デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正14年10月6日（1925年）

救世軍大将ブラムウェル・ブースノ第七十回誕晨記念ノタメ、当軍ハ日本内地ニテ金二万円ヲ醵金シ、印度・支那及ビ朝鮮ニ寄贈セントス。栄一ソノ計画ヲ賛助シ、自ラ金千五百円ヲ寄付シ、森村開作ト共ニ諸名士ヨリノ寄付金一万四千円ヲ集メ、是日、当軍ニ交付ス。尚、翌十五年三月六日、同大将宛ニ祝電ヲ発ス。

渋沢子爵と救世軍　山室軍平稿　　　　　　　　（財団法人竜門社所蔵）
○上略
一、大正十五年三月は大将ブラムヱル・ブースの満七十年に該当するを以て、其の前年より之が賀意を表する徴として、日本の内地にて金二万円を作り、之を印度・支那、及び朝鮮の為に寄贈し、同時に日本に対しては又、英国にて同じ趣意にて作りたる金の内二十万円を、其の士官学校新築費として寄贈せらるゝことゝなりたり。子爵は深き同情を以て此の挙を助けられ、自ら率先して其の為に金千五百円を投じ、且つ森村男其の他よりの寄附金計一万四千円を救世軍に交附せられたり
○下略
　　　○ブラムウエル・ブースハ一八五〇年三月八日生ル。

山室軍平談話筆記　　　　　　　　　　　　　　（財団法人竜門社所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　昭和十三年三月十八日　於東京神田
　　　　　　　　　　　　　　　救世軍本営司令官官房　松平孝聴取
 - 第42巻 p.120 -ページ画像 
　二代目ブース○ブラムウエル七十の賀を大正十五年三月八日に挙げらるゝに際し、各国で金をつくり、それを以てお互に他国の為に尽すことにしやうと話が決つた。日本では二万円の金を印度・支那及朝鮮の為に使ひ、英国からの金で士官学校を建てたりすることになつた。そうして私が祝賀の為、大正十四年に渡英する時には、僅かに六千円しか集まらず、聊か困惑してた処、子爵が残一万四千円集めることを引受けて下さり、安心して出発することが出来たのです。そして留守中にその金が出来ました。全く子爵の御同情御尽力の賜です。

ブース大将七十歳誕辰記念日本救世軍記念事業書類　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　　　　一四、四、一一山室氏持参
来る大正十五年（一九二六年）三月八日は救世軍大将ブラムヱル・ブース満七十歳の佳辰に該当するを以て、其の記念事業として各国に於ける救世軍は、相互扶助的に何れも若干の資金を作り、各それぞれ他の何れかの国々に於ける事業の新発展を助くる計画あり、其の日本に関するものは概略左の如し
　第一、諸外国より日本に対し
　　一、金拾万円也
　之は日本に於ける救世軍士官学校が手狭となりたるに付、その改築の為に諸外国献金の内より日本に送金せらるべきものとす。
　第二、日本より諸外国に対し
　　一、金壱万円也
　之は支那に二箇の会館を建設するため
　　一、金五千円也
　之は印度に五箇の質素なる会館を設くる為
　　一、金五千円也
　之は朝鮮に二会館を設くる為
　　　右計金弐万円也
（別筆）
合計金壱万五千円トシテ募ルコト可ナルベシ

（増田明六）書翰　森村開作宛大正一四年五月一六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（森村男爵家所蔵）
　　　　（別筆）
　　　　男爵　森村開作様
拝啓、時下益御清適御坐被為在奉賀候、然ハ過日拝趨御内意承り候救世軍の記念事業資金醵集之件ニ付き、別紙の通立案致候間、書面並勧誘先御閲覧、何卒可然御取捨被下度候、勧誘先廿四氏ハ余りニ多数と相成如何哉と存候へ共、時節柄、少数之人ニ多額を御願するより、多数ニ少額之方醵集容易ならんかとも被考、斯くハ立案仕候次第ニ御座候
始め山室氏を御紹介する書状を認め、同氏ニ各氏を訪問勧誘を請ハんかと存候へしが、同氏も出立前多忙ならんと推し、前記の通変更したる義ニ御坐候、御一覧之上御都合次第小生を御呼ひ被下度、早速拝趨可仕候　匆々拝具
 - 第42巻 p.121 -ページ画像 
　　大正十五年五月十六日《（四）》
　　　○別紙見当ラズ。但、森村ノ修正要望個所ヲ修正シタル渋沢子爵家所蔵ノモノ後掲。

ブース大将七十歳誕辰記念日本救世軍記念事業書類　（渋沢子爵家所蔵）
○某特志家」ハ雨閏会《（潤カ）》ト名記シタ方ガヨクハナキヤ
○廿三名――ノ内賛成セラレヌ方モアルト存候間、余分ニ発送スル方ガヨイカト存候
従ツテ文体モ少々カエテハ如何ト存候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　森村
　　　　増田様
　　十四年五月十八日
関係委員トハ全然別問題故、考慮ハイラヌカトモ存候ガ如何ニ候や

（増田明六）書翰　森村開作宛大正一四年五月一九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（森村男爵家所蔵）
　　　　森村男爵様　　　　　　　　　　　　　増田明六
拝啓、時下益御清適奉敬賀候、然ハ過日御覧願上候救世軍補助費ニ関する書類、御多忙之処早速御閲覧之上御意見を加へられ、御返附被下正ニ拝受仕候
御意見之次第誠ニ御尤と存上、別紙の通修正、又宛先も増加して、別紙所載の如く発送仕候間、此御方々ニ御会談之折も御座候ハヽ、何卒宜敷御話被下度候
右御礼旁申上度書外拝光ニ相譲リ申候　敬具
　尚々別紙ハ孰れも写ニ候間、御返却ニハ及はさる義と御承知奉願候
　　大正十四年五月十九日
　　　○別紙ハ渋沢子爵家所蔵ノ控ヲ次ニ掲グ。

ブース大将七十歳誕辰記念日本救世軍記念事業書類　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（栄一鉛筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　十四日一覧　栄一
拝啓、益御清適奉賀候、然ば来る大正十五年三月八日は救世軍大将ブラムヱル・ブース氏満七十歳の誕辰に相当致候につき、其記念事業として、各国に於ける救世軍は、相互扶助的に孰れも若干の資金を作りて、他の国々に於ける事業の新発展に資する計画にて、即ち我が日本に対しては諸外国より金拾万円を寄贈して救世軍士官学校改築費に充てらるゝ事と相成り、因て日本救世軍に於ては支那に二ケ所、印度に五ケ所、朝鮮に二ケ所の会館を建設する計画にて、之が建築費予算金弐万円を要し候処、内金五千円は雨潤会より寄附の申込有之候由にて残金壱万五千円の寄附を御同情ある御人々に願度と申事にて、両人に相談有之候、同軍の本邦に於ける救済事業に付ては従来各方面の実施ニ付て観察致候処、真に感すべきもの多々有之候に付、両人に於ては其挙を賛し応分の寄附を為したる義に御座候間、誠に御迷惑ながら、尊台に於ても何卒御寄付被成遣、其目的を貫徹せしめられ候様致度、偏に御依頼申上候　敬具
 - 第42巻 p.122 -ページ画像 
　大正十四年五月　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　森村開作
　追申
　本文の資金壱万五千円の内、金参千円は両人より寄附致、残余の金壱万弐千円に付ては、勝手の申条にて恐入候得共貴台外廿余名ノ方方に各金五百円宛御義捐願度と奉存候間、何卒此義御承引被下、日本橋区兜町渋沢事務所内渋沢栄一又ハ同区本石町森村銀行内森村開作へ御払込被下候はゞ難有奉存候

（増田明六）書翰　森村開作宛（大正一四年）六月三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（森村男爵家所蔵）
拝啓、益御清栄奉慶賀候、然ハ予而御高配相蒙り候救世軍ブース大将七十歳誕辰祝賀記念事業資金募集之件、本日迄左記九氏より各五百円宛御寄付御申込有之候
　緒明圭造氏　　児玉謙次氏　　藤原銀次郎氏
　塩原又策氏　　服部金太郎氏　成瀬正恭氏
　大橋新太郎氏　小池厚之助氏　結城豊太郎氏
　　　以上九氏　此金四千五百円也
依而残る廿四名之方々に対し、本日再び書状発送仕候間、何卒御諒承奉願上候、即ち書状写と其発送先氏名表玆許加封供貴覧申候、右不取敢尊聞に達し御承認を乞ひ度如此御座候　敬具
　　六月三日　　　　　　　　　　　　　　　増田明六
　　　　男爵　森村開作様
　　　　　　　　　　　　御侍史
　　　○右書翰ニイフ「加封」書類ハ渋沢子爵家所蔵ノ控ヲ次掲。但、発送先ノ控見当ラズ。

ブース大将七十歳誕辰記念日本救世軍記念事業書類　（渋沢子爵家所蔵）
（控）
拝啓、益御清適奉賀候、然ば去月二十日付拙書を以て、救世軍ブース大将七十歳誕辰記念事業資金中へ金五百円也御寄附被成遣度懇願申上置候処、御多用中の折柄未だ御回示に不接候処、先便申上候如く、同軍の本邦に於ける救済事業を御取立て被下、拝願の御寄附被成遣度願上候、尚御払込の場所は、日本橋区兜町渋沢事務所内渋沢栄一又ハ同区本石町森村銀行内森村開作へ御払込被下候はゞ難有奉存候、先は右催促がましく乍恐縮、再び得貴意度如此御座候　敬具
　　大正十四年六月三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　森村開作
　　　○大正十四年六月二十四日付ニテ、米山梅吉・指田義雄・渡辺治右衛門ニ宛テタル再度ノ催促状ノ控、渋沢子爵家所蔵「ブース大将七十歳誕辰記念日本救世軍記念事業書類」書類中ニアリ。

（増田明六）書翰控　瀬川八十雄宛大正一四年九月一八日
 - 第42巻 p.123 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　救世軍日本々営
　　　　瀬川八十雄殿
拝啓、時下益御清適奉賀候、然ハ過日御来訪ノ際御話致候ブース大将七十寿誕辰祝賀記念事業資金ノ義ハ、別紙寄附者芳名表ノ通壱万三千九百五拾円ト相成候、右寄附者ニ対シテハ、渋沢・森村両人連名ニテ別紙甲号写ノ通礼状発送致候間、貴方ヨリモ司令官並山室氏連名ニテ同様ノ御出状被成下度候、又右金額ハ来廿日森村氏旅行ヨリ帰京次第早々御引渡シ可申候間、御承知置被下度候　以上敬具
　　大正十四年九月十八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　増田明六
　尚々本件寄附勧誘ノ書状写別紙乙号、為御参考差上置候
（別紙甲号写）
拝啓、時下益御清適奉賀候、然バ過般以書面、日本救世軍ニ於テ、竜敦同軍ノブース大将七十寿誕辰祝賀記念事業トシテ、朝鮮・支那・印度ノ三地方ニ同軍ノ会館ヲ献設スルノ計画ニ対シ、御賛同ノ義願上候処、御快諾ノ上金壱　御寄附被成下、御蔭ヲ以テ総計金壱万参千九百五十円ヲ醵集スルコトヲ得、難有奉存候、御同情ヲ以テ日本救世軍モ其目的ヲ達スルコトヲ得ル次第ト相成、同軍司令官ヨリモ厚ク御礼申出候、右御礼申上度如此御座候　敬具
　　大正十四年九月十八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　森村開作
　　　○別紙乙号略ス。
　　　○右「別紙甲号」ヲ印書シテ独立書翰トシ、宛名ヲ「子爵渋沢栄一」トペン書キセル資料、渋沢子爵家所蔵「ブース大将七十歳誕辰記念日本救世軍記念事業書類」中ニアリ。
（別紙寄附者芳名表写）
　　　　ブース大将記念事業寄附者芳名
金千五百円也　　東京日本橋区兜町二番地　　　　　　子　渋沢栄一殿
金千五百円也　　東京芝区高輪南町三十三番地　　　　男　森村開作殿
金五百円也　　　東京牛込区新小川町三ノ三十一番地　　　市来乙彦殿
金五百円也　　　東京芝区葺手町二十三番地　　　　　　　岩原謙三殿
金五百円也　　　東京芝区白金三光町四九八番地　　　　　服部金太郎殿
金五百円也　　　東京市外品川町北品川宿二二三番　　　　緒明圭造殿
金五百円也　　　東京市本郷区弓町一ノ十六番地　　　　　大橋新太郎殿
金五百円也　　　東京麹町区内幸町一ノ五番地　　　　　　若尾謹之助殿
金五百円也　　　東京小石川区関口台町二十九番地　　　　渡辺治右衛門殿
金五百円也　　　東京市外下大崎七十三番地　　　　　　　神戸挙一殿
金五百円也　　　東京芝区伊皿子町五十二番地　　　　　　相馬半治殿
金五百円也　　　東京赤坂区青山南町六ノ百十五番地　　　根津嘉一郎殿
金五百円也　　　東京芝区白金三光町四百七十三番地　　　成瀬成恭殿
金五百円也　　　東京市外滝野川町西ケ原五十一番地　男　古河虎之助殿
金五百円也　　　東京市麻布区新網町二ノ十六番地　　　　藤原銀次郎殿
 - 第42巻 p.124 -ページ画像 
金五百円也　　　東京牛込区市ケ谷仲之町五番地　　　　　小池厚之助殿
金五百円也　　　東京麹町区富士見町二ノ二番地　　　　　児玉謙次殿
金五百円也　　　東京芝区下高輪町五十七番地　　　　　　朝吹常吉殿
金五百円也　　　東京市外千駄ケ谷原宿一四三番地　　　　持田義雄殿
金五百円也　　　東京麻布区永坂町六十一番地　　　　　　結城豊太郎殿
金五百円也　　　東京日本橋区室町三ノ十番地　　　　　　塩原又策殿
金五百円也　　　東京芝区高輪南町五十三番地　　　　　　持田巽殿
金参百円也　　　東京麹町区永楽町大川田中事務所　　　　大川平三郎殿
金弐百五拾円也　東京小石川区小日向台町一ノ十番地　　　小野英二郎殿
金弐百円也　　　東京麻区材木町三十六番地　　　　　　　内藤久寛殿
金弐百円也　　　東京市外中渋谷七百七十七番地　　　　　野中清殿
　以上合計金壱万参千九百五拾円也　廿六口
　　　　　金五拾円七銭　森村銀行・東京貯蓄銀行弐行ニ於ケル　預金利子
　再合計金壱万四千円七銭　東京貯蓄銀行預金額
　　大正十四年九月廿二日現在

（ウィリアム・イーディー）書翰　渋沢栄一宛大正一四年一〇月一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　（別筆朱書）
　　　　　　　大正十四年十月一日
　　　　　　　　　　　　　救世軍日本司令官
　　　　　　　　　　　　　　ウイリアム、イーデイー氏ヨリ礼状
拝啓、益々御健勝奉賀候、陳者救世軍の事業に対しては、今に始めぬ御賛同を辱う致し感謝仕候、先般総督ブース大将七十寿誕辰祝賀記念事業計画に対し、金壱千五百円也御寄贈被下候のみならず、更に森村男爵閣下と御連名にて、同情者各位の御寄附を御勧誘被成下、感謝の至りに不堪候、御蔭を以て金壱万三千九百五拾円也と相成、是により其の目的を達し、事業上多大の便宜を相受仕り候のみならす、列国に対しても面目を施すことを得る次第に有之、真に難有御礼申上候、早速滞英中の山室軍平氏にも此旨申送り度存候
猶此後とも何分宜敷御願申上候、右而巳御礼迄如斯に御座候
御祝福を祈上候　敬具
　　大正十四年十月一日
　　　　　　　　　　　　　　　　救世軍日本司令官
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ウイリアム・イーディー
　　　　渋沢子爵閣下

ブース大将七十歳誕辰記念　日本救世軍記念事業書類　（渋沢子爵家所蔵）
　　ブース大将記念事業寄附金引継内訳書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大正十四年十月六日
一金壱万参千九百五拾円也　　募集寄附金高廿六名分
一金百六円六拾参銭　　　　　東京貯蓄銀行預金利子
一金四拾七円九拾八銭　　　　森村銀行預金利子
以上合計
　　金壱万四千百四円六拾壱銭　引継総金高
 - 第42巻 p.125 -ページ画像 

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ブース大将七十歳誕辰記念日本救世軍記念事業書類　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　領収証
　一金壱万四千壱百〇四円六拾壱銭也
　　　但シブース大将七十寿誕辰祝賀記念事業ノタメ
右御寄附被下正ニ難有御請取申候也
　　大正拾四年拾月六日
　　　　　　　　　　　　　　東京市神田区一ツ橋通町五番地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　救世軍日本本営
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会計係　印　(印)
　　　　子爵　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　殿
　　　　男爵　森村開作

（増田明六）書翰控　森村開作宛大正一四年一〇月一三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
(写)
　　　　森村男爵様
拝啓、時下益御清適奉賀候、然バ予テ御配慮被下候救世軍記念事業資金之義ハ、御高庇ニ拠リ金壱万参千九百五拾円ヲ醵集スル事ヲ得、去十月六日其銀行預金利子ト共ニ合計金壱万四千百四円六拾壱銭ヲ、同軍ヘ引渡候、尚右寄附金者各位ニ対シテハ、貴台並渋沢子爵ノ御連名ヲ以テ、過日謝状発置候、右ニテ本件ハ終了相告候次第ニ御座候間、別紙寄附金者氏名表並同軍領収証写相添ヘ、此段御通知申上候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　匆々敬具
　　大正十四年十月十三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　増田明六　明六
　　　○別紙前掲ノモノト同ジニツキ略ス。

 - 第42巻 p.126 -ページ画像 

（ウィリアム・イーディー）書翰　増田明六宛一九二五年一〇月一七日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　The Salvation Army
　　　　　　　　WILLIAM BOOTH-FOUNDER

　　　　　　　　National Headquarters
　　　　　　　　　　　TOKYO
　　　　　　　The Commissioner's Office
　　　　　　　　　　　　　　　　Saturday 17th October, 1925
Mr. Meiroku Masuda.
　　Tokyo.
My dear Sir:-
　　I am taking the privilege to gratefully thank the Viscount Shibusawa for his repeated kindnesses to the Salvation Army throughout these many years he has been interested in our work for the people throughout Japan in particular and the world in general. I will esteem it an honor if you will be good enough to convey these sentiments of mine and my comrades to the venerable Viscount.
　　When doing so will you please add to them the recent kindness of the Viscount and Baron Okamura《(Morimura)》 and all those who have worked with them together with those who have subscribed to the General Booth 70th Birthday Scheme, the objects of which were presented by our Colonel Yamamuro before leaving us for Europe where he is at the present time, and assure each one that no words of mine can convey the deep sense of gratitude and appreciation I feel to each and to all.
　　With full hearty thanks, and to yourself for all your labour and kindness,
I am,
dear Mr. Masuda
　　　　　　　　　　Yours very cordially,
　　　　　　　　　　　　　(Signed) William Eadie
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Commissioner.

（山室軍平）書翰　渋沢栄一宛大正一五年一月三〇日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　一五、三、六救世軍植村益蔵氏持参
　　　　　　　　　　子爵御一覧、即時別紙ノ通発電セラル
粛啓、如何御過シナサレ候ヤト心ニ案ジナガラ、日々御祝福閣下ノ上ニ豊ナラン事ヲ御祈申上居候、陳者甚ダ唐突ノ御願出ニハ候得共、来ル三月八日ハ救世軍二代目ブース満七十年ノ賀日ニ有之候、救世軍トシテハ大切ナル祝日ニ候故、内輪ノ者共ハ勿論諸外国著名ノ御方々ヨリノ祝辞・祝電等モ少カラズ到来スル事カト存候処、日本カラモ是非
 - 第42巻 p.127 -ページ画像 
閣下ヨリ一言ノ御祝電ヲ戴ク事ヲ得タキモノト切望罷在候、毎々勝手ナ御願出ノミ致シ恐縮ノ至ニ候得共、何分右御聞届ノ程奉願候、尚電報宛名等ニ付テハ私共ノ方略号モ有之候、代理ノ者ヨリ申上ゲサセ度ト奉存候、尚御含迄ニ申添候、昨年厚キ御配慮ヲ賜リ候大将七十ノ賀資金ハ、其ノ日本ニ於テ出来タル分ハ之ヲ支那・印度・朝鮮ノ為ニ用フルト同時ニ、ソノ他国ヨリノ醵金ノ内金二十万円ハ日本ノ士官学校新築費トシテ支出セラルベキ見込ニ相成居候、余寒今年日本ニ於テ如何ヤト御案ジ申上候、折角御自愛被下度候、小生ハ本夕出発、五週間バカリ欧州大陸旅行ニ上ラント致居候　拝具
乍末筆令夫人ヘ宜ク御鳳声奉願上候
　　大正十五年一月三十日　ロンドンニテ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山室軍平
　　　　渋沢子爵閣下
　　　○祝電々文次掲。

渋沢栄一電報控　ブラムウェル・ブース宛一九二六年三月六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
March 6, 1926
CEPHAS LONDON
Heartiest congratulation for your seventieth birthday wish increasing activity years to come
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Shibusawa
（右草案）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一九二六年三月六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢
　ロンドン
　　セーフアス（救世軍本営ノ暗号）Cephas
衷心ヨリ七十ノ寿ヲ祝シ、幾久敷御活動ヲ祈ル

（ブラムウェル・ブース）電報　渋沢栄一宛一九二六年三月二五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
London,　　　　　　　　　　　　March 25th, 1926
VISCOUNT SHIBUSAWA, TOKIO.
THE FELICITATIONS AND CONGRATULATIONS YOU SO KINDLY SENT ME ON THE OCCASION OF MY 70TH BIRTHDAY HAVE FOUND A WARM PLACE IN MY HEART I THANK YOU FOR THESE AND FOR YOUR UNCEASING SYMPATHY AND HELP IN OUR WORK WE ARE LABOURING FOR THE GLORY OF GOD AND WELFARE OF MANKIND
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　BRAMWELL BOOTH
（右訳文）
　東京　　　　　　　　　　　　（大正十五年三月廿六日入手）
　　渋沢子爵
　　　　　　　　　　　　　　倫敦　一九二六年三月廿五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　ブラムウエル・ブース
 - 第42巻 p.128 -ページ画像 
小生第七十回の誕晨に当り、御懇篤なる御祝詞を賜はり欣喜に堪へず此御厚意に対し、又神の光栄と人類の安寧との為めに努力しつゝある我事業の上に、断へず与へられたる閣下の御同情と御援助とに対し、小生は謹んで感謝す