デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
3款 社団法人日本弘道会
■綱文

第43巻 p.411-413(DK430064k) ページ画像

昭和4年7月10日(1929年)

是日栄一、当会ノ復興建築並ニ事業拡張ノタメ、金二千円寄付ノ申込ヲナス。次イデ同十三日、当会会長徳川達孝ノ懇請ニヨリ、栄一、実業家数名ニ対シ紹介状ヲ認ム。


■資料

日本弘道会書類(DK430064k-0001)
第43巻 p.411 ページ画像

日本弘道会書類            (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、新緑の候閣下愈御清祥の段奉大賀候、陳者本会寄附金募集の件に付き御協議御頼度義有之、就ては寄附金募集副委員長繁田武平氏近日閣下に御面接の為め参邸仕候間、乍御迷憾御引見被成下度此段御依頼申上候《(惑)》 敬具
  五月十六日○昭和四年   日本弘道会長
                   伯爵 徳川達孝
    子爵 渋沢栄一閣下


日本弘道会書類(DK430064k-0002)
第43巻 p.411 ページ画像

日本弘道会書類              (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓、陳者今般日本弘道会ニ於テ先年震災ニ因リ焼失シタル弘道会館ノ再築並ニ本会事業拡張ノ為寄附金募集中ニ有之候処閣下《(手書)》ニ於カセラレテハ右御賛助被成下金弐阡円本会《(手書)》ヘ御寄附可相成趣御申込被下候段洵ニ難有存シ候、不取敢御礼申上度如斯ニ御座候 敬具
  昭和四年七月十日《(数字手書)》
           日本弘道会寄附金募集委員長
                   伯爵 堀田正恒
    (宛名手書)
    子爵渋沢栄一閣下


日本弘道会書類(DK430064k-0003)
第43巻 p.411-412 ページ画像

日本弘道会書類              (渋沢子爵家所蔵)
(控)
拝啓、時下向暑の候と相成候処、益御清適奉大賀候、陳者本会は明治九年故西村文学博士創立以来、邦人の道徳の向上と国家の基礎の鞏固とを目的として熱心努力致居候処、向後の経営に付て是非御高援仰度切望罷在候、老生も其主旨を賛し年来多少の助力を為し居候関係より御紹介方申出候間、本書相認候に付、御差支なき範囲内にて御高庇賜り度、此段御依頼申上候 敬具
  昭和四年七月十三日
 - 第43巻 p.412 -ページ画像 
                     日本弘道会特別会員
  (別筆)
  紹介先氏名別紙ニアリ            渋沢栄一
(別紙)
    特別会員
本郷区真砂町一七         諸井恒平
芝区白金三光町四九八       服部金太郎
芝区田町五ノ五          浅野総一郎
本郷区弓町二ノ一九        佐々木勇之助
日本橋区浜町二ノ一四       星野錫
市外滝野川町中里三六七      大川平三郎
麻布区材木町三六         内藤久寛
   以上


(繁田武平)書翰 渋沢栄一宛(昭和四年)八月六日(DK430064k-0004)
第43巻 p.412 ページ画像

(繁田武平)書翰 渋沢栄一宛(昭和四年)八月六日 (渋沢子爵家所蔵)
謹啓
炎暑の候御機嫌如何被為成御伺申上候
陳ハ先般来厚き御懇情を蒙り居候本会寄付募集の儀、過般渡辺君より御願申上候実業界の有力者浅野・服部・大川・諸井の各諸君ヘハ御認を仰き候御尊状携帯訪問仕懇請中ニ有之、尚佐々木第一銀行頭取殿ニハ御面会の機を得差上申置候、尚諸井恒平君よりハ申込有之、金員入手仕候、将又徳川公爵閣下・内藤久寛君、更ニ山形県の富豪本間光弥氏よりハ最近申込有之、追々進捗中ニ有之、尚三井・岩崎の両家へも申入候処、目下詮議中との事に承知致候、右ニ付小生拝趨近況御報告旁可申上の処、不取敢以書中申上度如此ニ御座候 敬具
                   日本弘道会にて
  八月六日                繁田武平
    渋沢子爵
        閣下


日本弘道会会館復興費事業資金寄附募集経過報告書 第一―二七頁昭和五年一一月刊(DK430064k-0005)
第43巻 p.412-413 ページ画像

日本弘道会会館復興費事業資金寄附募集経過報告書 第一―二七頁昭和五年一一月刊
    寄附募集経過報告書
 昭和三年一月弘道資金の募集運動に着手し、本年八月之が終結に至るまでの梗概を述べて、大方の高覧に供す。
一、本運動は我が国の世道人心漸く廃れ、所謂思想国難の秋に際し、国民道徳の牙城たる弘道会館は震災後未だ復興の緒に就かず、幾多の緊要事業も勢ひ停頓の止むなきを慨し、奮然起つて天下の志士仁人に訴へ、以つて弘道資金の寄附を仰ぐに至りたるものなり。
一、此の運動を起すに当り、本会定款第十条の規定に依り、特別機関として募集部を設け、堀内伯委員長以下顧問(二名)主事(一名)監事・参与(各三名)委員(十名)を嘱託し、其の他会計・庶務の書記(各一名)を任命して、前途の成果を期待して、勇躍して事に従ひたり。
○中略
一、然るに経済界の不振は漸く進み、昭和三年の末に至りては勧誘等
 - 第43巻 p.413 -ページ画像 
に耳を傾くる者甚だ乏しく、事業は殆ど中止の姿となれり。
一、是に於いて、翌四年三月職員規定を改正し、新に副委員長を置きて繁田参与を挙げ、其の他補欠を行ひて陣容を新にし、更に一ケ年の募集期間延長をなし、奮然事に当り、なほ実に悲壮の感ありき。
○中略
 今や経済界は極度の不況に在り、寄附募集等は全然不適の時に当り猶左記の成績を挙げ得たるものは、実に大方諸賢が憂世の義心より発せられた仁情の賜にして、又関係当事者の献身的努力も与りて力ある所、玆に特記して深く感謝の意を表するものなり。
○中略
  昭和五年十一月
           日本弘道会会長 伯爵 徳川達孝

    寄附者芳名(申込順)
 金額        府県名     芳名
○中略
 金弐千円      東京府  子爵 渋沢栄一殿
○中略
 金壱千円      同       内藤久寛殿
○中略
 金百円       同       諸井恒平殿
○中略
 金百円       同       佐々木勇之助殿
○中略
 金参千円(事業費) 同    男爵 岩崎久弥殿
 金参千円(事業費) 同    男爵 三井八郎右衛門殿
○中略
 金壱千円      同       服部金太郎殿
○中略
  寄附金総計金拾万四千弐百五拾八円拾銭
○下略