デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

7章 行政
2節 内務行政
1款 財団法人消防義会
■綱文

第48巻 p.405-408(DK480128k) ページ画像

明治45年6月15日(1912年)

首都東京市ノ消防施設ノ整備改善ヲ目的トシ、財団法人消防義会設立セラレ、是日、九段偕行社ニ於テ発会式行ハル。栄一出席シ、推サレテ会長トナル。爾後基金募集等ニ尽力セシガ、後之ヲ辞ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四五年(DK480128k-0001)
第48巻 p.405 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治四五年        (渋沢子爵家所蔵)
六月十五日 晴 暑
○上略 午後一時半九段偕行社ニ抵リ、消防義会ノ発会ニ出席シ、衆ニ推サレテ会長トナル、蓋シ先般来安楽警視総監・室田景辰氏等ノ再三ノ懇請ニヨリテ一時之ニ応スルナリ○下略


青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第一五頁 昭和六年一二月刊(DK480128k-0002)
第48巻 p.405 ページ画像

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編
              竜門雑誌第五一九号別刷・第一五頁
              昭和六年一二月刊
    明治年代
  年 月
四五 六 ―消防義会々長―大正四、一二。
   ○右ニヨレバ在任ハ大正四年十二月マデナルモ、「公私履歴台帳」(略ス)ニハ辞任ヲ大正四年九月トナス。他ニ辞任ノ資料ヲ欠ク。


竜門雑誌 第二九〇号・第七八頁明治四五年七月 ○消防義会と青淵先生(DK480128k-0003)
第48巻 p.405 ページ画像

竜門雑誌 第二九〇号・第七八頁明治四五年七月
○消防義会と青淵先生 消防義会発会式は六月十五日午後一時より九段偕行社楼上に於て開かれたり、安楽警視総監設立の趣旨を述べ、次で杉原府会議長の発議にて座長に安楽氏を推選して同会の組織評議に移り、西沢市会副議長の発議にて会長に青淵先生を、副会長に杉原栄三郎氏を推選し其承諾を得、次いて青淵先生会長席に着きて当分同会事務所を有楽町三丁目二番地に置く事、評議員・参事・専務理事・理事は発起者一同に嘱託する事及び顧問に安楽総監を推選する事、会計監督は会長に一任する事、本年十一月中旬に総会を開く事等を決議し午後三時散会せりとなり。


中央新聞 第九八三六号明治四五年六月一五日 消防義会発会式(DK480128k-0004)
第48巻 p.405-406 ページ画像

中央新聞 第九八三六号明治四五年六月一五日
    消防義会発会式
十五日午後一時九段坂上偕行社に於て消防義会発会式を挙行せる事既報の如くなるが、当日は同会創立委員杉原栄三郎・内田彦雄・江間俊一・西沢善七等諸氏の外安楽総監・湯池官房主事・栗本第三部長並に会員としては室田消防本部長を初め市各消防署長、朝野の名士出席し総裁・会長・顧問・副会長・会計監督・評議員・参事員・理事等の役員を選任し終て発会式を挙行する予定なるが、同会は汎く朝野に会員
 - 第48巻 p.406 -ページ画像 
を募り、研究部・会計部・救済部・治療部に分ち、消防上の研究、消防員の死傷痍者の弔慰金、功労者の彰表、負傷者の施療等総て遺憾なきを期し、市内住民の生命を害し巨万の財産を瞬時に烏有にする災害を予防救済する目的に出でたるものなりと


中央新聞 第九八三七号明治四五年六月一六日 消防義会発会式(DK480128k-0005)
第48巻 p.406 ページ画像

中央新聞 第九八三七号明治四五年六月一六日
    消防義会発会式
既報の如く消防義会発会式は昨十五日午後一時半より九段坂上偕行社楼上に於て挙行され、先づ創立準備委員を代表して安楽警視総監登壇我邦の一箇年間に於ける火災損害高・死傷其他の被害を一々外国に比して各自の注意を喚起し、尚会の設立を見るに至れる次第を縷々説明する所あり、発起者の決議により安楽総監を座長に推し趣意書及び会則を決定、次に会長に渋沢男、副会長に杉原府会議長を推し、事務所を有楽町三の一に設け委員の選定会員募集方法の相談等ありて総会期日を毎年十一月中旬と定め、十月二十日迄に約十万円の寄附金を募る事に満場異議なく之に決定、閉会後立食の宴に移り三時散会せり、当日重なる出席者は前記外太田第一部長・小浜第二部長・湯池官房主事新聞記者等四百余名に達し近来稀に見る盛会なりと


中央新聞 第九八四九号明治四五年六月二八日 消防義会参事員会(DK480128k-0006)
第48巻 p.406 ページ画像

中央新聞 第九八四九号明治四五年六月二八日
    消防義会参事員会
本月十五日九段偕行社に於て盛大なる発会式を挙げたる消防義会は、昨日午前九時より警視総監官舎桜上に於て参事員会を開催せり、当日参集せし人々は会長渋沢男・顧問安楽総監を初めとし、杉原副会長・会計監督中野武営・参事員西沢善七・太田一部長・小浜二部長・室田消防本部長・江間俊一・栗本三部長・斎藤孝治・酒井泰・湯地官房主事・宮川市助役・平田東京府内務部長・大塚総監官房主事等にて、先づ本会事務員は庶務・会計の両部に分け、庶務には進藤警視属以下七名を、会計には浅田警視属以下六名を及び書記二名を置く事に決議し又資金募集額五分の一に達したる時事業に着手する事、会員募集の方法につき調査員に中野・西沢・江間・杉原・宮川の五氏を挙げて取調方を一任し、応募資金は第一・川崎農工の各銀行に預入るゝ事、適当の帳簿を備付くる事、会員たるものには消防出初式の際特別席に招待参観せしめ、又死亡者には弔辞を送り、一般会員には門標を附与する事等一々決議したる後、午餐を共にし一時廿分散会せり


竜門雑誌 第二九九号・第五七頁大正二年四月 ○消防義会活動(DK480128k-0007)
第48巻 p.406-407 ページ画像

竜門雑誌 第二九九号・第五七頁大正二年四月
○消防義会活動 消防義会は昨年春季大会を開き青淵先生を会長に、杉原府会議長を副会長に、安楽警視総監を顧問に推選し、専ら会務拡張に務めつゝありしが、兎角不振の体なるを遺憾とし時機を待ちて発展計画中の処、旧臘以来の火災頻々たりしより、先づ其の第一着手として会長以下幹部員を初め室田本部長・宇田川第三・前田第二署長其他各署長・各区委員たる区長・会議長等は東西に奔走して会員を勧誘し、併せて寄附金募集に努め、一面会則に則り消防に関する学術技芸
 - 第48巻 p.407 -ページ画像 
を研究し、消防思想の普及を図り、又消防職員に対する職務上死亡又は傷痍疾病者の救助、勤続者特に消防上の功労者に対する表彰、職員の負傷者其家族に対する救済の為めに治療所を新設し、義会の実を挙げ、之が実施に尽力し居るとなり。


中外商業新報 第九八三八号大正二年九月一四日 ○消防義会設立(DK480128k-0008)
第48巻 p.407 ページ画像

中外商業新報 第九八三八号大正二年九月一四日
○消防義会設立 渋沢男及中野会頭は来る十五日午前九時商業会議所に都下各火災保険会社重役を招待し、消防機関の完成を期する目的にて消防義会の件に付き種々懇談する筈


中外商業新報 第九八四〇号大正二年九月一六日 ○消防義会集会(DK480128k-0009)
第48巻 p.407 ページ画像

中外商業新報 第九八四〇号大正二年九月一六日
○消防義会集会 消防義会は十五日午前九時商業会議所に於て各火災保険会社代表者十有余名を招待し、席上会長渋沢男・中野会頭より市内消防設備の完全を計らんが為めに、各保険会社の具体的賛成を求め続いて室田消防署長は之に対し説明を加へたるが、一同は賛成の意を表せしも、更に明治・東京・福寿・帝国四社を代表として交渉を進むることとし正午散会せり


竜門雑誌 第三〇四号・第七八頁大正二年九月 ○消防義会参事会(DK480128k-0010)
第48巻 p.407 ページ画像

竜門雑誌 第三〇四号・第七八頁大正二年九月
○消防義会参事会 消防義会に於ては九月十一日午前十一時より警視庁内に於て参事会を開きたり、出席者は会長青淵先生を始めとし安楽警視総監・小浜・長谷川・室田各部長、其他市区名誉職等約四十名にして、青淵先生、会長席に着き安楽警視総監より一場の挨拶あり、室田消防部長より同会の経過其他の報告あり、引続き寄附金募集に就て協議する所あり、午後一時散会せりとなり。


竜門雑誌 第三〇五号・第六〇―六一頁大正二年一〇月 ○消防義会の資金募集協議(DK480128k-0011)
第48巻 p.407 ページ画像

竜門雑誌 第三〇五号・第六〇―六一頁大正二年一〇月
○消防義会の資金募集協議 消防義会々長青淵先生、同副会長中野武営氏及室田警視庁消防本部長は、九月十一日警視庁官舎の協議会に於て決定したる資金募集方針に基き、同月十五日午前九時より商業会議所に都下火災保険会社十六社代表者の参集を求め、青淵先生及中野武営氏より交々方今建築物の増加と共に之が消防の設備を完全にするは最急務なるも、政府にては予算に制限ありて充分の施設をなし得ざる憾みあれば、此際火災に最も深き関係を有する各保険会社より応分の寄附を仰ぎ、以て該設備の完全を計り、国家の年々享くる損害を軽減せしむる外なし、各社諸君の賛同を乞ふ所以なりとの希望を述べ、更に室田部長は消防設備に関し詳細の説明をなしたるが、各保険会社は大体其趣旨に賛同したるも猶其応募方法に就て協議の必要あるより、兎も角明治・東京・福寿・帝国の四火災保険会社を代表者に挙げ追つて会合協議する事とし、正午散会せりとなり。



〔参考〕青淵回顧録 小貫修一郎 高橋重治編 下巻・第一六〇三―一六〇五頁昭和二年八月刊 【第二附録 諸名士の渋沢子爵観 消防義会と渋沢子爵 高野多助】(DK480128k-0012)
第48巻 p.407-408 ページ画像

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