デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
3節 其他ノ教育関係
12款 東京帝国大学関係 2. 新聞研究室
■綱文

第45巻 p.493-495(DK450180k) ページ画像

昭和4年7月2日(1929年)

是日栄一、東京帝国大学新聞研究基金トシテ、金五千円ヲ寄付ス。次イデ是月四日、栄一、阪谷芳郎・簗田𨥆次郎ト共ニ東京帝国大学総長小野塚喜平次ヲ訪ヒ、第一回寄付金十二万円払込ノ手続ヲナス。


■資料

新聞学講座設置ノ件書類(DK450180k-0001)
第45巻 p.493-494 ページ画像

新聞学講座設置ノ件書類         (渋沢子爵家所蔵)
               昭和四年五月廿四日発送済
拝啓益々御清祥奉賀候、陳者予て御賛同を仰ぎ居候東京帝国大学をして速に新聞研究を開始せしむる為め之が基金寄付の件、其後同大学との交渉も進み近く研究開始の運びと相成可申候
右は近年欧米諸大学に於ける新聞学の研究益々盛にして、国家社会に貢献するところ多きに鑑み、将来我邦新聞事業の発達改善と新聞道徳の向上に対し、裨益するところ大なるもの有之べく、誠に御同慶の至りに奉存候、就ては御寄附金の義につき御依頼の為め、近日発起人の中より拝趨可仕候に付、其節は宜しく御高配煩はし度此段御依頼申上候 敬具
  昭和四年 月 日
                発起人総代
                   子爵 渋沢栄一
                   男爵 阪谷芳郎
          殿
    浅野総一郎
    馬場鍈一
    大橋新太郎
 - 第45巻 p.494 -ページ画像 
    佐々木勇之助
        以上四名


新聞学講座設置ノ件書類(DK450180k-0002)
第45巻 p.494 ページ画像

新聞学講座設置ノ件書類         (渋沢子爵家所蔵)
                                        (小川)
左記の人々へ、昭和四年(六月二十二日六月二十九日)別紙(1)の手紙及(2)の印刷物差出し(印)
 六月二十二日差出し分 六月二十九日差出し分
 児玉謙次氏      郷男爵
 鈴木島吉〃      藤田謙一氏
 大倉男爵〃      橋本圭三郎氏
 服部金太郎〃     根津嘉一郎〃
 川崎八右衛門〃    山本条太郎〃
 古河男爵〃      藤山雷太〃
 森村男爵〃      馬越恭平〃
 以上十四氏
(別紙)
(1)
拝啓、益御清祥奉賀候、陳者別紙趣意書に記載の如く我国現時の状勢に鑑み、東京帝国大学に於て新聞研究之開始要望之件に付、貴台の御高見を拝承し御賛同相願度と、昨年三月十日銀行倶楽部に御集会相願候処、貴台には当日御差支有之御来駕無之、依て御来会之各位と協議いたし、決局右研究基金を醵出して同大学へ寄付することに相成、其後同大学に於ても種々考慮之上吾人の要望に賛同せられ、近日其研究を開始せらるゝ運びと相成候、就ては貴台に於ても此計画に御賛成下され、特に御高配を賜り度此段再応御願申上候 敬具
                   発起人総代
                      渋沢栄一
                      阪谷芳郎
   追て近日発起人中より拝趨親しく御懇談可申上候間よろしく御聴取被下度候也
   ○別紙(2)(趣意書)略ス。


新聞学講座設置ノ件書類(DK450180k-0003)
第45巻 p.494-495 ページ画像

新聞学講座設置ノ件書類        (渋沢子爵家所蔵)
    新聞研究基金ノ件
昭和四年九月三十日調
  (イ)寄附金払込者氏名
        払込年月日
金五万円也   4年2月20日  牧野元次郎殿
金弐万円也   〃 3  8   三菱合資会社殿
金弐万円也   〃 〃 27   三井合名会社 男三井八郎右衛門殿
金壱万円也   〃 6  24   本山彦一殿
金壱万円也   〃 4  9   安田保善社 森広蔵殿
金五千円也   〃 4  4   日本銀行 土方久徴殿
金五千円也   〃 7  2   子渋沢栄一殿
金壱千円也   〃 6  3   大橋新太郎殿
 - 第45巻 p.495 -ページ画像 
以上合計金拾弐万千円也     八名寄附払込高
  (ロ)寄附金申込末払込者氏名
         申込年月日
金五千円也    4 3 16 末延道成殿
     以上
  (ハ)寄附金依頼状発セルモ返事ナキ方々ノ氏名
○下略


新聞学講座設置ノ件書類(DK450180k-0004)
第45巻 p.495 ページ画像

新聞学講座設置ノ件書類          (渋沢子爵家所蔵)
予てより新聞界有志及一般有力者間の問題となりつゝあつた、東京帝国大学に新聞学講座設置の件は、渋沢子・阪谷男、岡田・三土両前文相、上田万年・三上参次両博士、本山大毎社長・徳富国民前社長・杉村朝日取締役・簗田中外商業社長・伊藤時事取締役・太田前報知副社長の諸氏発起人となり、帝大側と協議の結果先づ新聞の研究より開始することに議一決し、発起人側に於ては之に要する基金弐拾万円を特志家の寄附にまつことゝして、其募集に尽力中であつたが、財界不景気の際にも関はらず着々進捗し、牧野元次郎氏(五万円)岩崎小弥太男(弐万円)三井八郎右衛門男(弐万円)安田善次郎氏(壱万円)本山彦一氏(壱万円)渋沢栄一子(五千円)土方久徴氏(五千円)末延道成氏(五千円)簗田𨥆次郎氏(参千円)等を始めとし、其応募額予定の半額以上に達したので、発起人側にては其内拾弐万円を先づ第一回寄附金として帝大に払込むことゝなり、四日午前十時渋沢子・阪谷男・簗田中外商業社長の三氏、帝大に小野塚総長を訪ひ其手続を完了した、尚残り八万円は第二回分として、全募集締切の上帝大に払込む由である、帝大側にては右拾弐万円の利子を以て研究を開始する由にて、新立図書館内に新聞研究室を特設し、法文経の三学部協力して之に当り、暑中休暇明けをまつて開所の予定であるといふ、新聞学に関する施設は、米国ミズリー大学の新聞学部を初めとして米独英仏伊等の諸大学続々之を新設し、現在に於ては其数二百以上に達してゐる、今回帝大に開設さるゝ研究室は我国に於ける最初の永久的施設にて、新聞事業の発展と相俟つて重要なる使命を有するものである。


新聞学講座設置ノ件書類(DK450180k-0005)
第45巻 p.495 ページ画像

新聞学講座設置ノ件書類         (渋沢子爵家所蔵)

図表を画像で表示領収証

 領収証       (印)  一金拾弐万円也   但 奨学寄附金  右領収候也   昭和四年七月四日       東京帝国大学収入官吏        東京帝国大学書記 白崎多蔵[img 図]印  新聞研究基金寄附者惣代   子爵 渋沢栄一   男爵 阪谷芳郎 殿 



    振替貯金口座東京一二九〇〇番 東京帝国大学会計課