デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正6年2月12日（1917年）

是日総理大臣寺内正毅、当会総裁徳川家達以下関係者及ビ実業家ヲ官邸ニ招待シ、第一回発起人会ニ於テ協議セシ慰問ニ関スル希望ヲ述ベ、栄一、其後ノ経過及ビ今後ノ募集ニ関スル希望ヲ述ブ。栄一、金一万円ヲ寄付ス。

中外商業新報　　第一一〇八二号　大正六年二月一三日
　　　　○実業家招待会
　　　　　　　聯軍傷病兵慰問
寺内首相は十二日正午聯合国傷病兵慰問会総裁徳川公以下関係者及実業家四十余名を官邸に招待し、首相より第一回発起人会の節協議せし慰問に関する希望を述べ、渋沢副総裁より今日迄の経過及今後の募集に関し希望を陳べ、終つて午餐会を開き二時過散会せり、出席者左の如し
　総裁徳川家達公・副総裁渋沢栄一男・林博太郎伯・三島弥太郎子・中村雄次郎男・高木兼寛男・近藤廉平男・大倉喜八郎男・柳田国男・岡崎国臣・内藤久寛・早川千吉郎・松方巌・橋本圭三郎・福原有信・中野武営・山本悌二郎・相馬半治・山口達太郎・安田善三郎・山下秀実・門野重九郎・佐々木勇之助・大沢省三・美濃部俊吉・山下亀三郎・大橋新太郎・村井吉兵衛・服部金太郎・小池国三・団琢磨・山本条太郎・野沢源次郎・菊池長四郎・牧野元治郎・堀越角次郎・中沢彦吉・水越理庸・池田謙三・村井貞之助・山本唯三郎・神戸挙一・窪田四郎諸氏

東京日日新聞　　第一四四七七号　大正六年二月一三日
　　　　○聯合軍慰問醵金
　　　　　　首相官邸の招待会
聯合国傷病兵罹災者慰問会にては醵金勧誘の為、十二日正午より永田町首相官邸に京浜実業家を招待したるが、主人側よりは、寺内首相を初め大島陸相並に総裁徳川家達公・副総裁渋沢栄一男・児玉内閣書記官長、柳田・岡崎貴衆両院書記官長等出席午餐の饗応あり、席上寺内首相並に渋沢男より応分の寄附を希望する旨の挨拶を為し午後二時散会せり、当日の出席者左の如し
 - 第48巻 p.537 -ページ画像 
　林博太郎伯・三島弥太郎子・近藤廉平・大倉喜八郎・中村雄次郎・高木兼寛各男・安田善三郎・佐々木勇之助・松方巌・山下亀三郎・村井吉兵衛・服部金太郎・山口達太郎・山本唯三郎・内藤久寛・橋本圭三郎・山本悌二郎・相馬半治・山下秀実・窪田四郎・門野重九郎・大沢省三・美濃部俊吉・大橋新太郎・小池国三・団琢磨・山本条太郎・野沢源次郎・牧野元治郎・堀越角次郎・水越理庸・池田謙三・神戸挙一・中野武営・村井貞之助・福原有信・早川千吉郎・菊池長四郎・中沢彦吉
尚席上即座に決定したる寄附金額左の如し
　十万円宛（三井・岩崎両男）四万円宛（三島弥太郎子・中村雄次郎男・近藤廉平男）二万五千円宛（大倉喜八郎男、安田善二郎・同善三郎両氏連名）一万円宛（渋沢栄一男、村井吉兵衛・同貞之助両氏連名、山下亀三郎）五千円宛（服部金太郎・大橋新太郎・日比谷平左衛門・小池国三・根津嘉一郎・山本唯三郎・神戸挙一）三千円宛（和田豊治・山口達太郎・山下秀実）二千円宛（内藤久寛・山本条太郎）千円宛（中野武営・柿沼谷雄・中沢彦吉）合計金四十五万一千円

聯合国傷病兵罹災者慰問会報告書　同会編　　第一三―一九頁　大正六年一二月刊
　　　　三　寄附金応募の勧誘
重なる個人・団体・銀行・会社・官衙等に寄附金を勧誘する為め趣意書及規約書を添へ、二月三日より八日に渉り各府県に於ける華族・貴族院議員・衆議院議員・多額納税者・道府県会議員・郡区長・市町村長・商業会議所議員、資本金三十万円以上の銀行会社重役、並所得税三十円以上営業税百円納付の紳士、及朝鮮・台湾・関東州に於ける知名の士に対し、応募勧誘状約七万五千五百通を発送せり
二月十二日東京・横浜両地の有力なる実業家を首相官邸に招待し、寺内首相より聯合国傷病兵及罹災者慰問に関する希望を与へ、渋沢副総裁より本会の経過及今後の募集に関する希望を述べて、来会者の寄附を懇請せり
当日の来会者は左の諸氏なり
　公爵　徳川家達　　男爵　渋沢栄一　　　　　柳田国男
　　　　岡崎国臣　　男爵　近藤廉平　　男爵　大倉喜八郎
　　　　安田善三郎　子爵　三島弥太郎　男爵　中村雄次郎
　男爵　郷誠之助　　　　　佐々木勇之助　　　松方巌
　　　　山下亀三郎　　　　村井吉兵衛　　　　川崎八郎右衛門《（マヽ）》
　　　　服部金太郎　　　　山口達太郎　　　　山本唯三郎
　　　　内藤久寛　　　　　橋本圭三郎　　　　相馬半治
　　　　山下秀実　　　　　窪田四郎　　　　　門野重九郎
　　　　大沢省三　　　　　美濃部俊吉　　　　大橋新太郎
　　　　小池国三　　　　　団琢磨　　　　　　山本条太郎
　　　　野沢源次郎　　　　牧野元次郎　　　　堀越角次郎
　　　　水越理庸　　　　　池田謙三　　　　　神戸挙一
　　　　中野武営　　　　　村井貞之助　伯爵　林博太郎
　男爵　高木兼寛　　　　　福原有信　　　　　早川千吉郎
 - 第48巻 p.538 -ページ画像 
　　　　菊池長四郎　　　　中沢彦吉　　　　　平沼久三郎
　　　　増田増蔵　　　　　若尾幾造　　　　　大谷嘉兵衛
　　　　中村房次郎　　　　渋沢義一
席上直に寄附を申込まれし者三井男爵以下二十三名にして、寄附金額実に四十五万壱千円に達せり
又徳川総裁には華族会館長たるの故を以て、二月十九日一条公・黒田侯・細川侯・清棲伯・柳原伯・林伯・酒井子・有地男等の重なる華族諸家を、又三月十七日華族の家職を貴族院議長官舎へ招待し、徳川総裁及渋沢副総裁出席、本会の趣旨及経過を述へ、華族諸家の賛助を懇嘱せり
東京市に於ける重なる法人及実業家等に対しては本会直接之れが寄附を勧誘するの方針にて、渋沢副総裁及中野・柿沼・大橋・和田委員専ら之に当られ、其の結果直接寄附金額約八拾五万円に達したり
又東京市に於ける応募勧誘に関しては、市長及各区々長の斡旋に待つの必要を認め、二月七日奥田東京市長に依頼状を発し、次て二月十日奥田東京市長及各区々長を築地精養軒に招待し、中野常務委員出席、東京に於ける寄附勧誘に対し懇談を遂げたり
○中略
　　　　五　募集期限の延長
本会設立の当時にありては、欧洲戦争の成行逆睹すべからずして聯合国の惨状頗る甚しきものあるを以て、速急慰問の途を講ずるの議あり且当時衆議院議員総選挙施行の日近かりしが、各地方官は該総選挙あるの時に於て寄附金募集事務に斡旋するを難せられたるを以て、予期の金額の募集せらるゝと否とに拘はらず、該選挙施行前即ち三月三十一日を以て募集を締切ることとせり、然るに其後各地方より本会の挙あること漸く知れ渡りたる時に於て、忽ち募集の締切を行ふは地方人民の遺憾尠なからざるを以て、締切期限を延長し、併せて予期の寄附金を募集せられたしとの申出多きを以て、本会に於ては常務委員会を開き、募集期限を五月十五日まで延期することに決し、本会及首相より左の書面を発送せり
　拝啓　時下益御清穆奉賀候、陳者本会寄附金に関し種々御高配被下感謝此事に御座候、該締切期限三月三十一日に有之候処、地方に依りては延期の申出も有之、旁取纏の都合上、来五月十五日まで延期のことに致候間、此際尚精々御勧誘被下候様致度、此段得貴意候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具
　　大正六年四月十二日
　　　　　　　　　　　　　聯合国傷病兵罹災者慰問会
　　　　　　　　　　　　　　　総裁　公爵　　徳川家達
　　　　　　　　　　　　　　　副総裁　　　　島田三郎
　　　　　　　　　　　　　　　副総裁　男爵　渋沢栄一

聯合国傷病兵罹災者慰問会寄附者名薄　同会編　　第一〇頁　大正六年一二月刊
　寄附者名薄
　　　　　　東京府
 - 第48巻 p.539 -ページ画像 
　　　　　日本橋区
　　　　　　円
二五、〇〇〇・〇〇〇　　　　　　　　　男爵　古河虎之助
二〇、〇〇〇・〇〇〇　　　　　　　　　　　　東洋汽船会社
一〇、〇〇〇・〇〇〇　　　　　　　　　男爵　渋沢栄一
一〇、〇〇〇・〇〇〇　　　　　　　　　　　　東京株式取引所
一〇、〇〇〇・〇〇〇　　　　　第一銀行頭取　佐々木勇之助
○下略

中外商業新報　　第一一〇九一号　大正六年二月二二日
○聯軍慰問寄附金　聯合国傷病兵罹災者慰問会寄附者其後の重なる氏名左の如し、因に十九日迄の寄附金総額は累計六十五万六千七百八十九円五十一銭なり
　金二万五千円宛男爵古河虎之助・横浜正金銀行△二万円東洋汽船会社△金一万五千円宛日本勧業銀行・台湾銀行△金一万円宛浅野セメント会社浅野総一郎・男爵森村市左衛門・東京株式取引所△金七千円（原六郎同郵送）△金五千円宛王子製紙会社・神田鐳蔵・田中長兵衛・堀越角次郎△金三千円宛男爵郷誠之助・団琢磨・川崎八右衛門・清水満之助・日本化学工業会社△金一千五百円森岡平右衛門△金一千円宛伯爵林博太郎・岩出惣兵衛・伊藤幹一・牧野元次郎・福島浪蔵・野崎貞利・山本藤助・植村澄三郎△金五百円宛大倉条助・門野重九郎・同理世子△金三百円宛侯爵中山孝磨・添田寿一・勝田主計・加藤友三郎△金二百円古市公威・安宅弥吉

中外商業新報　　第一一〇九九号　大正六年三月二日
　　　　○聯軍慰問寄付金
聯合国傷病兵罹災者慰問会にては各方面に向ひ寄付金募集中にて、一日までの寄付金総額は七十六万四千二百四円二十七銭に達したるが、其後に於ける重なる寄付者左の如し
　金一万円高田慎蔵、金五千円宛日本興業銀行・富士製紙会社・徳川家達公、金三千円宛緒明圭造、金二千五百円野沢源次郎、金二千円宛前川太郎兵衛・日本皮革会社、金千五百円杉村甚兵衛、金千円宛小西安兵衛・峰島喜代子・千葉松兵衛・織田昇次郎、金五百円宛大倉粂馬・島田三郎・高橋門兵衛、金三百円宛添田寿一・侯爵中山孝磨、金二百円東亜興業会社、金百円宛公爵九条道実・公爵一条実輝・公爵鷹司凞通・加藤文彬・黒沢貞次郎・安生広三郎・共立電機電線会社・木戸ケ沢鉱山会社

中外商業新報　　第一一一〇〇号　大正六年三月三日
　　　　○金十万円
　　　　　　皇后陛下聯合国
　　　　　　慰問会へ御下賜
皇后陛下には、先般聯合国傷病兵罹災者慰問会設立につき、特別の御思召を以て、二日同会事業補助費として左の通り御下賜金の御沙汰あり、徳川総裁は午前十時半参内、波多野宮相より拝受退出せり
 - 第48巻 p.540 -ページ画像 
　金十万円
　　右聯合国傷病兵罹災者慰問会事業費
　　　　▽総額八十六万
　　　　　　成績は益々良好
別項聯合国傷病兵慰問会が一日迄に募入したる寄付金総額は八十六万四千九百廿七円五十五銭に達し、尚過般地方長官会議の節県知事に募集取扱方を依頼せし結果、昨今漸く其手続書を本部に促す者多く成績益々良好なりと、尚ほ其後の主なる寄附者は左の如し
　△金三千円宛須田利信氏・久米良作氏△二千円宛三越呉服店・林民雄氏△一千五百円宛伊東米次郎氏・伊円二郎氏

中外商業新報　　第一一一〇九号　大正六年三月一二日
　　　　○聯合軍隊慰問金
聯合国傷病兵慰問金十日発表の第五回寄附金額及氏名左の如し
　一万円　大川平三郎・田中栄八郎△五千円宛　侯爵徳川頼倫・日本鋼管株式会社・第百銀行・東洋拓殖株式会社△二千円宛　阿部泰蔵・福原有信・東京貯蔵銀行△千五百円　小野金六△一千円宛　三谷報恩会・菊池長四郎・高津伊兵衛・愛国生命保険会社・山中隣之助・小倉久兵衛・日本製靴会社・近藤利兵衛・仁寿生命保険会社・西脇済三郎）有隣生命保険会社・神国生命保険会社）・籾山半三郎・渡辺大治郎・米井源治郎・侯爵蜂須賀茂韶△五百円宛　伯爵寺内正毅・東京米穀商品取引所仲買人組合・公爵徳川慶久・豊川良平・前川太兵衛△三百円宛　男爵後藤新平・子爵本野一郎・松室致・仲小路廉・伯爵徳川達孝・大沢省三・吉田丹左衛門・加瀬忠次郎・増田義一・桑原七兵衛△二百円宛　男爵高木兼寛・西村直・国光生命保険会社△百五十円　亀田候吉△一百円宛　伊藤琢磨・太田半六・水谷叔彦・磯村豊太郎・川島忠之助・三野村利市△寄附金　累計金八十二万六千四百九円七十二銭

中外商業新報　　第一一一一九号　大正六年三月二二日
　　　　○聯合国慰問寄附
聯合国傷病兵罹災者慰問会今日迄の募集金額九十三万三千余円にして御下賜金を合せ金百万円以上に達せり、去る十日以後重なる寄附者左の如し
　△一万円宛　第一銀行・十五銀行・朝鮮銀行・公爵島津忠重・公爵毛利元昭・伯爵前田利為△五千円宛　渡辺治右衛門・浦賀船渠株式会社・末延道成△三千円宛　北海道拓殖銀行・中井新右衛門・藤山雷太△二千円宛　小倉常吉・今村繁三△一千円宛　早川千吉郎・矢野恒太・三野村安太郎△七百円　侯爵徳川圀順△五百円宛　伯爵有馬頼万・長井利右衛門△三百円宛　尾張屋銀行・麹町銀行・大野宗太郎・浅井倍之助・三十銀行・男爵佐藤進△二百五十円　子爵徳川武□△二百円宛　伊東茂右衛門・清水米蔵・合資会社渋谷商店・田中銀行・田村謹寿△一百五十円宛　侯爵木戸孝正・子爵相馬順胤△一百円宛　宮本恒平・岡本銀行・峰岸慶蔵・松本良太郎・山崎亀吉
 - 第48巻 p.541 -ページ画像 
飯塚政吉・朝吹英二・志賀直温・堀越勘治△累計金九十三万三千二百三円六十六銭

中外商業新報　　第一一一二六号　大正六年三月二九日
　　　　○聯国慰問寄附金
其後に於ける聯合国慰問寄附者は左の如くなりと
　△金五千円侯爵浅野長勲△金二千円大日本人造肥料株式会社△金一千円宛侯爵池田仲博・丁酉銀行・侯爵鍋島直大・塩原又策△金五百円中島伊平△金三百円宛伯爵久松定謨・男爵安東貞美△二百円星野錫△金一百円宛男爵武井守正・梅岡正吉・中村清蔵・池田成彬・三村君平・原田鎮治・荘清次郎・串田万蔵・丸田秀実・江守善六・江口定条・桐島像一・木村久寿弥太・下村宏・伯爵亀井玆常・田沢又右衛門・長谷川太郎吉、累計　金九十五万七千百八十五円七十五銭（御下賜金を除く）