デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
4節 キリスト教団体
1款 救世軍
■綱文

第42巻 p.144-145(DK420041k) ページ画像

昭和4年2月2日(1929年)

是日栄一、当軍ノ村井奨学寮開寮式ニ、財団法人中央社会事業協会会長トシテヲ祝辞ヲ寄セ、同協会総務部長原泰一ヲシテ代読セシム。


■資料

財団法人中央社会事業協会会長祝辞 【祝辞 近来各地方より出で東京に遊学する青年学生の数は…】(DK420041k-0001)
第42巻 p.144-145 ページ画像

財団法人中央社会事業協会会長祝辞     (救世軍本営所蔵)
    祝辞
近来各地方より出で東京に遊学する青年学生の数は、益々多きを加へて居ります。然るに彼等に対する保護教化の施設は、誠に少ないのであります。
されど今日社会の実情を見ますると、是等覇気に溢れ、血気に満ち、又感傷的になり易い青年学生達が、その両親の暖かい膝下を離れ、なつかしみの深い故郷を去つて、肉体的にも精神的にも刺戟の強烈な都会生活に於ける日常は、実に種々なる誘惑がその身辺を窺ふて居ると云ふても過言ではありません。だからこそ、今日迄幾多の前途有為な学生青年達が遂にその進路を誤つて、惹いては社会に害悪を流すに至つたものが尠くないことは誠に遺憾に堪えない次第でありました。
幸ひ、今回救世軍に於きましては、御大典記念事業の一として、村井保固氏の寄附に係る資金を以て、男子学生の寄宿舎を設立し、之等青年学生に対して、基督教的信仰と愛とを以て、暖かき住居と懇切なる
 - 第42巻 p.145 -ページ画像 
指導とを与へんことを計画され、本日玆に開寮式を挙げらるゝに至りましたことは、誠に慶賀に堪えない所であります。
元来、之等血気な青年学生を遇することは、誠に困難な事業でありまするから、どうぞ、之に従事さるゝ方々が信仰と熱誠とに加へて、能く彼等個々の心理と境遇とを洞察し、之に適応したる教導をなし、以て充分なる成功を収め、所期の目的を達成せられむことを切望して已まないのであります。
聊か所懐を述べて祝辞に代へる次第であります。
  昭和四年二月二日
             財団法人中央社会事業協会
                会長 子爵 渋沢栄一


ときのこゑ 第七九〇号昭和四年三月一日 御大典記念事業 救世軍村井奨学寮開かる 田川明治学院総理の演説、書記長官の式辞其他(DK420041k-0002)
第42巻 p.145 ページ画像

ときのこゑ 第七九〇号昭和四年三月一日
  御大典記念事業
  救世軍村井奨学寮開かる
    田川明治学院総理の演説、書記長官の式辞其他
既報の如く、御大典記念事業の一つである学生寄宿舎(牛込区市ケ谷本村町の元救世軍士官学校)の大修繕を終り、之を救世軍村井奨学寮と称することゝなり、二月二日その開寮式を行うた。
○中略
 「基督教的信仰と愛とを以て、暖かき住居と懇切なる指導とを与へんことを計画されたのを喜ぶ」とは渋沢子爵の祝辞の一節にて、中央社会事業協会の原総務部長代読。○下略


救世軍村井奨学寮開寮式順序(DK420041k-0003)
第42巻 p.145 ページ画像

救世軍村井奨学寮開寮式順序        (渋沢子爵家所蔵)
    救世軍村井奨学寮
      開寮式順序
 昭和四年二月二日(土曜日)午後二時開会
  軍歌
  祈祷
  聖書朗読            中佐 植村益蔵
  独唱
  式辞             大佐補 パグマイヤ
  報告及献堂の祈        大佐補 矢吹幸太郎
  奏楽
  祝辞            東京市長 市来乙彦閣下
  同     中央社会事業協会長 子爵 渋沢栄一閣下
  軍歌
  演説           東京府知事 平塚広義閣下
  同 財団法人村井保固実業奨励会 理事 法華津孝治氏
  同           明治学院総理 田川大吉郎氏
  祝祷
  君が代
  閉会