デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
2節 神社
9款 其他 2. 藤樹神社創立協賛会
■綱文

第41巻 p.650-655(DK410140k) ページ画像

大正10年1月20日(1921年)

是日栄一、藤樹神社創立協賛会顧問タルコトヲ承諾シ、且、金千円ヲ寄付ス。次イデ寄付金募集其他ヲ援助ス。十一年五月二十日、自書ノ扁額ヲ寄進ス。顧問在任歿年ニ及ブ。


■資料

渋沢栄一 日記 大正一〇年(DK410140k-0001)
第41巻 p.650 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正一〇年          (渋沢子爵家所蔵)
一月二十日 曇 寒
○上略 佐野高島郡長来リ、中井藤樹先生《(中江藤樹)》ノ神社奉祀ノ事ニ付依頼アリ
○下略


藤樹神社回答(DK410140k-0002)
第41巻 p.650 ページ画像

藤樹神社回答               (財団法人竜門社所蔵)
一、当社創立に際し創立協賛会を通じて金壱千円寄附相成候(大正十一年)
二、大正十一年五月二十日
   「聖凡一性」の書の扁額寄附(子爵書)
   ○右ハ当資料編纂所ノ問合セニ対シテ昭和十二年九月十八日付回答セラレタルモノナリ。


佐野真次郎回答(DK410140k-0003)
第41巻 p.650-652 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

(佐野真次郎)書翰 渋沢栄一宛昭和二年一〇月二〇日(DK410140k-0004)
第41巻 p.652-653 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

竜門雑誌 第五一九号・第一五九頁昭和六年一二月 陽明会催青淵先生追悼会(DK410140k-0005)
第41巻 p.653 ページ画像

竜門雑誌 第五一九号・第一五九頁昭和六年一二月
    陽明会催青淵先生追悼会
       (十二月十四日午後一時より渋沢事務所に於て)
○上略 柴田甚五郎氏(東洋大学教授)立ちて
『先生は前年藤樹先生の神社奉祀、書院の保存、伝記編纂の為に精神的にも物質的にも多大の援助を与へられたり。藤樹先生の学徳発揮の為に東京に講演会を開きたる時、先生は多忙の為自ら出席難きも、自動車を提供すべければ、自由に使用せよといはれたり。先生は「藤樹先生は穏健にして実行を貴ばれたり、これ学ぶべき点なり」といはれたり。』
○下略



〔参考〕藤樹神社創立協賛会趣意書並会則(DK410140k-0006)
第41巻 p.653-655 ページ画像

藤樹神社創立協賛会趣意書並会則    (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    藤樹神社創立協賛会趣意書
贈正四位中江藤樹先生ノ篤学至誠実践躬行、以テ民衆ヲ徳化シタル功績ノ偉大ナル、素ヨリ言ヲ須タサル所ナリ、然ルニ追慕景仰ノ誠ヲ致スノ点ニ至テハ、単ニ高島郡青柳村藤樹書院ニ於ル年一回ノ儒祭ニ過キス、全郡ノ痛ク之ヲ遺憾トシ、胥謀リ、先生ニ縁故最モ深キ同村大字上小川ニ適当ノ地ヲトシ、先生ヲ祭神トシテ藤樹神社ヲ創建シ、先生ノ霊ヲシテ公祀ノ班ニ列セシメ、以テ先生ノ遺徳ヲ千載ニ崇フシ、民徳ノ磨礪、文教ノ興隆ニ資センコトヲ期シ、客年十二月中旨ヲ具シテ其筋ニ申請シ、已ニ其許可ヲ受ケタリ、然レトモ其経営ニ要スル資金ハ、郷党ノ力ノ能ク独リ任スル所ニアラス、於玆カ協賛金ヲ創設シ汎ク江湖ノ賛同ヲ得テ其志望ヲ貫達セシメントス、事業ノ項目其他別記ノ如シ、庶冀クハ大方ノ有志諸彦、奮テ協翼賛助センコトヲト云爾
                藤樹神社創立協賛会
  大正九年七月                発起人

    藤樹神社創立協賛会会則
第一条 本会ハ藤樹神社創立協賛会ト称シ、事務所ヲ滋賀県高島郡役所内ニ置ク
第二条 本会ハ藤樹先生誕生ノ地タル滋賀県高島郡青柳村大字上小川ニ地ヲ相シ、藤樹神社ヲ創立シ、之ニ付帯スル事業ヲ経営シ、其ノ維持方法ノ確立ヲ図ルヲ以テ目的トス
   第一期
  一、藤樹神社創立
 - 第41巻 p.654 -ページ画像 
   第二期
  一、徳本堂建築
  二、藤樹文庫建設
  三、藤樹全集出版
  四、基本財産造成
第四条 本会々員ヲ左ノ三種トス
  一、名誉会員
   金壱千円以上ノ出金者、又ハ本会ノ為メ功労顕著ナリト認メ評議員会ノ議決ニ依リ推薦シタル者
  二、特別会員
   金百円以上ノ出金者、又ハ本会ノ為メ功労アリト認メ評議員会ノ議決ニ依リ推薦シタル者
  三、通常会員
   金拾円以上ノ出金者
第五条 金拾円未満ノ出金者ハ之ヲ賛助員トス
第六条 特別ノ建造物及木石等ヲ寄附セントスルモノアルトキハ、審査ノ上之ヲ受領ス
第七条 第四条・第五条ノ出金者、及第六条ノ寄附者ハ、藤樹神社崇敬者トシテ、其ノ芳名録ハ永ク社務所ニ保存ス
第八条 本会ニ顧問ヲ置キ、碩徳ノ大家ヲ推薦ス
第九条 本会ニ会長・副会長・理事長各一名、理事・評議員・世話係書記各若干名ヲ置ク
  会長ハ滋賀県知事ニ、副会長ハ滋賀県内務部長ニ、理事長ハ滋賀県高島郡長ニ依嘱ス
  理事ハ会長之ヲ嘱託ス
  評議員ハ滋賀県高島郡内各町村長ニ依嘱ス
  世話係ハ理事長之ヲ嘱託ス
  書記ハ理事長之ヲ命免ス
第十条 会長ハ会務ヲ総理ス、副会長ハ会長ヲ補佐シ、会長事故アルトキハ之ヲ代理ス
  理事長ハ会長ノ指揮ヲ受ケ、会務ヲ処理シ、外部ニ対シ本会ヲ代表ス
  理事ハ理事長ヲ補佐シ、会務ヲ分掌ス
  評議員ハ本会ノ諮問ニ応シ、重要ノ事項ヲ審議ス
  世話係ハ本会ノ依嘱ヲ受ケ、会員募集其ノ他会務ヲ処弁ス
  書記ハ理事長ノ命ヲ受ケ庶務会計ヲ掌ル
第十一条 本県内各郡市(高島郡ヲ除ク)ニ支部ヲ置ク、支部長ハ郡市長ニ依嘱ス
  支部長ハ其ノ郡市ニ於ケル会務ヲ処理ス
第十二条 本会ハ藤樹神社ノ創立及付帯事業ノ経営ヲ完了シ、之ヲ神社及関係当事者ニ引継キタル上ニ於テ解散スルモノトス

      事業計劃書
  ○第一期
 - 第41巻 p.655 -ページ画像 
一、金拾万円 藤樹神社創立費
  ○第二期
一、金参万円 徳本堂建築費
一、金壱万円 藤樹文庫建設費
一、金四万円 神社基本財産造成費
一、金弐万円 藤樹全集出版費
   計金拾万円
 合計金弐拾万円

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  内務省滋社第三号           滋賀県高島郡青柳村大字上小川                    淵田竹次郎                     外拾六名  大正八年十二月廿日願藤樹神社創立ノ件許可ス    大正九年六月十日      内務大臣 床次竹二郎 [img 図]印 




〔参考〕藤樹先生全集(五) 藤樹神社創立協賛会編 巻之四十三・第七一―七二頁昭和四年三月刊(DK410140k-0007)
第41巻 p.655 ページ画像

藤樹先生全集(五) 藤樹神社創立協賛会編
                 巻之四十三・第七一―七二頁昭和四年三月刊
    四二、藤樹神社の創立
 大正六年藤樹神社創立の議高島郡教育家の間に首唱せらるゝや、滋賀県知事森正隆氏を始め朝野の士賛同するもの少からず。県教育会またこれを美として声援を為せり。大正八年八月県教育会は巽軒井上博士を聘して、斯道の講習会を開催せり。氏は日本陽明学派の特徴を高調して、藤樹先生を神社に奉祀することの至当なる所以を詳論せり。かくて機漸く熟し、地を青柳村大字上小川字中道に相して、同年十二月二十日淵田竹次郎氏外十六名総代として、神社創立願を内務大臣に提出したり。越えて九年六月十日付を以て許可を得たれば、直ちに藤樹神社創立協賛会を創設して、時の滋賀県知事堀田義次郎氏を会長とし、高島郡長佐野真次郎氏を理事長とし、寄附金の募集其の他に着手し、同年十二月十三日地鎮祭を行ひ、木曾御料林より特に用材の御下附を受け、翌十年九月二十六日起工式を行ひ、本殿を始め順次附属建物を造営したり。是より先き高島郡小学校教員会より鳥居高サ五間巾四間一基、同児童より狛犬一対、同青年団より石灯籠一対、同郡役所員より鳥居一基、県立今津中学校職員生徒より社標一基藤樹神社の四大文字は杉浦重剛先生の揮毫に係り其の他の文字は藤樹神社々司故野呂周一氏の謹書に属す大阪市太田繁盛会より水屋一棟等の寄進あり翌十一年五月四日県社に列せられ、同二十一日鎮座祭を挙行せり。
○下略