デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正6年5月19日（1917年）

是日、新潟県長岡市長岡中学校ニ於テ、当団長岡支部発会式挙行セラル。栄一、旅行先ノ長野市ヨリ書翰ヲ送ル。次イデ六月十七日、栃木県栃木町第一小学校ニ於ケル当団栃木支部発会式ニ、栄一祝辞ヲ送ル。

向上　第一一巻第六号・第一二二頁　大正六年六月
　　　　長岡支部発会式
　五月十九日長岡支部発会式を長岡中学に挙ぐ、旧藩侯牧野子を初め知事其他知名の顕官、当地出身官公吏・実業家等夥しく来会盛大を極む（詳細は本文に在り）
　左に当日祝辞・祝電を寄せられたる諸賢の芳名を記して厚志を謝す
三井合名会社理事早川千吉郎殿○中略（以上祝電）渋沢男爵閣下
○中略（以上祝文）

向上　第一一巻第六号・第一一二―一一四頁　大正六年六月
　　　　渋沢顧問の書簡
　拝啓、益々御清適奉賀候。過日御出京の節は匆卒の御接遇いたし欠礼多罪の至りに候、老生も弥々本月十四日より信州地方旅行致し、小諸・上田を経て今夕は当長野市に一泊明日松本へ立越し、十八日は諏訪に止宿、其翌日帰京の都合に御座候。
　来る十九日には貴地に於て修養団の支部発会式有之候筈にて成るべく繰合せ参席致し候様曾て蓮沼氏よりの懇請も有之、殊に賢台に於て其後厚く御援助下され候趣も拝承仕り候に付き、願くば参上仕り度と存じ候も、本月廿日には東京にて中央報徳会の大会有之、実業家連にて出席講演の筈にて、老生にも是非とも罷り出候様との懇望井上東京
 - 第43巻 p.512 -ページ画像 
府知事及早川千吉郎氏等より切に被申聞候間、貴方へは何分出張難致候間御海容被下、其段来会の御一同へ賢台より可然御伝声被下度候。修養団の発展に付ては従来心添へ致居、精々真摯堅実の青年各地方に増加いたし、兎角浮薄に浮れ易き一般の風習を矯正致し度とは老生の宿望に有之、爾来乍微力幇助致し居り候次第に付き、賢台に於ても何卒向後御同情御助力被下度奉頼候。
　尚委曲は小畔氏に相託し候に付き、御聞上被下発会当日の事は別而御高配奉願候。右一書可得貴意如此御座候。敬具
　　五月十六日夜
　　　　　　　　　　　　　　長野客舎に於て　渋沢栄一
　　　　福島盟兄座下

向上　第一一巻第七号　大正六年七月
　　　　栃木支部発会式報告
○上略
　　　　　　△支部発会式の状況
　団員の結束鞏固なると共に発会式の挙行を急ぐ者漸く多く、遂に六月十七日（日曜）を以て発会式の挙を決行するに至れり。同地官民は岡本米蔵氏の著せる「牛」を愛読して感動する者多く、岡本氏を招聘して其思想を聴かんと望むこと切なり。玆に於て余は十七日午前七時岡本氏・津崎尚武氏を案内して上野駅を出発す○中略車中快談高論二時間半にして栃木駅に着す。同志に迎へられ共に町立第一小学校に入る谷郡長・榊原町長、和久井校長等は鈴木幹事・関口幹事等を助けて万般の準備に奔走せられつゝあるを見、官民一致・協同和衷の真情を察し欣快禁ずべからざるものあり。十一時講堂に於て発会式を挙行す。
○中略
　　　　　　栃木支部報告
　謹啓、梅雨之候益々御清栄之段奉大賀候、却説今回不肖等自ら揣らす修養団の旨趣目的に感激し、特に現下の時勢に於て其の必要痛切なるを認め及ばずながら支部の設立を企劃し、町内及ひ附近を勧誘候処期せずして共盟するもの百数十名の多きに達せしため、去る十七日発会式挙行候処深厚なる御訓誨と鄭重なる御祝辞を辱ふし、会者一同斉しく感涙に咽び申候、菲才短識素より其任に無之候へ共、冀くは先般諸賢の驥尾に附して犬馬の労を尽し以て理想郷の建設に涓埃の微を効さん覚悟に御座候、就ては今後一層の御懇情を垂れ吝むなく御教示被成下候はゞ幸慶之に過ぎず候、不取敢御挨拶申上度蕪詞如斯に候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具
　　大正六年六月二十日
　　　　　　　　　　　　修養団栃木支部幹事総代
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鈴木兼吉
　　　　顧問賛助員同志諸賢

祝辞・祝電を寄せられたる芳名を記して以て感謝の意を表す
顧問渋沢男爵閣下○下略
 - 第43巻 p.513 -ページ画像 

渋沢栄一　日記　大正六年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
二月八日　晴　小寒
○上略
夜向上雑誌ヨリ依頼セラレタル演説筆記ヲ修正ス、又修養団栃木支部発会ニ郵送スヘキ祝詞ニ充ツル書状ヲ裁ス