デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和5年7月1日（1930年）

是日当学会、当学会事務所ニ於テ協議会ヲ開催シ、事業拡張ニ関シ、栄一ニ種々依頼ノ件ヲ協議ス。

集会日時通知表　昭和五年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
七月一日　火　午後二時　温故学会協議会（同会事務所）

温故学会書類（二）　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
 - 第46巻 p.402 -ページ画像 
（謄写版）
（表紙）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　昭和五年七月一日　　　　　　内藤氏又ハ斎藤氏ニ模様ヲ聞クコト
　　　　　　一、事業報告
　　　　　　一、協議事項
　　　　　　　　　　　　　　　　　社団法人温故学会
　　　　事業報告
　　　○略ス。

　　　　協議事項　一
一、基本金造成ノ件
　　　本会一ケ年間経常費ハ約一千八百円ヲ要ス
　　　今正会員四百名アリ、年額会費参円ニ付一千二百円ノ収入アレド会員ニハ類従及会報ヲ贈呈シ、其他集金費等ヲ要スルコトナレバ実収入ハ約八百円ナリ、外ニ賛助会員ノ寄附金約二百円アリ、合計一千円ナレドモ、コノ収入モ正会員・賛助会員共年限アレバ不安ナリ
　　　故ニ相当基本金ヲ募集シ、金利ヲ以テコノ不足額ヲ補足スルコトヲ要ス
　　　　尚資金募集ニ付キテハ現在ノ正賛会員募集趣旨書ノ一部ヲ改メ一時金募集スル事如何
（欄外鉛筆）
　　一、金参万円ノ目標ヲ以テ寄付金募集致度
　　一、内藤氏ニ於テモ精々努力致候積リ、自身訪問ノ上勧誘ノ筈
　　一、子爵ニモ何分ノ御高配願上度　可決
　　　　協議事項　二
一、群書類従加入者募集ノ件
　　　目下加入者十七人アリ、此ノ利益月七拾円、外ニ抜刷ノ利益若干、万葉集・徒然草ノ利益若干アリ
　　　コノ利益ヲ以テ人件費・雑費ニ充当シ居レド、類従中終了ニ近キモノアリ、尚類従ハ在庫品三部アリ（一部六百円）コレヲ頒布スル方法
（欄外鉛筆）
　［一、子爵ノ配慮ヲ請フコト
　　　　協議事項　三
一、雑誌発行ノ件
　　　名称ヲ温故叢書トシ、当分年一回発行トス
　　　一千部印刷、コノ費用七拾円トスコノ費用トシテ東邦電力会社ヨリ五拾円ノ寄付金アリ
　　　今度ハ「上田博士ノ和歌ニ付キテ、渡辺博士ノ撿挍ノ事業ノアトヲカヘリミテ」ヲ掲載ス、外ニ本会記事欄ヲ設ケ会ノ状況ヲ知ラシム
　　　「温故叢書」ノ文字ハ各位ノウチ御願ヒ申シタシ
（欄外別筆）
 - 第46巻 p.403 -ページ画像 
　　可決
　　一、正会員ニ頒布ス
　　一、会員ニ対スル報告機関
　　一、温故叢書ノ字ハ子爵揮毫済
　　　　同四
一、塙撿挍歌集（一円二十銭）痛保己一先生（二十銭）塙保己一のお話（二十銭）相当残部アリ、コレガ頒布ノ方法
　　　　協議事項　五
一、温故学会後援会ヲ設クルコト
　　　東京盲学校長ノ発案ニヨル、同会理事トシテ内諾ヲ得タル者左ノ如シ
　　　　　　　　　　　　　　東京盲学校長　　　　秋葉馬治氏
　　　　　　　　　　　　　　東洋点字新聞社主筆　木村柳太郎氏
　　　　　　　　　　　　　　国学院大学講師　　　中野佐柿氏
　　　　　　　　　　　　　　同人事課長　　　　　阿部正秀氏
　　　　　　　　　　　　　　同庶務課長　　　　　渋谷吉福氏
　　　　　　　　　　　　　　陸軍少将　　　　　　中頭新左衛門氏
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　斎藤茂三郎氏
　　　会則ハ右ノ人々ト相談ノ上作製、本会役員中ニ一覧ヲ乞フ事
（欄外別筆）
　　一、承認
　　一、会則内藤氏一覧承認済
　　　　協議事項　六
一、塙保己一先生神殿建設ノ件
　　　会館前庭ニ設立、募集額ニヨリ設計
　　　ナルベク多人数ヨリ募集、主トシ各学校生徒ヨリ
　　　趣旨書左ノ如シ
　　　　本会は世界的の偉人贈正四位塙保己一先生の遺業大成を目的として設立せられたるものであります
　　　　先年会館を建築するに当り畏くも金一千五百円の御下賜あり又　東伏見宮殿下より金一封拝受の光栄に浴したることは関係者一同感激にたへぬところであります
　　　　今般渋谷御料地会館敷地内清浄の地を卜し先生の霊を奉斎する神殿を建設し、いよいよ崇敬の念を盛ならしめ日常奉事一層教育の効果を大ならしめたく、その資金募集中でありますどうかこの計画に御賛成下され、応分の御寄附あらんことをひたすら願上げます
　　　　　　　　東京府下渋谷町氷川四番地（渋谷御料地内）
　　　　　　　　　　　　　　　　　社団法人温故学会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　電話青山七七〇二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　子爵　渋沢栄一○
　　　　　　　　　　　　　　　　　宮中顧問官　井上通泰○
　　　　　　　　　　　　　　　　　　工学博士　山田直矢欠
　　　　　　　　　　　　　　　　　貴族院議員　内藤久寛○
 - 第46巻 p.404 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　貴族院議員文学博士　上田万年欠
　　　　　　　　　　　　　　　　　貴族院議員　大川平三郎欠
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　斎藤茂三郎○
（欄外別筆）
　　一、未決、研究ヲ要ス
　　一、欠席者ノ意見ヲ徴ス
○協議事項七以下略ス。

温故学会書類（二）　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
近時塙会と云ふ会につき間々地方より照会有之候へども、右は本会とは何等の関係無之、又本会役員渋沢子爵を会長の如く称する由なるも子爵は御承知なく御迷惑いたされ居り候間、何卒御誤解無之様願上候
　　昭和五年十月　　　　　　　　　　　　　　温故学会

温故学会書類（二）　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（葉書）
東京市丸ノ内　渋沢事務所　子爵渋沢栄一殿　○消印日付ハ赤坂局6.1.9　（別筆朱書）　御下賜報告
（裏面印刷物）
謹啓
今般本会事業御奨励の思召を以て
秩父宮　　高松宮　　閑院宮
東伏見宮　伏見宮　　山階宮
賀陽宮　　久邇宮　　梨本宮
朝香宮　　東久邇宮　北白川宮
竹田宮　　昌徳宮　　李鍝公家
李鍵公家
各殿下より金壱封御下賜の光栄に接し申候、之偏に貴下御後援の結果にして御同慶の至に存候、玆に謹みて御報告申上候　敬白
　　昭和六年一月十日　　　　　　東京市外渋谷町氷川四番地
　　　　　　　　　　　　　　　　社団法人温故学会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　斎藤茂三郎

温故学会書類（二）　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（葉書）
府下滝ノ川飛鳥山　子爵渋沢栄一殿　（別筆）　御下賜金拝受報告
 - 第46巻 p.405 -ページ画像 
謹啓
昨廿七日澄宮殿下より事業奨励の思召を以て金一封御下賜有之候
右謹んで御報告申上候　敬白
　　昭和六年一月廿八日
　　　　　　　　　　　　　　　　東京市外渋谷町氷川四番地
　　　　　　　　　　　　　　　　社団法人温故学会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　斎藤茂三郎

温故学会書類（二）　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ゴム印）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　昭和六年拾月拾六日
拝啓時下益々御清勝奉賀候
陳は塙撿挍百十年記念会別紙の如く開催致し度、又案内状には役員名連記仕り度候間、何卒御承諾被下度、此の段得貴意候　敬白
　　昭和六年十月十三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　温故学会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　斎藤茂三郎
　　　　子爵渋沢栄一殿
　　　○別紙略ス。
　　　○右百十年祭ハ当学会講堂ニテ十月二十五日午後挙行サル。