デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
6款 財団法人清明会
■綱文

第44巻 p.78-80(DK440029k) ページ画像

昭和2年6月30日(1927年)

是日栄一、東京府下洗足池畔ニ赴キ、清明文庫建設工事ノ視察ヲナス。


■資料

集会日時通知表 昭和二年(DK440029k-0001)
第44巻 p.78 ページ画像

集会日時通知表  昭和二年         (渋沢子爵家所蔵)
六月三十日 水 午前九時四十分 洗足駅著


清明文庫設立と信仰の体験 宮原六郎述 第一二頁 昭和八年一一月刊(DK440029k-0002)
第44巻 p.78 ページ画像

清明文庫設立と信仰の体験 宮原六郎述  第一二頁 昭和八年一一月刊
    一、清明文庫開館と設立計画発表当時の関係者
○上略 渋沢栄一氏は資金募集等に付て御心配下さいました、殊に昭和二年六月三十日には、清明文庫の工事を御視察になる為に、あの八十八歳の高齢を以て、洗足池畔までお出で下さいまして、従業員を督励されました。○下略


清明会終結記念 勝海舟先生戊辰日記 清明会編 第四八―四九頁刊 昭和一〇年二月刊(DK440029k-0003)
第44巻 p.78 ページ画像

清明会終結記念
勝海舟先生戊辰日記 清明会編  第四八―四九頁刊 昭和一〇年二月刊
 ○五、第二節 清明文庫の設立
    六、渋沢子爵の書翰及談話
○上略
 渋沢子爵は昭和二年六月三十日清明文庫工事視察の為め工事現場に来臨の節清明会理事宮原六郎氏に向ひ左の談話をなされたり
 「宮原さん、此処には海舟先生墓・南洲先生留魂祠在るを以て、東京として大切なる霊地である、一層注意して保安の任に当られたい、又清明文庫も工事に着手したから、困難であらうが完成するであらう併し後の維持は事頗る困難である、尚一段と奮励を望む次第である」


清明会要覧 同会編 第三五―三六頁 昭和四年三月刊(DK440029k-0004)
第44巻 p.78 ページ画像

清明会要覧 同会編  第三五―三六頁 昭和四年三月刊
    第十四節 清明文庫建設作業
 清明文庫建設作業は昭和二年四月十一日を以て其地鎮祭を執行し、次で同年五月三十日工事に着手し、爾来極めて順調に其工程を進め、昭和三年四月上旬本館の工事を竣り、江戸開城六十周年の記念日たる四月十一日を以て工事落成式を挙行し、五月三十日附属家の建設に着手し、八月十日之を竣工し、九月九日海舟先生墓前に於て、工事完成の奉告祭を執行したり
 右に関し常任理事宮原六郎君は昭和三年九月十三日 桃山御陵に参拝し、同十六日 畝傍御陵に参拝し、十二月二十五日 多摩御陵に参拝し、江戸開城六十周年記念清明文庫工事完成を奉告したり



〔参考〕(増田明六) 日誌 昭和三年(DK440029k-0005)
第44巻 p.78-79 ページ画像

(増田明六) 日誌  昭和三年      (増田正純氏所蔵)
三月一日 木 曇                 出勤
○上略
宮島六郎氏《(宮原六郎)》は清明文庫建築程度報告の為め
○中略
に来訪せられた

 - 第44巻 p.79 -ページ画像 
○下略


〔参考〕清明文庫設立と信仰の体験 宮原六郎述 第一〇―一三頁 昭和八年一一月刊(DK440029k-0006)
第44巻 p.79 ページ画像

清明文庫設立と信仰の体験 宮原六郎述  第一〇―一三頁 昭和八年一一月刊
    一、清明文庫開館と設立計画発表当時の関係者
 予て御協賛を願ひました清明会の事業は予定の通り進行して居ります。清明文庫は六月四日より図書館の事業を始めまして、毎日開館して居ります。本日は清明文庫の設立計画披露の為に、朝野の名士を日本工業倶楽部に招待してより、丁度満九週年の記念日に当りまして、感慨無量でございます。清明文庫設立計画の当初より御尽力下さいました人で、木内重四郎先生・目賀田種太郎男・平山成信男・渋沢栄一子・野田卯太郎氏並に清明会の監事で清明文庫建設工事を御指導下さいました渋谷嘉助翁、やはり清明会の事業に種々なる便宜を与へて下さいました綿貫助次郎氏、同じく清明会の事業に大なる援助を言明されまして、大いに私の力となつて下さいました徳川頼倫侯、それから清明文庫の敷地を提供された勝精伯の八氏は、何れも薨去又は逝去になりました、是等の人々の御生前の御尽力に対して玆に謹んで感謝の意を表する次第でございます。
○下略



〔参考〕清明会終結記念 勝海舟先生戊辰日記 清明会編 第四二頁 昭和一〇年二月刊(DK440029k-0007)
第44巻 p.79 ページ画像

清明会終結記念
勝海舟先生戊辰日記 清明会編  第四二頁 昭和一〇年二月刊
 ○五、第二節 清明文庫の設立
    三、清明文庫設立費決算表
 総係費                    二、三一一、八八
 洗足軒移転及修繕費              三、六三八、三八
 門、外囲及庭園費               五、八八七、九〇
 書庫建築費                 一一、一〇〇、八九
 講堂及閲覧室建築費             三七、二〇一、二二
 附属家建築費                 三、七三五、八〇
 什器備付費                  六、九五四、七二
 図書蒐集費                    七七七、六三
 事務費                    四、六〇八、四二
 宣伝費                    四、八四七、一〇
 展覧会費                   四、九一六、四〇
 墓地及附属庭園補修費(自昭和四年至昭和七年) 二、一五四、六九
  合計                   八八、一三五、〇三



〔参考〕清明会終結記念 勝海舟先生戊辰日記 清明会編 第二―三頁 昭和一〇年二月刊(DK440029k-0008)
第44巻 p.79-80 ページ画像

清明会終結記念
勝海舟先生戊辰日記 清明会編  第二―三頁 昭和一〇年二月刊
    清明会終結の辞
財団法人清明会は大正七年四月二十八日の創立にして、来る四月二十八日を以て十七周年に達す。○中略 昭和八年四月二十八日清明会設立十五周年記念式を兼ね清明文庫開館の式典を挙行したり。爾来今日迄の二ケ年間は、清明会掉尾の活躍にして、或は清明図書館及清明武育館
 - 第44巻 p.80 -ページ画像 
の経営、或は雑誌清明(後に立正安国と改題)及数種のパンフレット発行、或は清明講座の開催及清明協和会の結成等、非常時教化の為にも微力を貢献したり。然るに余は○中略 昭和四年以来引続き病魔の襲ふ所となり、身体は不自由となり到底従前の如く活動するを得ざることとなれり。而して現在に於て清明会の中心事業たる清明文庫は、江戸開城六十周年記念の事業にして、且勝海舟先生の遺蹟を保存する事業なるが故に、之を帝都たる東京市に寄贈すべく決意し、東京市当局は其寄贈を受け且之を拡大して行ふべきことを言明せられたるにより、形体上清明会を終結せしめ、其精神と其主旨とは立正安国団及清明協和団をして之を継承せしめんと欲す。○中略
  昭和十年二月十五日即
  大聖釈尊御涅槃の聖辰
                   清明文庫に於て
                   宮原六郎