デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正6年3月20日（1917年）


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是日、当研究所財団法人トシテ設立許可セラレ、二十四日、大正五年法律第十六号ニ関スル勅令公布セラル。次イデ二十七日、東京商業会議所ニ於テ設立者総会開カル。栄一評議員ニ推サル。

財団法人理化学研究所設立経過概要　同所編　　第二三頁刊
　○第三章　設立
一、財団法人理化学研究所設立許可
　大正六年三月二十日附農商務省指令第三六九二号ヲ以テ、農商務大臣ヨリ財団法人理化学研究所設立ヲ許可スル旨指令アリタリ

設立経過　　　　　　　　　　　　　　（財団法人理化学研究所所蔵）
農商務省指命商第三六九二号　東京府経由
　　　　　　　　　財団法人理化学研究所
　　　　　　　　　　　　　　　　　設立者　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　外三十八名
大正六年三月十九日付申請財団法人理化学研究所設立ノ件許可ス
　　大正六年三月二十日
　　　　　　　　　　　　　農商務大臣　仲小路廉印

1、商工省（自大正六年至昭和六年）　　（財団法人理化学研究所所蔵）
　　　　財団法人理化学研究所資金補助願
今般御許可ヲ得テ財団法人理化学研究所ヲ設立致候処、此事業タルヤ少カラサル資金ヲ要シ、民間醵金ノミヲ以テハ到底所期ノ目的ヲ達スルコト能ハス候ニ付テハ、大正五年法律第十六号ニ依リ御補助相仰キ度候間、特別ノ御詮議ヲ以テ右願意御聴許被成下度、此段奉願候也
　　大正六年三月二十二日
　　　　　　　　　　　　　　財団法人理化学研究所
　　　　　　　　　　　　　　理事総代　男爵渋沢栄一
　　　　農商務大臣　仲小路廉殿

法令全書　大正六年　　内閣印刷局編　刊
朕大正五年法律第十六号理化学ヲ研究スル公益法人ノ国庫補助ニ関スル法律施行期日ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
　御名　御璽
　　大正六年三月二十四日
　　　　　　　　　　　　　内閣総理大臣　伯爵寺内正毅
　　　　　　　　　　　　　農商務大臣　　　　仲小路廉
勅令第三十二号（官報三月二十六日）
大正五年法律第十六号ハ大正六年三月二十六日ヨリ之ヲ施行ス
　　○大正五年法律第十六号及ビ国庫補助ノ詳細ハ本款大正五年一月二十一日ノ条参照。

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設立経過　　　　　　　　　　　　　　　（財団法人理化学研究所所蔵）
　　　　法人設立許可通知ノ件
拝啓　時下益々御安祥奉恭賀候、陳者予テ御配慮ヲ蒙リ候理化学研究所設立ニ付テハ其後常務委員諸氏ト屡々協議ヲ重ネ、尚有力ナル実業家ヲ歴訪シテ其賛同ヲ得、又寺内伯爵ハ去ル十二日京浜ニ於ケル重ナル実業家ヲ首相官邸ニ招集シテ其賛同ヲ求メラレ候結果、当日迄ニ金百九十一万円ノ寄附申込有之、次テ十三日創立委員会ヲ開催シテ寄附行為ヲ決定シ、且ツ政府会計年度ノ都合上是非共三月末日迄ニ法人設立ノ必要アルヲ以テ、不取敢京浜ニ於ケル有志ノミニテ至急設立ノ許可ヲ其筋ニ申請スルコトヲ決議致候、而シテ右有志ノ寄附金ハ去ル十九日迄ニ其総額金二百十八万七千円ニ達シ候ニ付、同日其筋ニ設立ノ許可ヲ申請致候処、翌二十日付ヲ以テ農商務大臣ヨリ許可ノ指令有之候間、御承知被成下度候、就テハ不日役員等モ決定致シ、更ニ有志ノ御賛同ヲ得テ、速ニ本所設立ノ目的ヲ貫徹致度候間、何卒此上御援助ノ程偏ニ希上候、先ハ右御報告旁得貴意候　敬具
　　大正六年三月二十六日
　　　　　　　　　　　　　　　　理化学研究所
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　設立者総代
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　男爵渋沢栄一
　　　　設立者以外ノ発起人宛
　　　　政府関係当局　〃
　　　　大学内諸博士　〃

評議員会決議録　　自設立総会至大正十年九月　　（財団法人理化学研究所所蔵）
　　　　設立者総会
大正六年三月二十七日午前十一時、東京商業会議所ニ於テ設立者総会ヲ開ク、当日設立者総代渋沢男爵病気欠席ノ為、中村男爵ヲ会長ニ挙ケ、評議員推薦方ニ付協議シ、左記ノ通決議シ正午閉会セリ、当日ノ出席者左ノ如シ
　男爵岩崎小弥太　　　代理　荘清次郎　工学士　団琢磨
　男爵三井八郎右衛門　代理　団琢磨　　　　　　安田善三郎
　男爵中村雄次郎　　　　　　　　　　　　　　　塩原又策
　男爵渋沢栄一　　　　代理　中野武営　　　　　村井吉兵衛
　　　大川平三郎　　　　　　　　　　　　　　　大橋新太郎
　外八名
　政府側
　　　上山農商務次官　岡商工局長
　　　藤川工務課長
　　　　　　以上
決議事項
　一、左記ノ六氏ヲ評議員ニ推薦スルコト
　　　男爵三井八郎右衛門　男爵　岩崎小弥太
　　　　　原六郎　　　　　男爵　古河虎之助
　　　　　安田善三郎　　　男爵　渋沢栄一
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　二、増加評議員ノ推薦方ハ前号六評議員ノ銓衡ニ一任スルコト
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
右ノ通相違無之候也
　　大正六年三月二十七日　　　　　　　　　安田善三郎(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大橋新太郎(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　男爵渋沢栄一代理
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中野武営　(印)

拝啓　陳者本日理化学研究所設立者総会開催致候処、全会一致ヲ以テ別紙ノ通評議員ヲ推薦シ、同時ニ其他ノ評議員ヲ増加人選ノ儀ハ前記評議員諸氏ノ御指名ヲ請フコトニ決議致候、就テハ前記諸氏ヨリ創立中ノ常務委員ノ御参会ヲ請ヒ、至急増加評議員ヲ決定致度御希望申出ラレ候ニ付、御多用中ト存候得共、明廿八日午前十一時東京商業会議所ニ御来駕相願度、右御報告旁御依頼申上候　敬具
　　大正六年三月二十七日
　　　　　　　　　　　　　　設立者総代男爵渋沢栄一代理
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中野武営

青淵先生公私履歴台帳　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一理化学研究所評議員　　　　六年○大正三月

中外商業新報　　第一一一二二号大正六年三月二五日
　　　　○理研設立進捗
財団法人理化学研究所設立に関しては、這般渋沢男設立者総代となり東京府を経て主務官庁たる農商務大臣に設立認可申請中なりし処、数日前認可となり法人登記も既に完了したるを以て、再び農商務省に向つて補助金二百万中本年度分廿五万円の補助金交附申請中なれば近く下附せらるべし、尚来る廿七日東京商業会議所にて設立者総会を開き評議員を選定し、総裁の聴許済次第組織機関を完備する事となり、従つて具体的事務を進捗するに至るべしと