デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
3節 其他ノ教育関係
8款 早稲田大学
■綱文

第45巻 p.360-362(DK450139k) ページ画像

大正11年6月6日(1922年)

是ヨリ先、故当大学総長大隈重信ノ遺志ニヨリ、大隈家ハ其邸宅及ビ庭園ヲ当大学ニ寄付ス。当大学当局者其記念事業トシテ大講堂建設其他ヲ計画シ、四月、故大隈侯爵記念事業後援会ヲ結成、是日、東京銀行集会所ニ発起人会開カル。栄一、同後援会会長ニ推薦セラル。


■資料

早稲田学報 第三二七号大正一一年五月 記念事業後援会の発起(DK450139k-0001)
第45巻 p.360-361 ページ画像

早稲田学報 第三二七号大正一一年五月
    記念事業後援会の発起
 別項記載の如く本大学に於て故総長記念事業計画に就き、独りこれを学園の内部よりするのみならず、校外よりこれに声援して其必成を期せしむるため、故侯爵に縁故深き左記諸氏に依りて、該事業後援会組織せられたるが、其発起人・趣旨並に規定左の如し。
    後援会発起人(イロハ順)
 一木喜徳郎・犬養毅・原富太郎・子爵波多野敬直・原口要・堀内文次郎・尾崎行雄・大橋新太郎・和田豊治・子爵加藤高明・神田鐳蔵・男爵神田乃武・横山章・武富時敏・丹波敬三・添田寿一・内藤久寛・男爵中島久万吉・長岡外史・村井吉兵衛・矢野文雄・男爵山本達雄・山下亀三郎・町田忠治・藤山雷太・小池国三・河野広中・江口定条・麻生正蔵・男爵阪谷芳郎・箕浦勝人・子爵渋沢栄一・島田三郎・男爵森村開作
    後援会趣旨
  早稲田大学は故大隈侯の創立に係り、歳を閲する四十年、今は儼たる帝国の一大学府たり、候は半生の心血を此校に傾け、晩年に及ぶも夙夜其発達を図り嘗つて懈ることなし、常に語つて曰く、吾が死後邸宅を早稲田大学に寄附し以て発展の余地に供せんと、侯が此校に篤き以て見るべし、惟ふに此校曩きに新大学令に依り官設大学と地歩を同ふするに至れりと雖も、而も其基礎未だ鞏からず、薫育の諸機関未だ充実に至らず、故侯も常に之を憾とせり、其の歿後平生の言に背かず、邸宅を挙げて学校に寄与せられたる者、学校当事者を激励し、百尺竿頭一歩を進めて校の大成を庶幾せらるゝにあるや察するに難からず、校の当事者は果然奮起して邁進、侯の志に副はんと企図せり、吾等故侯に因縁浅からざる者如何んぞ之れを傍観
 - 第45巻 p.361 -ページ画像 
するを得んや、此大学を大成するは、実に帝国最高教育に大なる寄与を為すものにして、固より一大学の私事と為す可きにあらず、吾等はこゝに於て同志相胥り一会を結び、同校の計画を後援し幇助し其の目的を達せしめんとす、冀くは大方の諸君子幸に吾等の微意を諒とし賛助あらんことを。
  大正十一年四月
                 故大隈侯爵記念事業後援会

      本会規定
一、本会は這般早稲田大学に於て企画せる故大隈侯爵記念事業を援助し、其完成を期せしむるを以て目的とす
一、本会は故大隈侯爵記念事業後援会と称す
一、本会に左の役員を置く
  会長 一名
  賛助員 若干名
一、本会の事業所は早稲田大学内に置く
一、本会の後援すべき記念事業は左の如し
  一、侯爵記念大講堂の建設
  二、大学の内容改善に関する諸設備
一、前記事業並に、今般大隈侯爵邸を早稲田大学に寄附ありたるに付、侯爵家へ報謝を要する金額を併せて金弐百万円の資金を募集す
一、寄附金は本会直接に取扱はず、早稲田大学へ御申込を乞ふ事とす


早稲田学報 臨時号大正一一年六月 記念事業記事 後援会発起人会(DK450139k-0002)
第45巻 p.361-362 ページ画像

早稲田学報 臨時号大正一一年六月
 ○記念事業記事
    後援会発起人会
本大学の故総長記念事業企劃に就き、故侯爵に縁故深き諸氏は予て其声援に関して凝議中なりしが、六月六日午後三時より、丸の内銀行集会所に於て、其の発起人会開催せられたり、一同懇談を重ねられたる後、先づ、其の主旨を賛じて「記念事業発起人会を組織し、渋沢子爵を其の会長に推すに決定し、皆奮つて該事業の後援を為す旨申合せらる。当日、記念事業委員長高田博士は参会の上、四月以来の寄附申込の状況を報告し、併せて国民的寄附に依りてこの事業を完成せんために何分の後援を懇請せられたり。後援会の規定並に当日列席の諸氏左の如し。
    本会規定(既ニ掲載セルヲ以テ略ス)
   出席者
 犬養毅       原口要
 服部金太郎     堀内文次郎
 大橋新太郎     和田豊治
 子爵加藤高明    横山章
 団琢磨       添田寿一
 - 第45巻 p.362 -ページ画像 
 長岡外史      内藤久寛
 村井吉兵衛     町田忠治
 藤山雷太      男爵後藤新平
 小池国三      江口定条
 麻生正蔵      箕浦勝人
 子爵渋沢栄一    島田三郎
 男爵森村開作
   ○右後援会解散ノ月日徴スベキモノナシ。当大学庶務課ノ回答ニハ、昭和二年十月二十日大隈記念大講堂ノ落成ヲ以テ、一段落トナシ解散セルモノト認ムトアリ。
   ○講堂落成ニ就イテハ本款昭和二年十月二十日ノ条参照。



〔参考〕集会日時通知表 大正一一年(DK450139k-0003)
第45巻 p.362 ページ画像

集会日時通知表 大正一一年        (渋沢子爵家所蔵)
七月十七日 月 午后三時 早稲田大学定時維持員会(恩賜館)