デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
8款 其他 10. 誠道会
■綱文

第44巻 p.131-135(DK440047k) ページ画像

大正15年5月(1926年)

是月栄一、当会賛助員トナル。


■資料

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第二三頁 昭和六年一二月(DK440047k-0001)
第44巻 p.131 ページ画像

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編
              竜門雑誌第五一九号別刷・第二三頁 昭和六年一二月
    大正年代
 年 月
一五 五 ―誠道会賛助員―昭和六、一一。


(肥田景之)書翰 渋沢栄一宛(大正一五年)五月一六日(DK440047k-0002)
第44巻 p.131 ページ画像

(肥田景之)書翰  渋沢栄一宛(大正一五年)五月一六日
                     (渋沢子爵家所蔵)
粛啓
此度誠道会之義ニ付御多忙中御引見被下、其節本会之趣旨事業に対し多大なる御賛辞を賜り、特に賛助芳名え御名を忝ふし、老生の光栄不過之、感謝之至りに不堪候
先ハ不取敢御礼迄如斯ニ御坐候 早々敬具
  五月十六日
                     肥田景之
    渋沢子爵閣下


諸会発起趣意書(三) 【趣旨】(DK440047k-0003)
第44巻 p.131-132 ページ画像

諸会発起趣意書(三)           (渋沢子爵家所蔵)
    趣旨
国家興隆の基本は、国民精神の剛健を柱礎とすべし。維新皇謨の恢弘に、国民の福祉を啓かれ国威を中外に輝かせたまひし、明治大帝深く意を玆に留させたまひ、曩にその教育の大綱を昭示したまひ、又詔して忠実、勤倹を勧め、信義の訓を申《かさ》ねて荒怠の訓を垂れたまふ。顧ふに我国は万世一系連綿たる金甌無欠の国体にして、君統の神聖尊厳世界無比、仁慈世を徹し、民庶安緒に幸す。忠君愛国の思想は万古其趨向を一定する所なり。輓近学術益々開け人智日と共に進む、外来の文化は、時に異端の思想を輸入して、往々大道を過るものを生じ、物質偏重の主義、皇道破壊の主張を宣伝して、其誘惑は国民の間に浸潤せんとす。今にして其救世の道を講ぜざれは我固有済美の風は荒廃せられ、斯の澎湃たる毒潮の襲来に皇道堙滅し、思想的亡国の悲惨に到達せん。我等玆に精神的済生の教化団体誠道会を組織し、畏き皇祖皇宗の御聖訓を掲けて厳かに上下の弊習を革正し、以て国民精神を涵養振作し、真忠純憂、至誠の道を講じ、以て万古救世教化の事に尽さんとする謂以なり。幸に慨世憂国の士の賛同後援を祈る。
  大正十五年五月
                誠道会
                 会長 肥田景之
                 理事 小林正勝
 - 第44巻 p.132 -ページ画像 
                 理事 藤沢衛彦
                 理事 田辺頼真
      賛助員(イロハ順)
 明治神宮宮司陸軍大将   一戸兵衛   元帥陸軍大将         子爵上原勇作
            子爵入江為守   元帥海軍大将         子爵井上良馨
 前衆議院議員       早川鉄冶   海軍中将宮中顧問官      子爵小笠原長生
 大蔵大臣         浜口雄幸   文部大臣             岡田良平
 陸軍大将         本郷房太郎  帝展審査委員           山内多門
 元帥、海軍大将大勲位 伯爵東郷平八郎  前大蔵大臣          男爵山本達雄
              頭山満    海軍大将             山下源太郎
 国民新聞社社長     徳富猪一郎 前朝鮮総督府警務局長、日本青年館理事 丸山鶴吉
 前内務大臣政友本党総裁  床次竹二郎  法学博士             小林丑三郎
 陸軍大臣       子爵大迫尚敏   帝室技芸委員           小堀鞆音
 貴族院議員        大久保利武  貴族院議員          公爵近衛文麿
 内閣総理大臣兼内務大臣  若槻礼次郎  前内務大臣          子爵後藤新平
 靖国神社宮司       加茂百樹   前文部大臣枢密顧問官       江木千之
 帝室技芸委員       川合玉堂   逓信大臣             安達謙蔵
 前内閣書記官長貴族院議員 樺山資英   前衆議院議員台湾彰化銀行重役   坂本素魯哉
                     前警保局長貴族院議員       湯地幸平
 前陸軍大臣陸軍大将政友会総裁 男爵田中義一
                     早稲田大学長法学博士       塩沢昌貞
 海軍大臣海軍大将     財部彪                   子爵渋沢栄一
 東京市長         中村是公   前司法大臣枢密院副議長      平沼騏一郎
 東京府知事        平塚広義   宮内次官             関屋貞三郎
 前鉄道大臣衆議院議員   元田肇    鉄道大臣             仙石貢
      賛助員(追加)
 御歌所寄人        武島又次郎  海軍中将             山口九十郎
 御歌所寄人        加藤義清   前警視総監貴族院議員       赤池濃
 御歌所参候        根本敦行



〔参考〕諸会発起趣意書(三) 【会則】(DK440047k-0004)
第44巻 p.132-135 ページ画像

諸会発起趣意書(三)          (渋沢子爵家所蔵)
    会則
   第一章 名称
第一 本会は誠道会と称す。
   第二章 位置
第二 本会は本部を東京に置き、各地に支部又は出張所及び支局を置く。
   第三章 目的
第三 日本帝国の国体の淵源する所に則り、国民が斉しく之に基く立脚の本分を講じ、我が渾然たる政体の下に、立憲政治の理想を最も賢明に活用せんことを期す。
 明治天皇御製
  かみつよの御代のおきてをたがへじと
       思ふぞおのがねがひなりける
  よきをとりあしきをすてて外国に
 - 第44巻 p.133 -ページ画像 
       おとらぬ国となすよしもがな
第四 明治天皇の威烈なる御聖訓を体し、君民一体其心を一にして、帝国の使命を完ふする為に、万古救世の道を講じ、之が福祉を徹底的に普及せんとす。
 明治天皇御製
  国の為いよいよはげめちよろづの
       民もこころを一つにはして
  千万の民と共にもたのしむに
       ます楽みはあらじとぞおもふ
第五 現代のあらゆる外来思想を排斥せんと欲する偏狭に囚はれず、採長補短人類愛を提唱して、吾も人も恵まれたる誠の道を正し、その個人相互の誠を尽して人心を結び合ふ、天地自然の化育を理想として、誠心結合同盟を使命とす。
 明治天皇御製
  人もわれも道を守りてかはらずば
       この敷島の国はうごかじ
  人はただ誠の道をまもらなむ
       たかきいやしきしなはありとも
   第四章 事業
第一 教育の淵源を崇び、智徳の並進に努め又国民思想を善導し、以て民族の安栄社会の福祉を図るための事業
      一、教化書の頒布
    (一)明治天皇御製及御聖訓並に昭憲皇太后御歌に則れる通俗教化書
    (二)同 児童に与ふる教化読本
    (三)同 思想善導のための教化書
    (四)同 社会福祉のための教化書
      二、パンフレツトの配布
    (一)明治天皇御製及御聖訓並に昭憲皇太后御歌の解説パンフレツト
    (二)同 思想善導のためのパンフレツト
    (三)同 社会福祉のためのパンフレツト
      三、御鏡カードの配布
    (一)明治天皇御製カード(表は御歌画裏は解説)
    (二)昭憲皇太后御歌カード(表は御歌画裏は解説)
      四、講演会
    (一)一般民庶のための会
    (二)児童のための会
      五、明治天皇御製画、並に昭憲皇太后御歌画の配布
第二 風尚民族を匡励し、人倫を明にし、以て民族本来の美風を発揚し、軽佻詭激の弊習を矯むるための事業
      一、教化書の頒布
    (一)風尚民俗善導のための教化書
    (二)民力涵養のための教化書
 - 第44巻 p.134 -ページ画像 
    (三)誠の道教化書
    (四)思想善導のための教化書
    (五)社会福祉のための教化書
      二、パンフレツトの配布
    (一)風尚民族善導のためのパンフレツト
    (二)民力涵養のためのパンフレツト
    (三)誠の道パンフレツト
    (四)思想善導のためのパンフレツト
    (五)社会福祉のためのパンフンツト
      三、読本の頒布
    (一)国民読本
    (二)農村読本
    (三)工場読本
    (四)仁義忠孝貞節、其他の美事善行者の物語を興味的に綴りたる読本
      四、御鏡カードの配布
    (一)誠の道カード(表は教訓画、裏は話)
    (二)誠の道童謡(表は童謡画、裏は童謡)
      五、国民歌・国民謡の提唱
    (一)明治天皇御製、昭憲皇太后御歌の作曲普及
    (二)同 の御意に体したる国民謡の作歌作曲普及
      六、民謡・童謡音楽の普及
      七、民間療法の普及
第三 仁義・忠孝・貞節、其他美事善行者の展墓若くは建碑の事業
   (一)諸国・諸地方の孝子・節婦、其他美事善行者の展墓とその祭典。
   (二)無縁となりたる美事善行者の墓碑再興並に建碑。
   第五章 組織
本会に左の役員を置く
 第一 総裁   一名
       (追て之を推戴す)
 第二 会長   一名
 第三 副会長  二名
       (追て之を定む)
 第四 理事   五名
 第五 主事   十名
 第六 顧問  若干名
 第七 会計監督 一名
 第八 参事  若干名
 第九 講師  若干名
 第十 嘱託  若干名
   第六章 会員
第一 月額会費金拾銭を納入したるものを普通会員とす。
第二 月額会費を納入し、外に一時会費金四拾五円を納入したるもの
 - 第44巻 p.135 -ページ画像 
を特別会員とす。
第三 会員は、本会会員章を受く。(普通会員には実費金五拾銭を申し受く)。
第四 会員は、本会刊行のパンフレツト・御鏡カード並に国民歌国民謡の曲譜の無代配布を受く。
第五 会員は、本会刊行の教化書・教化読本、其他の刊行物の実費頒布を受く。
第六 会員は、本会主催の講演会・演奏会に出席の際は特別の待遇を受く。
第七 会員は、明治神宮祭参拝に際し左の便宜を受くるものとす。
  (一)明治神宮御符並に供物を拝受。
  (二)明治神宮祭当日、本会発行のパンフレツトの配布を受く。
  (三)本会特定の簡易清浄なる旅館への案内。
第八 本会所定の三都に於ける名所旧蹟の実費案内。
第九 会員は、伊勢参宮又は桃山御陵参拝に就き、本会所定の期日に限り、特別の便宜を受く。
第十 会員は、御陵御巡拝に就き、本会所定の期日に限り、特別の便宜を受く。
第十一 会員は、本会所定の各神社仏閣の祭典並に会式に当り、参列参拝の特典を受け、且つ御符及び御供物の配与を受く。
第十二 特別会員に限り、名士並に名画家の謹写せる御製画若くは御歌画の無代配布を受く