公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第46巻 p.331-333(DK460096k) ページ画像
昭和2年7月8日(1927年)
是ヨリ先、大正十五年六月、故種積陳重ノ学徳ヲ伝フルタメ、当財団ノ資金増募ノ事アリ。栄一及ビ渋沢家同族ヨリ金一万円ヲ寄付ス。是日、当財団寄付金募集発起人ヨリ栄一ニ礼状並ニ報告書ヲ送ル。
竜門雑誌 第四五二号・第一二―二三頁大正一五年五月 法学教育特に人才養成に就て 山田三良(DK460096k-0001)
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竜門雑誌 第四五二号・第一二―二三頁大正一五年五月
法学教育特に人才養成に就て
山田三良
今日○四月一九日竜門社の総会を兼ねて開催せられたました穂積先生の追悼会に於て、一言追悼の言葉を述ぶる機会を与へられましたことは、私に取りましては洵に光栄の至りであります。○中略穂積奨学財団と云ふものは、先生の功績を永遠に伝へんが為に、法学の進歩を計ると云ふ洵に立派な目的の為に出来たものでありまして、明治三十九年頃に於きましては洵に立派な財団であつたのでありますが、経済状態の標準が違ひました現今に於きましては、誠に微力なる財団でありましてその目的を達成することが頗る困難であります。加之、大正十年には五人組制度論出版の為に此財団から五千何百円を支出致し、大正十三年には更に五千何百円を支出致しまして、法律進化論第一巻二冊を出版致した次第であります。今日に於きましては其財団の基本金は二万円弱になつて居りますが、今後穂積先生の遺稿を出版することは此財団の責任であると考へて居るのであります。然るに、今後穂積先生の法律進化論の材料を整頓し、それを出版することは頗る多額の費用を要することでありますが、現在の財団に於ては不幸にして其目的を達することが出来ないのは、財団理事者の一員としまして、私の遺憾に堪へざる所であります。随て私は先生の門下生として、先生を追悼し先生の功績を永久に遺すには、先生のこの無形の愛子たる穂積奨学財団を更に一層有力なる財団と為しまして、さうして先生の畢生の事業たりし「法律進化論」の続篇を如何にかして之を世に公に致しまして永く学界に貢献するやうに致すことが吾々が先生に対して哀悼の意を表するに、最も適切なる方法であらうと信ずるのであります。先程来阪谷会長《(理事長)》○芳郎から伺ひますれば、竜門社も、亦先生と深き関係を有せらるゝやうでありますから、近々吾々門下生が相集りましてさう云ふ計画を発表致すこともあらうかと思ひますから、その節は竜門社の会員諸君に於かれましても此企に御同情と御援助あらむことを、今日此席に於て予め一言皆様に御願申上ぐる次第であります。
○下略
○穂積陳重ハ大正十五年四月七日歿ス。
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諸会報告書(三) 【拝啓 時下益御清祥奉賀候、陳者昨年六月故穂積陳重先生の学徳を永遠に伝ふるの資金を…】(DK460096k-0002)
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諸会報告書(三) (渋沢子爵家所蔵)
拝啓
時下益御清祥奉賀候、陳者昨年六月故穂積陳重先生の学徳を永遠に伝ふるの資金を潤沢にせんが為め各位の御醵出を願上置候処、早速御賛助を賜り深謝の至に奉存候、以御蔭右寄附金は別紙の通り金四万壱千六拾壱円五拾銭の巨額に達し候、右は到着に従ひ順次三井信託会社の保管に移し、穂積奨学財団への寄附を了し候、同財団法人に於ては従来の資金と共に之を基本財産に編入し、将来永へに其の利殖金を以て先生の遺稿出版其の他の事業を遂行するの資に供する事と相成申候間左様御了承被成下度希上候
先は乍延引右御報告旁深甚の謝意を表し度、如斯に御座候 敬具
昭和二年七月八日
穂積奨学財団寄附金募集
発起人一同
諸会報告書(三) 【穂積奨学財団増資寄附者 氏名及金額追加報告】(DK460096k-0003)
第46巻 p.332 ページ画像
諸会報告書(三) (渋沢子爵家所蔵)
穂積奨学財団増資寄附者
氏名及金額追加報告
○中略
計金弐百参拾九円也
合計金四万壱千参百円五拾銭也 (新寄附金)
本計画前最近二ケ年内ノ寄附金領収高
○中略
計金五千八百六拾五円也
合計金弐万参百参拾五円五拾銭也 (旧寄附金)
累計金六万壱千六百参拾六円也 (寄附金総高)
昭和二年六月十九日
穂積奨学財団理事
諸会報告書(三) 【穂積奨学財団増資寄附者氏名及金額(弐百円以上ノミ摘記)】(DK460096k-0004)
第46巻 p.332-333 ページ画像
諸会報告書(三) (渋沢子爵家所蔵)
穂積奨学財団増資寄附者氏名及金額(弐百円以上ノミ摘記)
収入
一金四万壱千六拾壱円五拾銭也 四百九拾壱名寄附金総額
一金四拾五円五拾六銭也 郵便振替貯金利子
計金四万壱千百七円六銭也
支出
一金四万六百九拾弐円五拾四銭也 三井信託株式会社保管穂積奨学財団資金繰入金
一金四百拾四円五拾弐銭也 資金募集所要費
計金四万壱千百七円六銭也