一
二一八 論孟新抄 漢文読本 一
二一九 ポケツト論語 矢野恒太箸 一
二二〇 ポケツト論語新訳 小宮水心述 一
二二一 ポケツト論語註釈 奥村恒次郎註訳 一
二二二 ノート論語 重田蘭渓著 一
二二三 手帖論語 東洋倫理考究会編 一
二二四 論語講習録 川口長孺自筆稿本 二
二二五 論語註釈、氷禄写本 藤井貞幹旧蔵 五
二二六 分類論語 細田謙蔵 謄写版 一
二二七 曹大家女論語図会 一
二二八 和文女論語 一
以上
(増田明六)日誌 大正一一年(DK410067k-0004)
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(増田明六)日誌 大正一一年 (増田正純氏所蔵)
十一月五日 日 晴
午前九時前二十分日本工業倶楽部《*》ニ赴く、今日ハ竜門社第六十八回秋季総集会を同処ニ開催するニ付キ其準備之為めである、本年ハ孔子歿後二千四百年ニ相当するので、斯文会でハ去月廿九日祭典並記念講演会を開催したのであるが、竜門社の推戴する青淵は日本の孔子とも云ふべき孔子の崇拝家で、其言行は論語一篇を信条として一生を貫かれて居る故ニ、同社も此総集会を機会ニ孔子記念講演会を開催する事としたのである、特ニ穂積男爵が青淵先生の嘱を受けて今春来蒐集せられたる論語弐百三十部も陳列して来観ニ供した、来会者弐百五拾名、講演会ニ於てハ評議員会長阪谷男爵の開会の辞、文学博士服部宇之吉氏の知天命説、青淵先生の先憂後楽説があつた、最後に穂積男爵の蒐集論語ニ付ての説明があり、夫れより食堂ニ移リ午餐を共にしたるが阪谷男爵より青淵先生の為に乾盃、又大倉男爵の竜門社万歳の三唱ありて午後二時散会○下略
*欄外記事
[竜門社総集会
実験論語処世談 渋沢栄一著 第八四七―八四八頁 大正一一年一二月刊(DK410067k-0005)
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実験論語処世談 渋沢栄一著 第八四七―八四八頁大正一一年一二月刊
○偉大なる孔子の遺訓
○論語の蒐集約一千種類
之れはホンの一例に過ぎないが、論語の遺訓は、其の本元である支那に於ては素よりのこと、直伝された日本に於ては諸君の知らるゝ如く広く伝へられ、更に欧米に至るまで広汎に行き渡つて居る。
穂積陳重男は私の為めに、古来刊行された各種類の論語を蒐集されて居るが、前にも述べた如く論語の世に公にされたものは頗る多く、支那版・朝鮮版のみにても数百種に上り、日本に於けるものゝみでも
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枚挙に遑ない程である、同じ支那版でも、古論語・斉論語・魯論語の三種類があり、今日行はれて居るのは、多く魯論語であるが、時代によつて宋版とか元版とかいふ風になつて居り、古注とか集註とか、義説・義証・義註・集解・演義・衍言・衍説・音義・訓釈・啓義・諺解釈義など種類が頗る多い。日本に於ける古本にも論語解釈とか、論語古義とか、論語分類とか、或は論語要義・集成・集説・時習・鈔説・精義・通解など多種類あり、近時一般に行はるゝダイヤモンド論語とか、ポケツト論語、ノート論語、或は英漢和対照ポケツト論語・リツトル通俗論語などといふのもある。此の外に世界の各国語に翻訳され基督教信者さへ之れを読んで居る処を見ると、孔子の遺訓が如何に全世界に広く伝はつてゐるか殆んど図り知れない。之れ孔子の教へが尊重すべき価値あるものである事を知るに足る一の証拠である。穂積男の話によると、今日まで既に蒐集したものが殆んど一千種類に近いといふ事であるが、全く驚く可き多種類と言はなければならぬ。
又孔夫子に対しては、支那の歴代の国君が非常に尊敬を払つて居り到る処に孔子廟を見ざるなく、確か唐の時代と記憶するが、孔子に大成至聖文宣王といふ追称を贈つて之を崇め、一層孔子に対する尊敬の念を高めた国君も居る。かう考へると、孔子は何が故に斯くまで尊崇されるのであるか、寧ろ不審に思ふ位である。
渋沢栄一 日記 大正一二年(DK410067k-0006)
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渋沢栄一日記 大正一二年 (渋沢子爵家所蔵)
二月二日 快晴 軽寒
○上略 朝鮮在住ノ宇都宮氏ヨリ論語ノ古本ヲ寄贈セラレタルニ謝スル為メ、三島中洲翁ノ余カ古稀ヲ祝セル論語算盤説ヲ書シテ以テ之ニ答礼スル為メ今日絹本ニ浄書ス○下略
〔参考〕竜門雑誌 第四二〇号・第六一頁大正一二年五月 ○孔子祭典(DK410067k-0007)
第41巻 p.269 ページ画像
竜門雑誌 第四二〇号・第六一頁大正一二年五月
○孔子祭典 青淵先生の副会長たる斯文会にては、四月二十三日午前九時より本郷湯島聖堂に於て孔子祭典を執行したるが、当日青淵先生は微恙の為め臨席せられざりき。
因に同日お茶の水女子高等師範学校内に、論語展覧会を開きて一般の観覧に供したるが、青淵先生の蒐集せられつゝある各種論語二百五十余部も同会の懇請に依りて陳列せしめたる由